寺社縁起研究会・関東支部

@近畿大学東京センター

第87回例会

2009年01月31日 | 例会履歴

2009.01.31 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表1】縁起と武士団―『日光山縁起』と宇都宮氏との関わり合い―  佐藤 優
【要旨】『日光山縁起』は、寺社縁起研究史において画期とされるべき日本思想大系『寺社縁起』(岩波書店、1975)に諸本の1本が収録されている(萩原龍夫校注)。また、研究史を概観するなら、柳田國男『神を助けた話』(『柳田國男全集』第3
巻〈筑摩書房、1997〉所収。初出は1920)以来、歴史学・文学・民俗学等の多くの視点からの研究蓄積があり、諸本の翻刻や分類整理も進んでいる縁起テキストといえるだろう。そこで本報告においては、縁起の成立に関して関東の中世武士団の視点から考えてみたいと思う。具体的には、『日光山縁起』成立背景を中世期宇都宮二荒山神社(宇都宮大明神)の社務職でもあった宇都宮氏の武士団としての勢力拡大期における史資料から考察してみたい。

研究発表2】韓国寺刹縁起に関する資料と研究  松本真輔
【要旨】韓国の寺院にもその由来を語る資料が存在する。ただし、その多くは「寺志」「事蹟」等の名が付され、発表題目に便宜上使った「縁起」はあまり用いられない。今回の発表では、許興植『高麗仏教史研究』(一潮閣、1986)「寺志の刊行と展望」と、キム・スンホ『韓国寺刹縁起説話の研究』(東国大学校出版部、2005)を参照しつつ、韓国の寺刹縁起の研究と、資料に関する全般的な見取り図を紹介したい。