EG23の続きです。‘easy’構文における通行禁止エリアです。以下、見ましょう。
(1)It is impossible to take care of John. (〇) (ジョンの面倒をみるなんて、不可能だね。)
(2)John is impossible to take care of _. (〇) (訳同上)
(1)をもとにして、‘John’が、(2)にあるように、文の先頭まで移動しています。 (かわりに、‘it’には退場してもらいます。) この構文の特徴は、(1)の‘to’不定詞の中にある「目的語」が、そのまま、‘be impossible’「不可能だ、無理だ」、の主語位置に現れて、不定詞内における、本来、目的語があるべき位置が、空家 (空所) になってしまうところにあります。 (EG23、参照。)
(3)It is impossible to take pictures of John. (〇) (ジョンの撮影は、無理だね。)
(4)John is impossible to take pictures of _. (〇) (訳同上)
もちろん、(1)から(2)の変形が、OKになるのと同じように、(3)から(4)の変形も、OKになります。(3)における‘of ~’の目的語‘John’を、(4)では、‘be impossible’の主語位置まで移動したのですから、当然、OKですよね。
ところで、今回は、‘take care of ~’「~ の面倒をみる、世話をする」や、‘take pictures of ~’「~ の写真を撮る」、といった表現が使われていますが、こういった表現は、学校などでは、よく、1つのまとまった慣用表現として覚えるように習うことが多いと思います。しかし、‘take pictures of ~’の場合、別の解釈として、「~ の写真をもっていく」というような、単純な意味に取っても構いません。
(5)It is impossible to take pictures of John. (〇)
(ジョンの写真をもっていくのは、無理だね。)
(6)John is impossible to take pictures of _. (×) (訳同上)
ん?(6)はアウト?ナンデですか?そうですね。(5)からの変形である、(6)はアウトになってしまいました。これはどういうことなんでしょうか。ここで注意して欲しいのは、(4)と(6)は、英語としての姿カタチは、全く同じである、ということです。しかし、ただ、解釈は異なっている、ということなんですね。
つまり、解釈の変化が、‘easy’構文の移動の可否に影響を及ぼす、ということらしいのですが、これをどう見るべきなんでしょうか。そこで、‘take care of ~’のような表現は、カタチの上では、「動詞+名詞+前置詞」という姿をしています。ですので、こういった点に着目するならば、他の表現にも、同じカタチをしているものは、いくらでもありますね。
(7) a. It is impossible to give a big house to John. (〇)
(ジョンにデカイ家を与えるのは、無理。)
b. John is impossible to give a big house to _. (〇) (訳同上)
(8) a. It is impossible to buy a present for John. (〇)
(ジョンにプレゼントを買ってやるのは、無理。)
b. John is impossible to buy a present for _. (〇) (訳同上)
(7a)から、(7b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘give A to B’「A を B に与える」、が使われています。そして、その変形は、OKです。一方、(8a)から、(8b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘buy A for B’「A を B に買ってやる」、が使われています。そして、その変形も、OKです。これらは、いずれも、「動詞+名詞+前置詞」、という姿をしています。
(9) a. It is impossible to give pictures of John. (〇)
(ジョンの写真をあげるのは、無理。)
b. John is impossible to give pictures of _. (×) (訳同上)
(10) a. It is impossible to buy pictures of John. (〇)
(ジョンの写真を買うのは、無理。)
b. John is impossible to buy pictures of _. (×) (訳同上)
今度は、(9a)から、(9b)における変形ですが、‘to’不定詞の部分が、‘give pictures of ~’「~ の写真を与える」になっています。そして、その変形は、アウトです。一方、(10a)から、(10b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘buy pictures of ~’「~ の写真を買う」、が使われています。そして、その変形も、アウトです。
(7a-b)~(10a-b)の共通点は、いずれも、‘to’不定詞の部分が、「動詞+名詞+前置詞 ~」、という姿をしていることです。しかし、異なっている点は、(7a)では、‘to John’が、‘a big house’にかかる表現ではなく、同様に、(8a)でも、‘for John’が、‘a present’にかかる表現ではない、ということである一方、(9a)においても、(10a)においても、共に、‘pictures of John’「ジョンの写真」は、1つのまとまった名詞句であり、つまり、‘of John’が、‘pictures’にかかっている、ということです。
ここから、1つの結論として言えることは、‘easy’構文においては、‘to’不定詞内の目的語が、名詞句の一部になっている場合、例え、「目的語」というステイタスをもっていたとしても、移動の対象とすることは不可能である、ということです。
この結論を踏まえて、(6)が、なぜ、アウトになるのかを考えると、やはり、「~ の写真をもっていく」、の解釈になる場合、「動詞 (take)+名詞句 (pictures of ~)」、のような成り立ちが原因である、と考えるのが、妥当であることがわかると思います。
一方、(2)や(4)が、なぜ、OKになるのかは、おそらく、‘take care of ~’「~ の面倒をみる、世話をする」や、‘take pictures of ~’「~ の写真を撮る」、といった表現が、慣用的に1つのまとまった、いわゆる、イディオムとして見なされて、「動詞+名詞句」、の成り立ちを、キャンセルしているためだと思われます。
つまり、名詞句という成り立ちを無視して、「動詞+名詞+前置詞 ~」、という、単語の並びのみから、その中身 (「名詞+前置詞=名詞句」という成り立ちになっているか否か) を問うことなく、即座に、慣用表現としての意味をつくり上げていると判断されるケースに該当するためである、と言えそうです。
(11)Pictures of John are impossible to take _.
