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子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

子宮内膜症患者が腹腔鏡下手術を受ける価値があるのか?その7

2006-07-30 | 子宮内膜症
★若年女性の子宮内膜症
患者さんが若いほど、病巣がアクティブなことが多く、できるだけ病巣を切除しなければ再発しやすい。技術が伴わなければ卵巣チョコレート嚢胞の核出では、卵巣の正常部分を取りすぎたり出血させたりして、卵巣機能不全や不妊の原因になることがある。しかし、深部病変や癒着に関しては繊維化が進んでいないことが多く、意外にも癒着剥離しやすかったり、切除しやすかったりする。

★30代後半より年齢の高い女性の子宮内膜症
月経が始まってから20年以上経過しているので、子宮内膜症自体が年季が入っている。(変な表現?)繊維化が進んでいて癒着を剥離するのが難しいことが多く、骨盤の奥深い組織が引っ張られるように癒着しているので深部病変を完全に切除しようとすると出血が多くなることがある。(骨盤の奥深くにある静脈の近くにまで病変が及んでいる。)しかしながら病巣自体は繊維化が主体で子宮内膜症病変はそれほど多く存在しないことが多く、多少残ったとしても月経痛は治りやすい。閉経まで10数年だから、それまでのことを考えておけばどうにか管理できる。

★手術の戦略は?
子宮内膜症手術の基本的な戦略は、腹腔鏡下で腹腔内を十分に観察し、子宮内膜症病変をできるだけ切除することだ。骨盤痛が主訴になる場合には特にそうしなければならない。しかし不妊が主訴で骨盤痛があまり強くない場合には術後癒着や妊孕性温存のことを考えておくべきだろう。このように病変がどれくらいアクティブか繊維化が進んでいるかで、どれくらいラジカルに手術するかを考えた方がいいのではないかと思っている。
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