goo blog サービス終了のお知らせ 

英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(35)

2004年12月21日 | 受身文
EG34の続きです。受身文の基本です。また、EC11でも大雑把に触れましたが、ちょっとネタを足してみます。以下、見ましょう。

(1)Everybody respects John. (みんな、ジョンを尊敬してるぞ。)
(2)John is respected _ (by everybody). (ジョンは、(みんなから) 尊敬されてるぞ。)

ご存知のように、(1)は能動文で、(2)は、(1)に対応する受身文ですね。能動文(1)の目的語‘John’が、主語の位置に移動して、‘respect’は、「‘be’動詞 (is)+過去分詞 (respected)」になります。 (下線部は、‘John’の移動によって空所になった位置)

この際、(2)の‘by everybody’「みんなによって」は、一応、(1)の主語である‘everybody’が、前置詞‘by ~’と共に、文の末尾に位置していると考えられますが、これはオプションとして扱われることが多いので、あってもなくてもOKです。このように、受身文は、必ず例外なく、「目的語」が主語位置に移動してつくられるという法則があります。

(3)受身文は「目的語」が主語の位置に移動することでつくられる。

受身文の法則(3)によれば、必ず、主語位置への移動の対象は、「目的語」ということですので、(3)を踏まえた上で、ここから、ちょっと発展的に考えるならば、「前置詞+名詞」の場合も、その名詞が目的語の扱いを受けていますので、以下のような受身文がつくれます。

(4)Mary spoke to Tom. (メアリーは、トムに話しかけた。)
(5)Tom was spoken to _ (by Mary). (トムは (メアリーに) 話しかけられた。)

能動文(4)からも、受身文(5)がつくられますが、(4)のような場合、‘speak to’「~ に話しかける」を、あたかも、1つの動詞 (他動詞) であるかのように考えて、前置詞‘to ~’を付けたままにしておくことがポイントとなります。

(6)Mary spoke Tom. (×) (メアリーは、トムに話しかけた。)
(7)Tom was spoken _ (by Mary). (×) (トムは (メアリーに) 話しかけられた。)

能動文(6)は、もともとアウトですが、(6)に対応する受身文(7)も、アウトです。これは、‘speak’が普通、自動詞 (他動詞のように目的語を取らない動詞) の扱いをうけるからで、前置詞なしでは、直接、目的語を取れない動詞だからです。

つまり、もとになる能動文がアウトであるなら、それに連動するカタチで、対応する受身文もアウトになる、という点で、能動文と受身文は、密接な関係をもっていると言えます。これを言いかえれば、変形は、もとが正しくなければ、それを派生させたものも、また正しくない、ということなんですね。

と、ここまで言って妙に簡単な印象を受けるんですが、日本語の発想から考えると、これまで述べてきたような、受身文における、この簡単な仕組みを、やけに難しくしているような部分があります。例えば、「~ と聞かされた」というような日本語の表現は、「~ された」で、受身文として考えて、よく以下のようにやってしまいます。

(8)I was heard [ that he had broken his arm ]. (×) 
  (私は [ 彼が腕を骨折したと ] 聞かされた。)

(9)Someone heard me [ that he had broken his arm ]. (×) 
  (ある人が私に [ 彼は腕を骨折したと ] 聞かせた。)

受身文(8)はアウトですが、ここで、考え方としては、受身文の法則(3)を、常に守ることを念頭に置かねばなりません。(3)があると、(8)に対応する能動文として、(9)がOKであるかどうかを、チェックしなければならないんですが、やはり、能動文(9)もアウトなのです。

つまり、‘hear’「~ だと聞く」は、(9)のように、「‘hear’+A (目的語)+‘that’節」というような使い方をしない動詞なのです。ですので、能動文(9)を正しいと思い込んで、受身文(8)をつくっても、アウトになるわけですね。

(10)I heard [ that he had broken his arm ]. (〇)
  (私は [ 彼が腕を骨折したと ] 聞かされた。)

そこで、正しいのは、(10)のように、‘hear’の直後に‘that’節を取るカタチです。日本語で、「~ と聞かされた」と表現されていても、よく考えてみれば、結局、それは、「~ と聞いた」と言ってるのと、実質的には同じことですから、英語の側では、「~ と聞いた」の方に近い発想で表現するんですね。では、類例をもう1つ。

