縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

“マイ・フェイヴァリット・シングス”

2006-04-14 22:25:17 | 芸術をひとかけら
 JR東海のCM“そうだ京都、行こう”でお馴染みのこの歌、元は何の曲かご存知だろうか。映画の曲? それとも、ジャズの曲? どちらも正解である。さらに、もっと正確に言えば、ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の中の曲である。『南太平洋』、『王様と私』などで有名なリチャード・ロジャース(作曲)、オスカー・ハマースタインⅡ世(作詞)のコンビによる作品だ。

 ジュリー・アンドリュース主演の映画『サウンド・オブ・ミュージック』は僕の一番好きな映画である。また一番多く見た映画でもある。映画館で10回以上見ているし、ビデオでも見ている(何を隠そう我が家には『サウンド・オブ・ミュージック』のビデオがある)。映画の舞台を見たいと思い、ザルツブルグも訪れた。
 この映画の魅力は何かというと、やはり音楽の素晴らしさである。アルプスの草原で主人公マリアの歌う“サウンド・オブ・ミュージック”に始まり、マリアのお転婆振りに頭を痛める修道院の尼僧達が歌う“マリア”。マリアが家庭教師に行った先で7人の子供達に音楽を教えるのに使った“ド・レ・ミの歌”。そして、マリアが雷に怯える子供達を励ますため歌った“マイ・フェイヴァリット・シングス”。楽しく、愉快な“ひとりぼっちの山羊飼い”に、子供達が可愛く、微笑ましい“さようなら、ごきげんよう”もあれば、甘く、ロマンティックな“何かよいこと”もある。それに、消え行く祖国を思い皆で歌う感動の“エーデルワイス”など、もう挙げればきりがない。是非、映画をご覧頂きたい。

 ストーリーは、前半は家庭教師となったマリアが、母を失い心を閉ざしていた一家に、音楽を通じて優しさや愛情を取り戻させ、ついには子供達の母親に、つまりその父親と結ばれるまでの話。後半は一転し、ナチスへの反抗から祖国オーストリアを去り、一家で力を合わせ、アルプスを越えて亡命する話である。愛と勇気、それにユーモアのある人達が織り成す、感動のドラマだ。
 また、監督のロバート・ワイズも素晴らしい。アルプスの息を飲むような美しい自然の撮り方、前半と後半の繋ぎ方、結婚式の明るく幸せな鐘の響きが、暗く重苦しい音へと変わる。アカデミーの作品賞、監督賞など5部門を受賞しているが、それでも少ない気がする。

 これを書くにあたり一つ発見があった。“マイ・フェイヴァリット・シングス”の順番だ。ミュージカル、映画、ジャズの順かと思っていたが、ミュージカルが1959年、映画は65年、そしてコルトレーンが取り上げたのが60年と映画より前だった。
 コルトレーンは哲学者というか求道者的なところがあり、彼の音楽は元気なときでないとなかなか聴けない。だが、この“マイ・フェイヴァリット・シングス”は違う。軽快で、愉快なワルツ・テンポの演奏である。彼のほかの曲とは違い、聞くと元気が出て来る感じがする。元歌を知っているせいか、金曜の夜のせいかもしれないが。
 と、こんな僕の想いを知ってか知らずか、うちの猫は横で“マイ・フェイヴァリット・シングス”を一緒に聞きながら、気持ちよさそうに寝ている。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
題名のない音楽会で、アレンジを聴きました。 (にゃんこままの部屋)
2006-06-08 23:25:24
初めまして。

ミュージカルのことを詳しくご存じなんですね。

“マイ・フェイヴァリット・シングス”のことをくわしく、書いていただいて有り難うございました。

先週、TVの「題名のない音楽会21」で、羽田健太郎さんが、「サウンド・オブ・ミュージック」のジャズ風アレンジをなさっているのを聴きました。

それについて、感想を書いたので、宜しかったら、見に来てください。
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