縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

スペインの話(第1回) ~ 十年一昔、あるいは“ぼやき”

2008-08-07 00:06:42 | もう一度行きたい
 先月の半ば、一足早い夏休みを取ってスペインに行った。12年ぶりのスペインである。コースはほぼ前回と同じ。マドリッドに入りアンダルシアを回ってバルセロナへ、である。
 前回の話は『スペイン紀行』として4回書いたので(2006年2月27日、3月27日、11月21日、11月23日)、今回は、前回行かなかった先や新たに気が付いたことについて書くことにしたい。

 さて、十年一昔と言うが、今回行って随分変わっていることが多かった。

 まずは飛行機。以前はイベリア航空の直行便があったが、それが1998年に廃止された。そのため今はフランスやイタリアなどを経由して行くしかない。以前と比べ、乗り換えその他で不便になった(おまけに今回は、パリへの飛行機の到着が遅れ、乗り継ぎの便を逃すというトラブルにも見舞われた)。スペインへの観光客は多いが、ビジネス客は少なく、採算が合わなかったようだ。もっとも、来年、日本とスペインを結ぶ路線が復活するらしい。ありがたい話だ。

 次に驚いたこと。風車が増えている。ドン・キホーテにあるような、のどかな風車ではない。風力発電の風車である。スペインの荒れた、乾いた大地の中、勢いよく回る風車の群れ。そう、まさしく“群れ”と呼ぶにふさわしい。壮観である。スペインはドイツやアメリカと並ぶ風力発電の国。風車の数というか風車密度?というか、それは我が国の比ではない。
 日本で安定した風力の得られる地域といえば北海道や東北北部の海岸部であるが、いかんせん電気の消費地から遠い。電気を運ぶ際のロスを考えると、ただ風が良いからといって風車を増やすことはできない。逆に、日本には台風があるから風力発電に適しているかというと、それも違う。多くの風車は風速25mを超す強風の場合、安全を考えてストップする構造になっている。それでも時に台風で壊れたり、落下する風車もあるようだ。

 話がそれてしまったが、スペインの話に戻ろう。もう一つ驚いたこと。それはアルハンブラ宮殿で入場制限が行われていたこと。詳しく書くと、アルハンブラ宮殿のメインである「ナスル朝宮殿」へは30分毎の決められた時間にしか入ることができない。チケットに入場時間が書かれており、その時間に宮殿の入口に行って並ばないと入れないのである。
 僕らが行ったのは平日であったが、アルハンブラはひどく混んでいた。指定された時間の少し前に入口に行ったところ、この列はまだ前の回の人の列だと言う。つまり、今並んでいる人達は30分近く、それもこの炎天下の中で立っていることになる。堪らないなと、近くの売店にビールを買いに行った。
 一口ビールを飲んだ、まさにそのとき、一斉に人が動いた。列が我々の回に切り替わったのである。近くで待機していた人が一気に動いたのだった。僕らは出遅れてしまった。やれやれ。

 以前、アルハンブラに来た時は、自由に宮殿に入ることができた。庭園でのんびり座ったり、ぼーっと外の町並みを眺めたり、イスラムの模様や彫刻を楽しんだりと、アルハンブラを心行くまで堪能した。グラナダに2泊した僕は、2日続けてアルハンブラに来たのだった。当時は予約など必要なかったし、チケットを買うのにさほど並んだ記憶もない。あの頃が懐かしい。

 なぜ、こんな趣のない、それにお世辞でも効率的とは言えない(まあ、宮殿の方もビールを買いに行って出遅れた人間に文句など言われたくないだろうが)入場制限が行われるようになったのか。それは観光客が増えたからに他ならない。
 では、なぜ観光客が増えたのか。アルハンブラの人気が高まったこともあるだろうが、それ以上に、純粋に観光客が増えたのだと思う。それだけ世界が豊かになったのである。1980年代、海外で会うアジア系の観光客といえば日本人ばかりだった。それが90年代になって韓国人が増え、今では中国人も多い。又、見た目ではよくわからないが、今はロシアや東欧からの観光客も増えているに違いない。確実に海外旅行に行く人の母集合が拡大しているのである。

 これは本来喜ぶべきことであるが、炎天下の中待たされた僕に、そんな心の余裕はない。暑さで朦朧とする中、頭に思い浮かぶのはディズニーのファストパス。ここでも欲しい。宮殿の入り口は遠かった。ただひたすらに遠かった。

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