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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(111)

2006年03月31日 | 比較
EG109、EG110の続きです。比較の構文における対比要素‘as ~’と‘than ~’の共通点です。以下、見ましょう。

(1)Tom jumps very high. (〇) (トムは、とても高くジャンプする。)
(2)John jumps as high as Tom (does). (〇) (ジョンは、トムと同じくらい高くジャンプする。)

(1)の文をもとにして、(2)のような比較の構文をつくることができます。後半の‘as’以下では、‘Tom does’の‘Tom’が、主語としてはたらいているので、ちょうど、主語‘John’と、同じ主語同士ということになり、構文的なバランスがとれています。

ここから、接続詞‘as’によって、(1)の文を、(2)の中に、その一部としてつないだ後、動詞句‘jump very high’が消去された、と説明することができます。 (動詞句の消去、および、助動詞‘does’の出現に関しては、EG20、参照。)

(3)The world record jumps very high. (×) (世界記録がとても高くジャンプする。)

(4) a. John jumps as high as the world record does. (×)
    (ジョンのジャンプは世界記録とタイだ。)
   b. John jumps as high as the world record. (〇) (訳同上)

今度は(3)ですが、(3)は、意味不明でアウトです。ですので、当然、(4a)もアウトになるわけですが、一方、(4b)がOKになっています。(4a)は、‘the world record’「世界記録」が主語であることを示す‘does’が後に続いていますが、もちろん、動詞句‘jump very high’などの消去と考えても、(3)がもともとアウトなので、意味がありません。

そこで、(4b)のように、‘does’が続かない‘the world record’だけならば、OKにできるのですが、その理由は、‘as’には、接続詞としての用法以外に、前置詞としての用法もあるからだ、と考えなければなりません。そして、もちろん、接続詞としてだけではなく、前置詞としての用法があることは、‘than’にも共通しています。

(5) a. John jumps higher than Tom does. (〇)
    (ジョンは、トムよりも高くジャンプする。)
   b. John jumps higher than Tom. (〇) (訳同上)

(6) a. John jumps higher than the world record does. (×)
    (ジョンは、世界記録よりも高くジャンプする。)
   b. John jumps higher than the world record. (〇) (訳同上)

(5a-b)は、共にOKです。これは、(5a)の場合、(1)を手がかりにして、「‘than’(接続詞)+‘Tom’(主語)+‘does’(助動詞)」 (動詞句‘jumps very high’の消去) であると考えておけばよく、一方、(5b)の場合、さらに、‘Tom’の後にある助動詞‘does’が消去されていると考えれば、説明がつきます。

しかし、(6a)がアウトである一方、(6b)がOKです。(6a)の場合は、もちろん、アウトである(3)にもとづいた(4a)がアウトになることと理由は同じですが、その一方で、(6b)がOKになるわけですから、これは、もはや、(5a)から(5b)が派生されるようなケースとは同じではありません。

そこで、(6b)は、(6a)から‘does’が消去された、などと考えることはできず、やはり、‘than’も‘as’と同様、前置詞としての選択肢があるケースを認める以外に説明はつかない、という結論になります。

(7)John ate more oranges than Tom bought apples. (〇)
  (ジョンが食べたミカンの数は、トムが買ったリンゴの数より多い。)

(8)More oranges than Tom bought apples were eaten by John. (×)
  (トムが買ったリンゴの数よりも多いミカンが、ジョンによって食べられた。)

(7)と(8)は、共に、「‘than’(接続詞)+‘Tom bought apples’(文)」をもった比較の構文ですが、(7)はOKで、一方、(8)はアウトです。(7)の‘than Tom bought apples’は文の末尾に置かれていますが、一方、(8)の‘than Tom bought apples’は、受身文の主語の一部であり、‘More oranges than Tom bought apples’「トムが買ったリンゴの数よりも多いミカン」という1つのカタマリ (名詞句) となっています。

つまり、接続詞としての‘than’が後にしたがえる表現は、文の末尾に位置していなければ、OKにできず、名詞にかかることを強制されるような位置に置くことはできない、といった制約があるようです。しかし、前置詞としての‘than’というオプションもあることが、既に証明済みなので、この前置詞‘than’ならばどうか、ということになります。