(11)I was pointed _ out my fault (by someone). (×)
  (自分の落ち度を、(ある人に) 指摘されてしまいました。)

(12)Somebody pointed me out my fault. (×)
  (ある人が、私の落ち度を指摘しました。)

もう、おわかりだと思いますが、一応、受身文(11)が、なぜ、アウトなのかをチェックすると、(11)に対応する能動文(12)が、やはり、アウトだからです。‘point out’「~ を指摘する」という表現は、(12)のように、目的語を、2つは取れず、1つしか取れないので、以下のような受身文しかつくれません。 ((11)のような文に関連する解説は、EG21、参照。)

(13)My fault was pointed _ out (by someone). (〇) (訳同(11))

今回のポイントは、英語の受身文は、一般的に簡単と思われがちですが、日本人にとっては、いざ会話などで使うとなると、障害要因が多岐にわたり、思いの他、使いにくいということです。つまり、英文法の観点からは、ただ単に、(3)のようなルールを知っておけばよいだけなのですが、これに、日本語の発想が絡むと、かなりややこしい話になってくる、ということなのです。

今回、取り上げた受身文に対する日本語の障害要因は、まだ、ほんの一例にすぎず、また別の機会に扱いたいと思いますが、要するに、ここは、思い切って日本語の発想を捨てることが肝要で、踏ん張ってコツコツと、「能動文・受身文」の変形パターンという基本的なチェックを、常に念頭においてトレーニングするしか、英語脳を鍛えあげる方法はない、ということです。

今回は、英語の受身文にとっては、まさに日本語こそが大敵であるという一例だったわけですね。

●関連: EC11EG21EG34

       みんなの英会話奮闘記★      ★英語・人気blogランキング

英語学習法(34)

2004年12月20日 | 受身文
受身文の入門編です。3つの要点に絞って、以下、見ましょう。

(1)John is loved by Mary. (ジョンは、メアリーから愛されています。)

(1)にあるように、‘~ is loved by ・・・’「~ は ・・・ から愛されている」のカタチの部分が受身文の最たる特徴です。ところで、‘loved’の部分は、一見、過去形に見えますが、実はそうではなく、「過去分詞」と呼ばれているものです。

(2)love-loved-loved

(2)は、動詞‘love’「愛する」の、言わば、活用ですが、こういった動詞の活用を学校などで習いますね。(2)の配列の順序としては、「原形 (love)-過去形 (loved)-過去分詞 (loved)」という順序で並んでいます。ですので、動詞の三段活用とでも言うべき語形変化が起こっているわけです。

そして、(2)では、2番目ではなく、3番目の‘loved’が過去分詞ですので、(1)の受身文で使われているのは、3番目の‘loved’の方なのです。と言っても、そんなの、2番目でも、3番目でも、結局、カタチは同じなんだから、どっちでもいいじゃない、と考えたくなりますが、まあ、他のケースもあわせて考えると、やはり、3番目と考えておいた方が無難です。

(3)A nice guy is chosen by a pretty girl. (いい男は、いい女から選ばれるものだ。)
(4)choose-chose-chosen

受身文(3)の‘chosen’ですが、(4)の三段活用を見ると、それぞれカタチが異なっていて、3番目のカタチでなければならないことがわかります。このように、動詞の三段活用において、「原形-過去形-過去分詞」が、全て違う語形をしているような、言わば、不規則変化の場合がありますから、やはり、3番目 (過去分詞) を選んで、受身文をつくる、ということをしなければなりません。

(5)John was loved by Mary. (ジョンは、メアリーから愛されていた。)
(6)John was chosen by Mary. (ジョンは、メアリーから選ばれた。)

次のポイントですが、(5)と(6)では、‘be’動詞が‘was’になっています。これは、もちろん、過去形なんですが、それにともなって、意味の方も過去の文になっています。つまり、受身文では、「‘be’動詞+過去分詞」というように、動詞が2つ並んでいて、その中でも、‘be’動詞の方が、時制に関する情報を担うことになっているわけですね。

これは、受身文で、動詞が2つ並んでいるとはいっても、実質的に、過去分詞の方は、三段活用の2番目、つまり、過去形ではないので、「過去」分詞と名前がついていても、過去のことを表せる資格は与えられていないことに起因するものです。ですので、残った‘be’動詞の方が時制についての仕事をするわけですね。

