縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

このまえ銭湯に行ったのはいつですか?

2013-05-19 11:08:41 | 最近思うこと
 今週、銭湯巡りをしている。家の給湯機が壊れたのである。暖かくなってきたとはいえ、さすがに水風呂・水シャワーはまだ辛い。で、今週一杯、銭湯に通うはめになった次第。

 今どき珍しいと思うが、家の近所に銭湯が3軒ある。佃・月島に銭湯が多いのは、昔この辺りに鉄工や機械の工場が多かったことや、ここが未だに長屋が残る下町だからであろう。
 ふと気になって調べてみたが、銭湯(統計上は「一般公衆浴場」)の数は昭和30年代後半がピークで、全国で23千軒あったという。それが今では5千軒しかない。ひどい時には1日1軒銭湯が廃業したと聞いたが、あながちそれも嘘ではあるまい。家風呂の普及による利用者の減少に加え、銭湯経営者の高齢化や後継者難により廃業が後を絶たないのである。
 そういえば、銭湯や古い(安い?)温泉宿でお馴染の、黄色のケロリン桶。なんとこの桶を製造していた睦和商事という会社が、今年の3月に倒産したという。理由は、銭湯の減少による営業不振。幸い、広告主である内外薬品(注:あの桶は頭痛薬「ケロリン」の広告のため作られたもの)が、引き続き桶の販売を行うとのこと。銭湯の必需品・ケロリン桶が無くならないと聞き、どこかほっとした。

 さて、最初の日は運動がてらスポーツクラブに行って風呂に入ったが、次の日から僕の巡礼の旅ならぬ“巡湯(?)”の旅が始まった。
 まずは「旭湯」。ここは3軒の中で最も昔ながらの銭湯の趣きを残している。他の2軒はマンションや商店などビルの一角にあるが、ここの建物は銭湯だけ。番台もあれば、壁には富士山ではないが立派な絵もある。天井は高く、脱衣所も洗い場も湯船も広い。僕は学生時代ずっと銭湯に通っていたが、その頃にタイムスリップしたような感じがする。お湯も43度と一番熱く、それも良かった。
 次に行ったのは「日の出湯」。ここはアパートの1階にある。銭湯だけでは生活が厳しいから上をアパートにしたのであろう。全体に狭いが、雰囲気としては昔の銭湯である。
 最後が「月島温泉」。ここは商業ビルの2階にある。雰囲気的には地方の温泉にある日帰り入浴センターといった感じ。入り口では男湯・女湯に分かれていない。まず受付があり、中に入ってから男湯と女湯に分かれる形だ。「洗い髪が芯まで冷えて、小さな石鹸カタカタ鳴った」という『神田川』のような経験は望むべくもない作りである。ここもちょっと狭いが、サウナもあるし、全体に新しく、きれいだった。

 各々タイプの違う3つの銭湯であるが、一つ共通点があった。番台(あるいは受付)に座っていたのが皆お婆さんだったのである。確かに、高度成長期が全盛で、その後廃業はあっても新たな参入がないとすれば、銭湯の方の高齢化は否めないであろう(1970年代、『時間ですよ』で番台に座っていた森光子さんも昨年亡くなってしまったし)。
 では、銭湯に未来はないのだろうか。個人的には旭湯のような銭湯に残って欲しいと思うが、時代の流れとしては月島温泉のような形でないと生き残りは難しいのかもしれない。それこそ村上春樹にでも『人生で必要なことを僕はみな銭湯で学んだ』とかいう本でも書いて応援してもらわないと無理かもしれない。子供にしてみれば、共同生活のルールというか、大人とのつきあい方、お爺さん・お婆さんあるいは自分よりも年下の子供へのいたわりなどを学べる良い場所だと思うが。
 郷愁にふける中年おやじの独り言である。

従軍慰安婦問題を超えて

2013-05-15 02:01:56 | 最近思うこと
 橋下氏の従軍慰安婦をめぐる発言が波紋を呼んでいる。彼の真意はよくわからないが、発言の一部が一人歩きする可能性を考えれば、本当に不用意な発言としか言いようがない。
 韓国や中国だけでなく欧米のメディアでも、大阪市長で日本維新の会の代表である政治家の驚くべき発言として採り上げられている。第二次大戦中20万人を超す従軍慰安婦がおり、彼女らは中国、韓国、インドネシア、フィリピン等から強制的に連行され日本軍の性の奴隷となっていたが、彼はその制度が必要だったと語った、というのである。
 橋下氏にしてみれば、戦争という極限状態において慰安婦制度は必要悪といえ、実際他の軍隊にも見られる、また日本軍が慰安婦を強制的に連行した記録は無い、ということであろう。が、そうした記述はなく、単に人権無視の信じられない人間として書かれている。
 この点は橋下氏に同情するが、そもそも皆が皆進んで慰安婦になったとは思えず、必要悪としてでも慰安婦制度を肯定するのはおかしいと思う。一部には強制連行があったかもしれないし、そうでなくとも貧困のため慰安婦として売られた、生きるために慰安婦にならざるを得なかった、騙されて慰安婦になった等の理由があったのだと思う。

 今回の発言だけでなく、最近の橋下氏の言動には首をかしげたくなるものが多い。何か被害妄想というか、自分は正しいのに皆がよってたかっていじめる的な匂いがする。彼が既存の秩序を打ち破るきっかけになればと期待していたのに本当に残念である。もう「行列」で好き勝手言っていた頃と立場も影響力も違うのであるから、政治家である前に、まずは一人の人間として自らを見直し、そして前に進んで行って欲しい。

