縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

久々の発見 君津 『いわし亭』

2010-07-12 23:26:56 | おいしいもの食べ隊
 良い店を見つけた。君津にある『いわし亭』という店だ。安い、新鮮、うまい、の三拍子そろった、東京では とんとお目にかかれない店である。

 銀座にいわし料理専門店があるが、『いわし亭』の値段はそこの半分もしない。刺身、塩焼き、山かけ、ぬた、南蛮漬け、つみれ、梅煮、ムニエル等々、40品近いいわしの単品料理を、ほとんど370円で出している。
 僕らは刺身、納豆包み揚げ(油揚げにいわしのつみれと納豆を入れて揚げたもの)、みりんを頼んだ。ご存じの通り、いわし(鰯)は魚偏に弱いと書く、足の速い魚である。が、さすが地元、こんな新鮮ないわしは初めてだ。脂ののったいわしは最高に美味だった。

 この週末、君津に一泊することになった。インターネットで夕食を食べる店を探したが、あまり情報がない。当たり前と言えば当たり前かもしれない。君津といえば新日鐵のある鉄の町。遠くからわざわざ食事に来る人はいないだろうし、観光客も多くはない。つまり、飲食店はもっぱら地元の人を相手にしており、そして地元の人は飲食店をよく知っているのである。

 情報の少ない中で目を付けたのが、『和泉沢』と『いわし亭』。僕らはまず『和泉沢』に行った。高級感の漂う店構えで、おそらく新日鐵の接待に使われる店であろう。一品料理が少なく、コース主体のようだ。味は悪くないが、いかんせん飲兵衛の二人には酒のつまみが少なすぎた。
 そこで、一抹の不安を感じつつも、次の店に行くことにした。『いわし亭』という名前から、大衆居酒屋、それも超が付く大衆居酒屋を連想したのである。

 『いわし亭』は駅から歩いて5分ほどのところにある。ホテル千成の脇を入った裏通り、ひっそりとした通りにある。人っ子ひとりいない。お客さんいるのかな、いや、そもそもこんなところに店があるのかな、やはり不安がよぎる。
 と、そのとき『いわし亭』の看板が目に入った。やれやれ、取り敢えず 開いている。正面を見た感じ、思ったより綺麗な店だった。
 で、扉を開けてびっくり。なんと満席のようだ。活気のある店内。外の静けさから想像できない賑わいだった。幸い、カウンターが二席だけ空いていた。そして、我々は心行くまでいわしを堪能したのであった。

 『いわし亭』で、いわしのおいしさに加え、もう一つ感動したことがある。それは厨房の中の3人の連携というか手際の良さである。揚げ物と皿洗い担当のお母さん(とおぼしき人)、煮物・汁物・サラダ等のほか 盛り付け担当の奥さん(同)、それに刺身・焼き物はじめ全体に目配りする大将。この3人の連携が素晴らしい。注文が読み上げられた後は、各自が黙々と作業をしている。満員で注文が多いため、皆、休むことなく、ひたすら作り続けている。そして、特に相談する風もないが、いつの間にか3人の連携で料理が出来て行く。まさに、あ・うんの呼吸である。こんな様子が見られるのは、カウンターに座った特権である。

 もう一つ、カウンターの特権。それは作っている料理を見られること。目の前を通り過ぎる、素敵な料理たち。僕らは思わず、特大の海老フライ、金目の煮付け、それに いわしの焼きおにぎりを頼んでしまった(うっ、体重計が怖い・・・)。

 アクアラインが安くなったため、思わぬ幸せに遭遇した二人だった。

一番高い食事

2010-07-11 21:55:18 | 最近思うこと
 昨秋、香港に行った。妻が楽しみにしていたスペイン旅行をキャンセルしてしまったため、その埋め合わせである。香港ではスペインの代わりにならないが、事情が事情ゆえ我慢してもらった。
 羽田を夜発ち、深夜香港に着いた。僕らは空港近くのホテルに泊まり、翌朝バスで市内へと向かった。急ぐ旅ではない。のんびりと香港の風景を楽しむことにしたのである。ホテルに着いたのは11時前。まだ部屋に入れないかもしれないが、チェック・インして荷物を預かってもらい、それで食事に行くつもりだった。朝から何も食べておらず、二人とも空腹だったのである。

 フロントは思いのほか混んでいた。順番待ちで並んでいるとき、妻が「あれ、何だろう。メールが入っている。」という。僕の母からのメールだった。
 メールには「お父さんが亡くなりました。連絡ください。」とあった。入院していた父が亡くなったのである。
 ここでジタバタしても始まらない。我々は取り敢えずチェック・インした。幸い、すぐ部屋に入ることができた。部屋に入るなり母に電話をした。父はその日の早朝に亡くなったという。突然のことで母も死に目に会えなかったそうだ。ただ看護師さんの話では、父は苦しまずに亡くなったとのことで、それだけがせめてもの救いだった。
 次にJALに電話をした。安いチケットだったので変更は効かない。改めて帰国する便、今から間に合う一番早い成田への便を予約した。出発は15時。あと4時間弱。特にすることはないし、如何せん空腹である。二人は1時間と時間を決め、飲茶を食べに行くことにした。

