縁側でちょっと一杯 in 別府

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映画『男と女』、その個人的評価

2016-11-06 19:53:07 | 芸術をひとかけら
 あの ♪ダ・バ・ダ、ダバダバダ、ダバダバダ ~♪ のスキャット、フランシス・レイの音楽で有名な『男と女』。1966年のフランス映画である。今回製作50周年を記念しデジタル・リマスター版が作られたと知り、早速見に行ってきた。
 ずっと見たかった映画の一つであり、冷たい雨もなんのその、期待に胸を膨らませ恵比寿の映画館へと向かった。

 ストーリーの説明代わりに、66年の日本封切り時のキャッチコピーを紹介しよう。
  「たちきれぬ過去の想いに濡れながら 愛を求める永遠のさすらい ………その姿は男と女」
情緒的すぎて意味がよく解らないが、なんとなく哀しいラブストーリーのような感じがすることだろう。若干補足すれば、「過去の想い」というのは幸せな日々の思い出である。なぜその想いに濡れる、涙するのかというと、その幸せな日々はもう戻らないから、愛する人が死んでしまったからなのである。
 そして、この過去を引きずりながら新しい愛と出会い戸惑うヒロインを演じるのがアヌーク・エーメ。彼女の知的で気品のある美しさには本当に見入ってしまう。バックに流れるのはフランシス・レイ。これだけお膳立てが揃うと映画が面白くないはずはないが・・・。

 映画を見て、正直、ちょっと拍子抜け。フランス映画っぽくないのである。終わったか終わってないのかよく分からないフランス映画の王道の(?)エンディングではなく、きわめて分かりやすい終わり方。それもハッピーエンド。『ティファニーで朝食を』を意識したのだろうか(小説ではなく映画の方)。フランス映画特有の小難しさはなく、ありきたりのラブストーリーに思えた。
 監督のクロード・ルルーシュは、当時無名で本作にもスポンサーが付かず、自ら制作したという。金銭的に失敗は許されなかったに違いない。そこで最大のマーケットであるアメリカを意識して映画を作ったのではないだろうか。男性の主役はカーレーサーであるが、なんと所属はアメリカの自動車メーカー、フォード。フランス人ならプジョーとか、アルピーヌ(当時レースに強かったメーカー)等のフランス車に乗るべきではないか。うーん、これはフランスで作ったアメリカ向け映画、ハリウッドならぬ“パリ”ウッド映画か?

 ルルーシュ監督の作品は『愛と哀しみのボレロ』を見ている。ジョルジュ・ドンの踊りは素晴らしかったが(彼の踊るボレロには心が震えた)、映画自体はあまり記憶にない。僕はルルーシュと相性が悪いのだろうか。そういえば彼の映画『パリのめぐり逢い』は題名に聞き覚えがある。以前見たかもしれない。調べてみよう。学生時代、僕は、いつ・どこで・何を見たかとその評価(10点満点)を書いた映画メモを作っていたのである。
 
 うん、やはり『パリのめぐり逢い』は見ていた。評価は1(評価ランクとしては“金損した!”レベル)。ルルーシュは昔から僕の好みではないようだ。
 と思ったのもつかの間、あれっ、そのすぐ上に『男と女』が・・・。僕は学生時代、ウン十年前に『男と女』を見ていたのだった。まったく記憶にないが、初めてではなかったのである。
 因みに当時の僕の評価は5(同じく“まあ、こんなもんだね”レベル)。時が流れても僕の評価にブレはないようだ。あるいは、僕がいつまでたっても進歩がない、大人の恋がわからないお子様ということかもしれないが。


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