(9)More oranges than apples were eaten by John. (〇)
  (ジョンによって食べられたミカンの数は、リンゴの数より多い。)

(9)はOKです。‘more oranges than apples’「リンゴよりも多くのミカン」という表現は、主語位置にある1つのカタマリであり、その中の‘than apples’は、(8)にあるような‘than Tom bought apples’とは違って、別に文の末尾に位置している必要など、全くありません。

(10)John ate more oranges than Tom bought _. (〇)
  (ジョンは、トムが買った数より多くのミカンを食べた。)

ところで、比較の構文には、(10)のように、目的語‘oranges’のみが、前半と後半の文での共通した語句であり、かつ、それのみが‘than’以下で表現されないようなものもあります。考え方としては、やはり、「‘than’(接続詞)+‘Tom bought oranges’(文)」のような表現から、‘oranges’の消去があった、というやり方でよいと言えます。ですので、(10)の下線部は、‘oranges’として解釈されるべき空所ということですね。

(11)More oranges [ than Tom bought _ ] were eaten by John. (〇)
  ([ トムが買った数より ] 多くのミカンが、ジョンによって食べられた。)

そこで、(11)ですが、何とOKです。(11)は、(10)にあるような、‘more oranges than Tom bought _’を、主語位置に置いた受身文ですが、これがOKであるとなると、一方で、(8)がアウトであるという事実に対して、ちょっとややこしい話になってきます。

なぜならば、「接続詞‘than’(または‘as’)+文」から、その文の中の要素を消去した結果、(4b)や(6b)といった比較の構文が派生されるわけではなく、むしろ、(4b)や(6b)は、「前置詞‘than’(または‘as’)+名詞」という、全く別の選択肢を取っているからだ、という結論が既に確定しているからです。

そこで、(11)を、再度、考え直してみると、その主語位置の‘than’以下は、あたかも、関係節のような成り立ちになっているのがわかります。つまり、‘than Tom bought _’を、関係代名詞‘than’と、その目的語の空所から成る関係節に見立てて、それが‘more oranges’にかかるようなカタチになっています。 (関係節の基本に関しては、EG24、EG26、参照。)

ここから、どうやら、比較の構文は、名詞 (句) にかかって、1つのカタマリと見なされるようなカタチになる場合は、他の構文と類似的な振る舞い方を許す、という考えが成立しそうです。つまり、「前置詞+名詞」のカタチは、名詞にかかることができるし、一方、関係節も、名詞にかかるカタチですので、比較の構文は、その2つの構文の性質を受け継ぐことが許されている、ということになります。

(12)As many oranges as apples were eaten by John. (〇)
  (リンゴの数と同じだけのミカンが、ジョンによって食べられた。)


(13)a. John ate as many oranges as Tom bought _ . (〇)
    (ジョンは、トムが買った数と同数のミカンを食べた。))

   b. As many oranges [ as Tom bought _ ] were eaten by John. (〇)
    ([ トムが買った数と ] 同数のミカンが、ジョンによって食べられた。)

今度は、‘as ~ as ・・・’「・・・ と同じくらい ~ だ」の構文です。(12)では、やはり、‘as apples’が、「前置詞+名詞」と見なされて、‘as many oranges’にかかり、 OKになります。そして、(13a)は、目的語‘oranges’のみが、前半と後半の文での共通した語句であり、かつ、それのみが、後半の‘as’以下で表現されていません。

(13a)の場合、「‘as’(接続詞)+‘Tom bought oranges’(文)」のような表現から、下線部で示されているように、‘oranges’の消去があった、という考え方でよいと言えます。ですので、(13a)の下線部は、‘oranges’として解釈されるべき空所です。

(13a)からは、さらに、(13b)が派生可能と思われますが、これは、‘as John bought _’の部分が、関係代名詞‘as’と、その目的語の空所から成る関係節に見立てて、‘as many oranges’にかかるようなカタチになっていることから、偶然に、‘as many oranges [ as Tom bought _ ]’全体で、関係節がかかっている名詞句と見なせます。

今回のポイントは、比較の構文における‘as’や‘than’には、結構、様々な用法があるということです。接続詞としての使い方以外に、「前置詞」としての使い方もあったのですが、そこから、さらに、「関係代名詞」のような使い方もある、ということです。