 日本を発つ前、僕は母に電話した。そのとき母の様子が少しおかしかった。虫の知らせなのだろうか、母は父の様子が何かいつもと違うと感じていたらしい。最近は落ち着いているから大丈夫と話すものの、母はどこか歯切れが悪かった。僕は、香港は近いから何かあったら連絡するよう言ったが、まさか本当に連絡があるとは思わなかった。
 そして香港からとんぼ返り。『世界弾丸トラベラー』というテレビ番組があるが、まさにそれを地で行った感じだ。パスポートには、香港入国2009年11月21日、香港出国2009年11月21日、とある。
 そうか、あの飲茶を食べるためだけに香港に来たのか。飛行機やホテルのキャンセルもあったし、生涯の中で一番高く付いた食事だな、と思った。

 肝心のときにいない不肖の息子が言うのもなんだが、父は良い人生だったと思う。華やかでも裕福でもないし、どちらかといえば地味で平凡な人生だった。勿論、父なりに悩みや苦労もあったに違いない。しかし、総じて、満足の行く、幸せな人生だったと思う。
 僕の方が父よりも、今のところ、経済的には恵まれている。が、だからといって僕が父のように穏やかに人生をまっとうできるかどうか、僕にはわからない。その点、父は立派だったと思う。

消費税増税問題について

2010-07-10 00:36:12 | 最近思うこと
 想像してみよう。

 月給40万円の家庭があったとする。この家は毎月14万円のローン返済があり、自由に使えるお金は26万円しかない。なんと4,600万円もの住宅ローンを抱えているのである。年収約10年分の借金だ。
 ところが、この家は食費、教育費、交通費、光熱費その他で、月々33万円も使っている。おまけに田舎に住む両親に11万円の仕送りが必要ときた。これでは借金が増えるばかり。借金は毎月18万円、月給の半分近い額が増え続けている。

 これは多重債務者や自己破産した家の話ではない。哀しいかな、我が国の財政状態の話である。月給が税収、ローン返済が国債の元利払い、食費等の支出が一般歳出、仕送りが地方交付税を指している。

 さて、この現実を前にして、無邪気に消費税増税反対と言えるだろうか。

 まず、「消費税増税の前にやるべきことがある。まずムダをなくさなくてはいけない。」との点について。
 我が国の財政支出の過半は社会保障費と国債費である。これは削減できない、いや高齢化の進展とともに増加が見込まれる。では、ほかの支出を減らすことができるだろうか。
 確かに、まだまだムダは多いし(そもそも国会議員が多すぎる?)、民間に委ねるべき事業が相当あると思う。しかし、先の事業仕訳の結果を見ても、その削減が難しいことはわかるだろう。
 公共事業は地方の景気対策に使われてきたわけだし、狭い国土に多すぎる空港・車がまばらな高速道路・閑散とした公共施設などは無くても良いけどあれば便利だし、国の支出削減はいずれも国民に痛みが伴う。増税反対論者はその痛みをどこまで許容するつもりなのだろう。

 次に、「消費税を上げる前に、その他の税金、法人税や高額所得者の税金を上げるべきだ。」との点について。
 これは共産党や社民党の主張としては筋が通っている。が、共産主義、社会主義の破綻が明らかとなった中で、日本は敢えてそうした方向に進むべきなのであろうか。
 もう一つ、僕は直間比率見直しの観点からも、この議論はおかしいと考える。法人税・所得税等の直接税と消費税等間接税の比率は、我が国は7:3で直接税の比率が高い。一方、英独仏等は5:5から6:4で日本よりも直接税の比率は低い。数字だけ見ると、日本は所得の多い所から税金を沢山取っているフェアな国だ、と言えないこともない。が、実際は単に税金の取りやすいところから、つまり企業とサラリーマンから税金を沢山取っているに過ぎないのである。
 所得の完全な捕捉が難しい自営業者・医療法人・宗教法人など、あるいは収入は少ないものの多くの資産を持つ裕福な高齢者からの徴税を考えれば、間接税の比率を高める方が公正といえよう。
 又、英独仏や韓国・中国・シンガポール等と比較し10~20%高い我が国の法人税が、日本企業のキャッシュフローを圧縮し、競争力を削いでいることも事実である。これでは外国企業は日本に来ないし、逆に日本企業はいずれ日本を脱出するであろう。国内の雇用は増えず、経済は衰退の一途を辿るしかない。
 
 現状の我が国の財政状態を見るに、僕は、財政支出のムダを削減しつつ、消費税を増税するしかないと考える。ただ、景気への影響や消費税の逆進性に配慮しつつ、法人税や所得税の減税と、食料品や光熱費等への軽減税率の適用を併せて実施すべきであろう。

 国に要求ばかりするのではなく、この国の将来をどう考えるのか、そのために自分に何が出来るのか、今、それをよく考えるときに来ているのだと思う。