寺社縁起研究会・関東支部

@近畿大学東京センター

第89回例会

2009年05月08日 | 例会履歴

2009.05.08 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】談議所(学問寺)所蔵資料と近世の僧伝縁起―「頼賢」を軸に―  牧野和夫
【要旨】近世撰述の諸書にみる「頼賢」伝は、概ね『密教大辞典』の内容に類したもの(『続伝燈広録』所収頼賢伝など)である。その中で、慈猛ゆかりの地方寺院所蔵の下野薬師寺縁起類(二系統ある)に盛られた頼賢伝のみが、『密教大辞典』の内容と異なる独自の記述をもつ。室町末・近世初期書写の地方学問寺の縁起に、全く新しい頼賢伝が記されていた。この「異なり」を、近世の『続伝燈広録』や下野薬師寺縁起類へ至る過程にたどり、頼賢伝とその周辺の「残り方」(「消え方」)を考察する。近世の僧伝と寺院(特に談義所・学問寺)伝来資料との関わりの一つのケースを示したい。また、集古会との、わずかな縁についても話したい。