縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

移民国家の移民問題

2006-04-13 23:34:25 | 海外で今
 移民国家アメリカが不法移民問題で揺れている。今週の10日には全米100以上の都市で不法移民取締強化に反対するデモがあり、ヒスパニックを中心に350万もの人が参加したそうだ。
 移民問題といえば、古くはドイツのトルコ人、最近ではフランスのイスラム系移民が思い浮かぶが、彼らは正規の手続きを経て入国した移民やその子供達である。が、今回は“不法”に入国した者の話である。本来、不法入国者は国外退去が当然なのだろうが、アメリカの場合、そのプレゼンスの大きさから、一筋縄で行かない問題になっている。

 現在アメリカの不法移民の数は1,100万人強、総人口の約4%と言われる。内訳はビザが切れたにも拘わらず留まっている、いわゆるオーバーステイが230万人、国境線を不法に破って入国してきたのが700~800万人である。多くはメキシコはじめ中南米出身者である。
 そして、彼らがアメリカ人の嫌がる低賃金労働、農業、清掃、食肉加工、建設作業などに従事し、アメリカの底辺を支えているのも事実である。

 さて、こうした中、昨年12月に下院で不法移民の取締強化を図る法案が可決された。不法移民を重犯罪人と捉え、その雇用主や支援者をも処罰するという厳しいものだ。冒頭で書いたデモはこの法案に反対するものである。
 一方、ブッシュ大統領は一定の条件の下で不法移民に労働の許可を与える方向で検討しており、また上院はさらに一歩踏み込み、合法的な居住の継続をも認める法案を検討している。下院と上院が相反する内容の法案を支持しているのである。
 世論調査を見ても意見が二分されているのがわかる。Wall Street Journal / NBC News の調査ではブッシュ大統領のゲスト・ワーカー政策を支持しない人56%に対し支持する人39%。 Pew Research Center の調査では53%の人が不法移民は母国へ帰るべきとする一方、何らかの法的地位を与えるべきとする人が40%いた。ヒスパニックの台頭やテロ対策強化とも相俟って、なかなか解決の糸口は見えない。

 不法移民擁護派は人道主義や人権問題をその理由としているが、私はそれはおかしいと思う。不法入国した者勝ち、住み付いた者勝ちというのでは、正規の手続きを踏んで移民しようとしている多くの人達に対し公正とは言えない。機会は平等に与えられるべきであり、それを歪めてはいけない。
 さらに不法移民反対派がその理由に挙げるフリー・ライダーとの批判にも一理あると思う。不法移民は税金を払わないが、アメリカ国民の払う税金の恩恵を享受している。例えば教育。アメリカは生地主義を採っていることから、アメリカで生まれた不法移民の子供はアメリカ人として学校に通っている。病院のERで治療を受けることもできる。また自動車保険に入っていないことから事故の支払いで問題を起こすことも多いようだ。人道主義といってもメキシコは北朝鮮とは違う。

 そうは言っても既に不法移民がアメリカ社会に組み込まれているのは紛れもない事実である。この問題にアメリカ国民がどのような結論を出すのか、人口減少社会を迎え、労働力人口が減少して行くわが国にとって今後の参考になるかもしれない。

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