寺社縁起研究会・関東支部

@近畿大学東京センター

第79回例会

2008年05月30日 | 例会履歴

2008.05.30 早稲田大学早稲田キャンパス

【研究発表】東大寺醍醐寺本末相論における記録・官符と“縁起”  牧野淳司
【要旨】先月末、臨川書店から『真福寺善本叢刊10 東大寺本末相論史料』が刊行された。正和二年(1313)から正和四年にかけて、東大寺と醍醐寺との間で真言宗の本寺をめぐって争われた訴訟に関係する資料で、東大寺から提出された3度の訴状(初度訴状・重訴状・三重訴状)と、醍醐寺の返答である2度の陳状(初度陳状・重陳状)、および訴状とともに提出された具書(証拠書類)を収録している。これら一連の訴陳状では、上醍醐山略要記・弘法大師記文案・弘法大師行化記・御遺告・真言付法纂要抄といった記録類の他、承和二年八月二十三日太政官符案・延喜十三年十月二十五日太政官符案といった官符類が数多く用いられている。訴訟の過程で、どのような記録(書物)や官符(文書)が注目されているか、また、もとの書物や文書に含まれている縁起的記述がどのように活かされているか、まとめてみる。