寺社縁起研究会・関東支部

@近畿大学東京センター

第94回例会

2009年10月23日 | 例会履歴

2009.10.23 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】如意輪観音信仰と王権の関わりについて―後白河院を中心に―  清水紀枝
【要旨】平安時代初期、弘法大師空海は唐に渡って密教の正統な継承者となり、日本に様々な密教のほとけをもたらした。なかでも如意輪観音は、天皇の護持僧が行う三壇御修法や宮中で毎月行う観音供の本尊に選ばれるなど、王権ととりわけ強く結びついたことで知られる。しかし従来、その要因や具体的な信仰の様相については、ほとんど追究されてこなかった。如意輪観音信仰と王権の関わりを考えるにあたって、本発表では特に後白河院に注目したい。12世紀以降、如意輪観音はにわかに聖徳太子信仰と結びつき、太子に関わる仏像が次々に「如意輪観音」と称されるようになる。さらに、如意輪観音の象徴的な持物である如意宝珠への信仰が盛行するのもこの時期である。こうした新たな展開の背景に、後白河院および彼をめぐる人的ネットワークが関与していた可能性について論じたい。