これら「前置詞」や「関係代名詞」としての使い方は、接続詞としての使い方に不都合があるような場合に、可能な選択肢として機能します。主に、名詞にかかるような環境に置かれた場合は、必然的に、接続詞としての機能は放棄せねばならず、「前置詞」か「関係代名詞」のどちらかの用法を選ぶことになります。

比較の構文は、一通りの可能なカタチを押さえていくだけでも、結構、大変なんですが、今回までのものが一応の基本形となります。あとは、細かい派生を見ていくことになりますが、別の機会にでも。

●関連: EG20EG24EG26EG109EG110

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英語学習法(110)

2006年03月30日 | 比較
EG109の続きです。比較の構文における対比要素‘as ~’と‘than ~’の共通点です。以下、見ましょう。

(1)John plays baseball as well as Tom. (ジョンは、トムと同じくらい野球が上手い。)
(2)John plays baseball as well as basketball. (ジョンは、バスケと同じくらい野球が上手い。)

(1)と(2)は、‘as ~ as ・・・’「・・・ と同じくらい ~ だ」の構文です。そこで、(1)では、‘John plays baseball’の中の主語‘John’との対比で、やはり、‘Tom’を主語に見立てて、その述語として、‘plays baseball’が、暗黙の了解となっています。

一方、(2)では、‘John plays baseball’の中の目的語‘baseball’「野球」との対比で、やはり、‘basketball’「バスケットボール」を目的語に見立てて、それを支える「主語+動詞」として、‘John plays’が、暗黙の了解となっています。つまり、(1)であれ、(2)であれ、前半の文の同一要素となるものは、後半の‘as ・・・’以下では表現されずに、対比要素となるものだけが表現されています。

(3)John plays baseball better than Tom. (ジョンは、野球がトムよりも上手い。)
(4)John plays baseball better than basketball. (ジョンは、野球がバスケよりも上手い。)

(3)と(4)は、‘~ -er than ・・・’「・・・ よりも ~ だ」の構文です。そこで、(3)では、‘John plays baseball’の中の主語‘John’との対比で、やはり、‘Tom’を主語に見立てて、その述語として、‘plays baseball’が、暗黙の了解となっています。

一方、(4)では、‘John plays baseball’の中の目的語‘baseball’「野球」との対比で、やはり、‘basketball’「バスケットボール」を目的語に見立てて、それを支える「主語+動詞」として、‘John plays’が、暗黙の了解となっています。つまり、(3)と(4)のペアも、前半の文の同一要素となるものは、後半の‘than ・・・’以下では表現されずに、対比要素となるものだけが表現されています。

というわけで、(1)~(4)をトータルで見る限り、‘as ~ as ・・・’「・・・ と同じくらい ~ だ」の構文と、‘~ -er than ・・・’「・・・ よりも ~ だ」の構文は、かなり類似した振る舞い方をしているのがわかります。

(5)John sells as good cars as Tom.
  (ジョンは、トムと同じくらい、良いクルマを売っている。)

(6)John sells as good cars as Porsches.
  (ジョンは、ポルシェと同じくらい良いクルマを売っている。)

(5)と(6)に関しても、これまで見てきた比較の構文‘as ~ as ・・・’と同様であり、やはり、(5)では、主語‘John’に対して、後半の‘as’の後で対応している表現が、‘Tom’であり、一方、(6)では、目的語‘cars’に対して、後半の‘as’の後で対応している表現が、‘Porsches’となっています。

(7)As good cars as Tom are sold by John. (×)
  (トムと同じくらい、ジョンによって良いクルマが売られている。)

(8)As good cars as Porsches are sold by John. (〇)
  (ポルシェと同じくらい良いクルマが、ジョンによって売られている。)

しかし、(7)と(8)では、その可否にハッキリとした差が出ています。(7)は、(5)からつくった受身文であり、アウトですが、一方、(8)は、(6)からつくった受身文で、OKです。ここでのポイントは、受身文の主語位置は、通常、名詞 (句) という1つのカタマリで占められている、ということです。故に、(7)であろうと、(8)であろうと、‘as good cars as ~’という主語は、1つのカタマリである、と考えられます。

(9)John sells better cars than Tom. (ジョンは、トムよりも、良いクルマを売っている。)
(10)John sells better cars than Porsches. (ジョンは、ポルシェよりも良いクルマを売っている。)