(7)John will be loved by Mary. (ジョンは、メアリーから愛されるでしょう。)
(8)John will be chosen by Mary. (ジョンは、メアリーから選ばれるでしょう。)

(7)や(8)からもわかるとおり、未来のことについて表現する場合は、さして特別なことをするわけでもなく、ただ単純に、助動詞‘will’を補ってやればよいだけです。もちろん、‘be’動詞は原形にします。これは、別に受身文に特有の規則ではないから、簡単ですね。では、以下が最後のポイントになります。

(9)John was killed by Mary. (ジョンはメアリーに殺害された。)

(10)John was killed by a gun. (×) (ジョンは拳銃で殺害された。)
(11)John was killed with a gun. (〇) (訳同上)

(9)の‘by Mary’のように、受身文の末尾には、一般的に、‘by ~’「~ によって」という前置詞の表現がきますが、常にそうとは限りません。(10)の‘by a gun’「拳銃で」はアウトで、一方、(11)の‘with a gun’がOKになっています。

これは、受身文の‘by ~’は、「行為者」に相当する表現しか取ることができないためで、拳銃のようなものは行為者ではなく、むしろ、「道具」であると考えられるからです。つまり、行為者が使用した道具、というような解釈になるので、以下のような表現も可能です。

(12)John was killed with a gun by Mary. (〇) (ジョンは、メアリーに拳銃で殺害された。)

(12)では、「道具」を表現した‘with a gun’と、「行為者」を表現した‘by Mary’を同時に使っています。ここで補足ですが、このような区別は、ヒトかモノかで判断されるような性質のものではないので、その点、注意が必要です。

(13)John was hit by a car. (〇) (ジョンは、クルマにはねられた。)

(13)のような場合、‘by a car’がOKになるので、クルマが行為者として表現されていることになります。ですので、実は、この辺の判断基準は、結構あいまいなもので、どことなく行為者と感じられるならば、‘by ~’を使って表現しようというものらしいのです。

この基準を大ざっぱに考えると、一見、道具に思えるようであっても、まるでヒトの意思が乗り移っているかのように感じられるような場合は、それを行為者と見なして‘by ~’で表現しようという発想です。確かに、クルマは、拳銃とは違って、運転者の意思で動かして操っている、という感じはします。

(14)John was surrounded by many buildings. (〇)
  (ジョンは、たくさんのビルに囲まれていた。)

しかし、(14)のような例にもなると、‘many buildings’「たくさんのビル」が、あたかも意思をもって、ジョンを囲んでいるかのように見なされるとは言っても、クルマとは違って、実際にビルを操っている人物などいるわけがないので、これは、もう比喩のレベルに達していると思われます。

(15)John was hit with a car by Mary. (〇) (ジョンは、メアリーにクルマではねられた。)

(15)はOKですが、可能な解釈としては、メアリーが、運転せずに押して転がしてきたクルマにジョンがはねられた、あるいは、怪力女のメアリーがクルマを持ち上げて、ジョンに投げつけて命中した、というような描写になるようです。つまり、「道具」という解釈は、ヒトが使うのを前提としていながらも、それが手からすぐに離せるような状態にある、ということが条件であったりするわけですね。

ここから、再度、(14)を考えると、ビルはヒトが使っていて、かつ、すぐに手から離せるようなものではありません。そこで、道具とは見なせなくなるので、改めて、行為者としての解釈が浮上してくるのではないか、と思われます。つまり、道具と見なせないようなら、消去法的に、行為者としての解釈を取る、というやり方なんですね。

今回のポイントは、受身文の入門編を、3つのポイントに絞って解説したということです。1つ目は、「‘be’動詞+過去分詞」というカタチが基本形であり、2つ目は、時制の主導権は‘be’動詞の側で担うということであり、そして、3つ目は、‘by ~’という前置詞表現は、どのような場合に別の前置詞と区別されるのか、ということです。

今回は、受身文のカタチを最初から使っていましたが、もちろん、能動文からの変形を説明しなくてはなりませんから、次回、また受身文を、変形という観点から扱ってみたいと思います。

       みんなの英会話奮闘記★      ★英語・人気blogランキング