 そんな彼にこの歌を贈りたい。“Have You Never Been Mellow”(邦題:そよ風の誘惑、歌:Olivia Newton-John、作詞・作曲:John Farrar)
 今晩、公園の中を通って帰宅したとき、そよ風が心地良かった。寒くもなく暑くもない。新緑の匂いがする。取り立てて良いことのない一日だったが、ただそれだけで幸せな気持ちになれた。そして、ふとこの歌を思い出した。
 橋下氏に、「いつも構えている必要はないし、挑戦的であったり攻撃的であったりする必要もない。きっとあなたの力を必要とする人、あなたが励ましてくれるのを待っている人がいる。自分を見失わず、焦らず、頑張って欲しい。」と伝えたい。

There was a time when I was in a hurry as you are
 私にも、今のあなたのように、何事にも急いでいたときがあったわ
I was like you
 本当にあなたにそっくり
There was a day when I just had to tell my point of view
 私にも、自分の考えをまくしたてないと気が済まない日があったわ
I was like you
 そう、あなたにそっくりね
Now I don’t mean to make you frown
 ううん、あなたを怒らせるつもりじゃないのよ
No, I just want you to slow down
 違うの、ただあなたにのんびりして欲しいだけなの

Have you never been mellow?
 ねえ、今までにやさしく穏やかな気持ちになったことはないの?
Have you never tried to find a comfort from inside you?
 自分の内面からやすらぎを感じたことは?
Have you never been happy just to hear your song?
 歌を歌って幸せを感じたことはないの?
Have you never let someone else be strong?
 ほかの誰かを力づけてあげようと思ったことはないの?

『九州八十八湯めぐり』を知っていますか?

2013-05-12 18:15:40 | もう一度行きたい
 昨年12月鹿児島に行った際、偶然『九州八十八湯めぐり』に出会った。温泉大国九州で八十八か所の温泉をめぐり、真の温泉通を目指そうという企画である。

 『湯めぐり』の参加方法は至って簡単。まず、駅の売店や温泉施設で100円払って“湯印帳(スタンプ帳)”を買う。そして対象となる施設に行って入浴し“湯印帳”にスタンプを押してもらう。基本はそれだけ。因みに対象施設は、3名の温泉名人が、数ある九州の温泉の中から泉質・景観・歴史等々優れた特徴を持つ温泉施設(日帰り入浴可)を厳選したもの。2013/3末現在、その数135か所である。
 さらに“湯印帳”のスタンプ数や訪問した県の数に応じて“段位”が認定される。スタンプ数8の「見習い」に始まり、スタンプ数16かつ2県以上訪問の「入門」、さらに「初級」、「中級」、「初段」等と続き、最後は88か所かつ7県以上訪問の「泉人(せんにん)」である。最後を飾る88か所めは、別府の「竹瓦温泉」で締めくくる必要があり、これが『湯めぐり』唯一のルールとなっている。
 2010年秋にスタートしたこの企画、既に延べ467人(八十八湯巡りを2度以上達成した猛者もいる)が晴れて「泉人」の称号を獲得している。

 僕が行った温泉はまだ6か所。「見習い」にも届かない未熟者である。が、この6軒、なかなか良い温泉であった。昨年12月に行ったのは4か所で、いずれも鹿児島県の温泉。指宿温泉の「山川砂むし温泉 砂湯里」と「弥次ヶ湯温泉」、「隼人温泉 浜之市ふれあいセンター富の湯」、それに「栗野岳温泉 南洲館」である。
 この中で特筆すべきは「砂湯里」と「富の湯」。天然の砂蒸し湯といえば指宿の町中にある「砂楽」や別府の「別府海浜砂場」が有名であるが、個人的には「砂湯里」が好きだ。一番お湯のパワーを感じるし、人里離れた立地も良い。一方、「富の湯」は住宅地にある、こじんまりした温泉である。何も期待せずに入ったが、薄茶色の鉄分も含む強い塩化物泉の湯は、近年稀に見るヒットだった。体の芯から温まり湯冷めしにくい。これで300円なのだから本当に申し分ない。
 このゴールデンウィーク、別府に行って「駅前高等温泉」と「鉄輪むし湯」の2か所に入った。僕の別府を愛する気持ちは以前ブログに書いているので(“山は富士 海は瀬戸内 湯は別府”2010/3/7)、温泉の紹介は省略する。

 ところで、この『九州八十八湯めぐり』を企画し、運営・管理しているのは、なんとJR九州である。同社は「九州八十八湯めぐりきっぷ」というタイアップ切符を販売しているが、おそらく九州全体の観光振興が目的であろう。なにせJR九州の鉄道事業は全体の売上の4割しかなく、かつ赤字。残る6割の売上や利益の源泉は観光、レジャー、不動産など多角化部門なのである。九州が元気でない限り、JR九州に明るい未来はない。

 別にJR九州を応援しようというのではないが、皆さんも『九州八十八湯めぐり』に参加してみませんか。温泉に加え、九州には美味しいものが沢山ある。大分は魚がうまい。フグ、関さば・関あじ、それに城下カレイ。そうそう鶏のから揚げも本場だ。熊本といえば馬肉(口の中でとろけます!)にあか牛。そして鹿児島には焼酎。地元でしか買えない焼酎も多いし、運が良ければプレミアム焼酎が安く買える。
 暑い季節に温泉はちょっと厳しいが、それでも日本一の炭酸泉「長湯温泉」がある。ここのシュワシュワしたお湯であれば夏でも大丈夫。きっと他にも夏もOKな温泉があると思うので是非お試しあれ。
(まあ、後悔する確率が高いかもしれませんが・・・・)