今度は、(9)と(10)ですが、これまで見てきた比較の構文‘~ -er than ・・・’と同様であり、やはり、(9)では、主語‘John’に対して、‘than’の後で対応している表現が、‘Tom’であり、一方、(10)では、目的語‘cars’に対して、‘than’の後で対応している表現が、‘Porsches’となっています。

(11)Better cars than Tom are sold by John. (×)
  (トムより良いクルマが、ジョンによって売られている。)

(12)Better cars than Porsches are sold by John. (〇)
  (ポルシェより良いクルマが、ジョンによって売られている。)

そこで、(11)と(12)でも、やはり、(7)や(8)と同様に、その可否にハッキリとした差が出ています。(11)は、(9)からつくった受身文であり、アウトです。一方、(12)は、(10)からつくった受身文で、OKです。既に述べたとおり、受身文の主語位置は、通常、名詞 (句) という1つのカタマリで占められていますので、(11)と(12)の両方とも、‘better cars than ~’という主語は、1つのカタマリとして見なされます。

つまり、これまでの観察から言えることとして、比較の構文‘as ~ as ・・・’や、‘~ -er than ・・・’は、文法上、1つのカタマリとみなされる表現の中に現れる場合は、その2つの比較要素が適切につり合っていなければならない、というような制約があるようなのです。

ここで、受身文の主語位置が、1つのカタマリである、という前提があると、(8)の‘as good cars as Porsches’「ポルシェと同じくらい良いクルマ」や、(12)の‘better cars than Porsches’「ポルシェよりも良いクルマ」の文法的な成り立ちは、一体どうなっているのか、という疑問が生じてきます。

(13)As good cars are sold by John as Porsches (are). (〇) (訳同(8))

そこで、(13)は、OKです。ポイントは、受身文の主語‘good cars’に合わせるカタチで、後半の‘as’以下でも、‘Porsches’が主語になっているという点です。ですので、その述語の動詞として、‘are’はなくても構わないのですが、現れていても、一向に構いません。

(14)As good cars as they are sold by John. (×)
  (それらと同じくらい良いクルマが、ジョンによって売られている。)

(15)As good cars as them are sold by John. (〇) (訳同上)

そこで、(13)を踏まえて、(14)と(15)のような比較の構文‘as ~ as ・・・’を考えてみます。(14)は、主語位置の‘as ・・・’以下で代名詞‘they’を用いていますが、(13)のような例から類推する限り、主格の代名詞‘they’は、主語‘Porsches’のように、同じ主語で揃っていると見なされますし、かつ、意味的にも、適切な比較要素になり得るので、一見、OKかと思われるのですが、(14)は、何とアウトです。

そのかわり、(14)の‘they’の位置に、(15)のような目的格の代名詞‘them’を用いた場合は、OKになります。ですので、こうなってくると、もはや、比較要素に関して、主語がどうとか、目的語がどう、といったような視点からでは、どうにも解決できないということになってしまいます。

(16)Better cars are sold by John than Porsches (are). (〇) (訳同(12))

(16)は、‘~ -er than ・・・’の構文ですが、これも、OKです。ポイントは、(13)と同様で、受身文の主語‘better cars’に合わせるカタチで、‘than’以下でも、‘Porsches’が主語になっているという点です。ですので、その述語の動詞として、‘are’はなくても構わないのですが、現れていても、一向に構いません。

(17)Better cars than they are sold by John. (×)
  (それらと同じくらい良いクルマが、ジョンによって売られている。)

(18)Better cars than them are sold by John. (〇) (訳同上)

今度は、(16)を踏まえて、‘~ -er than ・・・’の構文を用いた(17)と(18)を考えてみます。この場合も、やはり、主語位置で、‘than ・・・’以下に主格の代名詞‘they’が現れるとアウトになり、一方、目的格の代名詞‘them’が現れると、OKになります。

これまで、比較の構文‘as ~ as ・・・’や、‘~ -er than ・・・’では、後半の‘as’や、‘than’は、「接続詞」として扱うのが妥当ではないか、という見方をしてきたのですが、今回の観察結果を考慮すると、後半の‘as’や、‘than’は、どうやら、ある特定の状況に限り、「前置詞」としての用法も可能なのではないか、という見方が有力になってきます。

(19)John is taller than he is. (〇) (ジョンは、彼より背が高い。)
(20)Who is John taller than _ is ? (×) (ジョンは、誰より背が高いの?)

