日本経済新聞で「現代インドの光と影、鮮烈に描く」、「インド映画の新たな傑作」と大絶賛されており(因みに評点は★★★★★)、見逃してなるものかと観に行くことにした。が、僕の感性の問題だろうか、残念ながらそこまでは感動しなかったが・・・。
大都会ムンバイで暮らす3人の女性の物語。早ければ今年にでもGDPで日本を抜くと言われるインド。日本の高度成長期を思わせるエネルギーを感じる。が、皆が豊かになったわけではない。貧しい者も多い。昔からのしきたりもあり、特に女性にとっては窮屈な社会でもある。
ムンバイの病院で働くプラバは、親の決めた男性と、相手のことをよく知らぬまま結婚した。夫は結婚早々ドイツへ出稼ぎに行ったきり帰って来ない。最近は連絡も途絶えがちだ。今は同僚のアヌとルームシェアをして暮らしている。2人は仲が良いわけではない。年も離れているし(プラバの方が上)、真面目なプラバに対し陽気なアヌ。が、共に田舎から都会に出てきた2人、互いに依存している。
アヌは親から執拗に見合い結婚を勧められているが、実はイスラム教徒の恋人がいる。ヒンズー教徒がイスラム教徒と結婚するのはタブー(ときに結婚をめぐり殺人事件が発生することさえあるらしい)。アヌの周りでは彼女の危険な恋愛が噂になっている。
3人目はプラバの友人パルヴァティ。プラバやアヌの働く病院の食堂で働いている。夫に先立たれ一人暮らし。長年暮らしたアパートを、高層ビル建設のために立ち退きを迫られている。
そう、3人ともそれぞれ問題を抱えながら生きているのである。
パルヴァティは、プラバの紹介で弁護士に相談するが、結局アパートを退去するはめになる。彼女はムンバイでの生活を諦め、田舎に帰ることにした。海辺の何もない村である。プラバとアヌは、お別れと引越しの手伝いのため、パルヴァティと一緒に彼女の田舎へと向かった。その田舎で3人とも新しい生活のきっかけを掴むことになる。
話の筋はざっとこんな感じ。生きづらい世の中で互いに認めあい、支え合って生きて行こうとする女性たちの物語である。インド映画によくある “いきなり歌って踊って” はなく、ちょっと寂しい。バックの音楽もインド音楽ではなく西洋音楽。全体に抑制の利いた、洗練された映画である。そうか、フランス、インド、オランダ、ルクセンブルクの合作映画なんだ。インドが舞台で、監督はインド人であるが、純粋なインド映画ではなかったのである。
題名『私たちが光と想うすべて(All We Imagine as Light)』は、”私” ではなく、”私たち” であるのがミソなのだろう。同じような環境で生活していても、友人やパートナーと同じ夢や希望を持つことはできないかもしれない。でも、わかり合うことはできる。だからこそ人は生きて行ける。ラストシーン、暗い闇の中に浮かぶ店の灯を見て、そんなメッセージを感じた。
大都会ムンバイで暮らす3人の女性の物語。早ければ今年にでもGDPで日本を抜くと言われるインド。日本の高度成長期を思わせるエネルギーを感じる。が、皆が豊かになったわけではない。貧しい者も多い。昔からのしきたりもあり、特に女性にとっては窮屈な社会でもある。
ムンバイの病院で働くプラバは、親の決めた男性と、相手のことをよく知らぬまま結婚した。夫は結婚早々ドイツへ出稼ぎに行ったきり帰って来ない。最近は連絡も途絶えがちだ。今は同僚のアヌとルームシェアをして暮らしている。2人は仲が良いわけではない。年も離れているし(プラバの方が上)、真面目なプラバに対し陽気なアヌ。が、共に田舎から都会に出てきた2人、互いに依存している。
アヌは親から執拗に見合い結婚を勧められているが、実はイスラム教徒の恋人がいる。ヒンズー教徒がイスラム教徒と結婚するのはタブー(ときに結婚をめぐり殺人事件が発生することさえあるらしい)。アヌの周りでは彼女の危険な恋愛が噂になっている。
3人目はプラバの友人パルヴァティ。プラバやアヌの働く病院の食堂で働いている。夫に先立たれ一人暮らし。長年暮らしたアパートを、高層ビル建設のために立ち退きを迫られている。
そう、3人ともそれぞれ問題を抱えながら生きているのである。
パルヴァティは、プラバの紹介で弁護士に相談するが、結局アパートを退去するはめになる。彼女はムンバイでの生活を諦め、田舎に帰ることにした。海辺の何もない村である。プラバとアヌは、お別れと引越しの手伝いのため、パルヴァティと一緒に彼女の田舎へと向かった。その田舎で3人とも新しい生活のきっかけを掴むことになる。
話の筋はざっとこんな感じ。生きづらい世の中で互いに認めあい、支え合って生きて行こうとする女性たちの物語である。インド映画によくある “いきなり歌って踊って” はなく、ちょっと寂しい。バックの音楽もインド音楽ではなく西洋音楽。全体に抑制の利いた、洗練された映画である。そうか、フランス、インド、オランダ、ルクセンブルクの合作映画なんだ。インドが舞台で、監督はインド人であるが、純粋なインド映画ではなかったのである。
題名『私たちが光と想うすべて(All We Imagine as Light)』は、”私” ではなく、”私たち” であるのがミソなのだろう。同じような環境で生活していても、友人やパートナーと同じ夢や希望を持つことはできないかもしれない。でも、わかり合うことはできる。だからこそ人は生きて行ける。ラストシーン、暗い闇の中に浮かぶ店の灯を見て、そんなメッセージを感じた。