(12)a. ジョンの撮影は、無理だね。 (×)
b. ジョンの写真をもっていくのは、無理だね。 (〇)
(11)では、本来、‘take’の後にあるはずの、‘pictures of John’が、‘be impossible’の主語位置にありますが、この場合、(12a)の解釈がアウトであり、一方、(12b)の解釈ならば、OKであることから、やはり、‘pictures’+‘of’+‘John’のつながりが、1つの名詞句として、見なされるか否かがポイントであることがわかります。
今回のポイントは、‘easy’構文において、その移動をブロックする環境です。‘easy’構文の移動は、‘to’不定詞の中に名詞句がある場合、その名詞句内の目的語は、移動が不可能であることがわかりました。これまで、他でも見てきたようなことから、考え合わせると、‘easy’構文は、ちょっと神経質なところがありますね。 (EG83、EG99参照。)
■注 :‘take pictures of John’「ジョンの写真を撮る」の場合は、イディオムとして見なされることが多いのですが、一方、類似した意味の、‘take John's pictures’は、‘John's pictutes’の部分を、1つのカタマリと見なして、名詞句ととらえる傾向があります。ですので、(11)を、‘John's pictures are impossible to take.’、と言いかえると、(12a)の解釈を、OKにし易くなります。
●関連: EG23、EG83、EG99
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(1)It is impossible to take care of John. (〇) (ジョンの面倒をみるなんて、不可能だね。)
(2)John is impossible to take care of _. (〇) (訳同上)
(1)をもとにして、‘John’が、(2)にあるように、文の先頭まで移動しています。 (かわりに、‘it’には退場してもらいます。) この構文の特徴は、(1)の‘to’不定詞の中にある「目的語」が、そのまま、‘be impossible’「不可能だ、無理だ」、の主語位置に現れて、不定詞内における、本来、目的語があるべき位置が、空家 (空所) になってしまうところにあります。 (EG23、参照。)
(3)It is impossible to take pictures of John. (〇) (ジョンの撮影は、無理だね。)
(4)John is impossible to take pictures of _. (〇) (訳同上)
もちろん、(1)から(2)の変形が、OKになるのと同じように、(3)から(4)の変形も、OKになります。(3)における‘of ~’の目的語‘John’を、(4)では、‘be impossible’の主語位置まで移動したのですから、当然、OKですよね。
ところで、今回は、‘take care of ~’「~ の面倒をみる、世話をする」や、‘take pictures of ~’「~ の写真を撮る」、といった表現が使われていますが、こういった表現は、学校などでは、よく、1つのまとまった慣用表現として覚えるように習うことが多いと思います。しかし、‘take pictures of ~’の場合、別の解釈として、「~ の写真をもっていく」というような、単純な意味に取っても構いません。
(5)It is impossible to take pictures of John. (〇)
(ジョンの写真をもっていくのは、無理だね。)
(6)John is impossible to take pictures of _. (×) (訳同上)
ん?(6)はアウト?ナンデですか?そうですね。(5)からの変形である、(6)はアウトになってしまいました。これはどういうことなんでしょうか。ここで注意して欲しいのは、(4)と(6)は、英語としての姿カタチは、全く同じである、ということです。しかし、ただ、解釈は異なっている、ということなんですね。
つまり、解釈の変化が、‘easy’構文の移動の可否に影響を及ぼす、ということらしいのですが、これをどう見るべきなんでしょうか。そこで、‘take care of ~’のような表現は、カタチの上では、「動詞+名詞+前置詞」という姿をしています。ですので、こういった点に着目するならば、他の表現にも、同じカタチをしているものは、いくらでもありますね。
(7) a. It is impossible to give a big house to John. (〇)
(ジョンにデカイ家を与えるのは、無理。)
b. John is impossible to give a big house to _. (〇) (訳同上)
(8) a. It is impossible to buy a present for John. (〇)
(ジョンにプレゼントを買ってやるのは、無理。)
b. John is impossible to buy a present for _. (〇) (訳同上)
