Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

Artie Traum

2008年07月25日 | diary
 敬愛するアーティ・トラウムが、20日にウッドストックの自宅で亡くなった。肝臓ガンだった。享年65才。この悲しいニュースを、僕は昨日知った。何日も知らなかったなんて…。すぐに2人の友人にメールをした。それからしばらくはアーティの歌とギターを聴いて、天国にいるアーティを偲んだ。

 僕が今も新鮮な気持ちで音楽を聴けているのは、アーティのおかげかもしれない。あのとき『Happy and Artie Traum』というレコードを聴いていなかったら、“Rabbit's Luck”や“Going Down To See Bessie”を聴いていなかったら、僕は今とは違う人生を送っていたと思う。そのことは以前もこの日記にたびたび綴ってきた(これとかこれとかこれとか)。

 ウッドストックという小さなコミュニティで、そこの住人となり、町に溶け込み、世界に向けてではなく自分と周囲の人達のために、アーティは歌い、ギターを弾いた。ちょうど僕が、自分や家族や友人のために生きているのと同じように。ウッドストックには、今でも素晴らしいミュージシャンが、僕らと変わらないごく当たり前の生活をしている。もしハッピーとアーティの兄弟がいなかったら、そんなコミュニティはきっともう存在していないだろう。アーティは、ウッドストックの精神そのものだった。

 アーティ達の音楽を聴いて、僕はひとつの場所に根づいて生きていくことを、具体的に考えるようになった。大きな成功を望むのではなく、自分にとっての幸せがなんなのかを、改めて考えるようになった。僕はただ、愛する人達や親しい人達と良好な関係をつづけ、思いやりをもって生きていきたい。そして、そこでは当たり前のように、音楽が流れていてほしい。衣食住と同じように、けっして切り離すことのできない生活の一部として。アーティの人生がそうであったように。

 僕をここまで導いてくれてありがとう。あなたの音楽をこれほど近しく感じられたことを、心から幸せに思っています。