(7a)から、(7b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘give A to B’「A を B に与える」、が使われています。そして、その変形は、OKです。一方、(8a)から、(8b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘buy A for B’「A を B に買ってやる」、が使われています。そして、その変形も、OKです。これらは、いずれも、「動詞+名詞+前置詞」、という姿をしています。
(9) a. It is impossible to give pictures of John. (〇)
(ジョンの写真をあげるのは、無理。)
b. John is impossible to give pictures of _. (×) (訳同上)
(10) a. It is impossible to buy pictures of John. (〇)
(ジョンの写真を買うのは、無理。)
b. John is impossible to buy pictures of _. (×) (訳同上)
今度は、(9a)から、(9b)における変形ですが、‘to’不定詞の部分が、‘give pictures of ~’「~ の写真を与える」になっています。そして、その変形は、アウトです。一方、(10a)から、(10b)における変形では、‘to’不定詞の部分に、‘buy pictures of ~’「~ の写真を買う」、が使われています。そして、その変形も、アウトです。
(7a-b)~(10a-b)の共通点は、いずれも、‘to’不定詞の部分が、「動詞+名詞+前置詞 ~」、という姿をしていることです。しかし、異なっている点は、(7a)では、‘to John’が、‘a big house’にかかる表現ではなく、同様に、(8a)でも、‘for John’が、‘a present’にかかる表現ではない、ということである一方、(9a)においても、(10a)においても、共に、‘pictures of John’「ジョンの写真」は、1つのまとまった名詞句であり、つまり、‘of John’が、‘pictures’にかかっている、ということです。
ここから、1つの結論として言えることは、‘easy’構文においては、‘to’不定詞内の目的語が、名詞句の一部になっている場合、例え、「目的語」というステイタスをもっていたとしても、移動の対象とすることは不可能である、ということです。
この結論を踏まえて、(6)が、なぜ、アウトになるのかを考えると、やはり、「~ の写真をもっていく」、の解釈になる場合、「動詞 (take)+名詞句 (pictures of ~)」、のような成り立ちが原因である、と考えるのが、妥当であることがわかると思います。
一方、(2)や(4)が、なぜ、OKになるのかは、おそらく、‘take care of ~’「~ の面倒をみる、世話をする」や、‘take pictures of ~’「~ の写真を撮る」、といった表現が、慣用的に1つのまとまった、いわゆる、イディオムとして見なされて、「動詞+名詞句」、の成り立ちを、キャンセルしているためだと思われます。
つまり、名詞句という成り立ちを無視して、「動詞+名詞+前置詞 ~」、という、単語の並びのみから、その中身 (「名詞+前置詞=名詞句」という成り立ちになっているか否か) を問うことなく、即座に、慣用表現としての意味をつくり上げていると判断されるケースに該当するためである、と言えそうです。
(11)Pictures of John are impossible to take _.
(12)a. ジョンの撮影は、無理だね。 (×)
b. ジョンの写真をもっていくのは、無理だね。 (〇)
(11)では、本来、‘take’の後にあるはずの、‘pictures of John’が、‘be impossible’の主語位置にありますが、この場合、(12a)の解釈がアウトであり、一方、(12b)の解釈ならば、OKであることから、やはり、‘pictures’+‘of’+‘John’のつながりが、1つの名詞句として、見なされるか否かがポイントであることがわかります。
今回のポイントは、‘easy’構文において、その移動をブロックする環境です。‘easy’構文の移動は、‘to’不定詞の中に名詞句がある場合、その名詞句内の目的語は、移動が不可能であることがわかりました。これまで、他でも見てきたようなことから、考え合わせると、‘easy’構文は、ちょっと神経質なところがありますね。 (EG83、EG99参照。)
■注 :‘take pictures of John’「ジョンの写真を撮る」の場合は、イディオムとして見なされることが多いのですが、一方、類似した意味の、‘take John's pictures’は、‘John's pictutes’の部分を、1つのカタマリと見なして、名詞句ととらえる傾向があります。ですので、(11)を、‘John's pictures are impossible to take.’、と言いかえると、(12a)の解釈を、OKにし易くなります。
●関連: EG23、EG83、EG99
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