(21)Who did John meet Mary before _ came here ? (×)
  (ジョンは、誰がここにくる前に、メアリーに会ったの?)

(19)はOKですが、一方、(20)はアウトです。(20)は、(19)をもとにして、‘than’以下の主語‘he’を疑問詞‘who’に変えて文の先頭に移動させたものですが、これがアウトになるのは、(21)がアウトになる理由と同じで、英語には、「副詞節の中からは、いかなる要素もその外に移動させてはならない」、という移動を妨げるエリアが存在するためです。 ((21)のように、「‘before’+文」の副詞節をつくる場合、‘before’は接続詞と見なされます。なお、(20)や(21)がアウトになる制約については、EG49、参照。)

(22)John is taller than him. (〇) (訳同(19))
(23)Who is John taller than _ ? (〇) (訳同(20))

(24)Who did John go there with _ ? (〇) (ジョンは、誰とそこへ行ったの?)

しかし、その一方で、(22)にあるように、‘than him’といった、目的格のカタチもOKになる、となれば、‘than’を前置詞と見なして、(23)を、OKにすることができます。これは、(24)のように、前置詞‘with ~’の目的語が、疑問詞になって文の先頭に移動しても、OKであることから支持されます。

(25)John cannot be taller than himself is. (×)
  (ジョンが彼自身より背が高いなんて、アリエナイ。)

(26)John cannot be taller than himself. (〇) (訳同上)

(25)はアウトですが、一方、(26)はOKです。英語の再帰代名詞には、「主格を与えられる位置に生じてはならない」、というルールがあり、(25)の‘is’ように、述語となる動詞が後に続くと、その時点で‘himself’が主格をもっていると見なされて、アウトになります。

しかし、一方、(26)のように、述語となる動詞が後に続いていないならば、OKです。これは、(19)の‘than he is’にあるような、「‘than’+主語+動詞」以外のオプションとして、「前置詞‘than’+目的語」があり、‘than himeself’の‘himself’が、前置詞‘than’から直接、目的格を与えられる、とういう選択肢があるからだ、と考えなければ説明がつきません。この文法性は、‘as ~ as ・・・’の構文でも同様です。 (再帰代名詞に関しては、EG95、参照。)

(27)Who is John as tall as _ is ? (×) (ジョンは、誰と同じ背丈なの?)
(28)Who is John as tall as _ ? (〇) (訳同上)

(29)Of course、John is as tall as himself is. (×)
  (ジョンが彼自身と同じ背丈って、そりゃ当然だよ。)
(30)Of course、John is as tall as himself. (〇) (訳同上)

今回のポイントは、これまで、比較の構文‘as ~ as ・・・’や、‘~ -er than ・・・’では、後半の‘as’や、‘than’は、「接続詞」として扱うのが妥当ではないか、という見方をしてきたのですが、それが、「前置詞」として扱わねばならない場合がある、という、ほぼ決定的な証拠が上がったということです。

大ざっぱには、‘as’や、‘than’による比較要素の表現が、文の末尾におかれる場合は、接続詞、前置詞のいずれの用法も共に可能ですが、他の条件によって、接続詞としての用法が不都合を起こすような場合、接続詞の用法は却下され、前置詞としての用法に限られることがある、ということです。

そこで、結論としては、‘as’や、‘than’による比較要素の出現が、文の末尾ではない場合は、常に、前置詞の用法に限られるのか、と言い切れるかというと、実は、そうでもなく、比較の構文には、まだまだ検証が必要な部分が残されています。

比較の構文は、ちょっとした想像をはるかに越えて、かなり手強い側面をもっているのです。またの機会に扱いますので、今回は、これまでということで。

●関連: EG49EG95EG109

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英語学習法(109)

2006年03月28日 | 比較
EG105、EG106、EG107、EG108の続きです。比較の構文‘as ~ as ・・・’と‘-er than ~’の共通点についてです。以下、見ましょう。

(1)ジョンは、トムを、ジャックと同じくらい強く蹴っ飛ばした。

まず、(1)の日本語です。パッと見た感じ、意味は簡単そうですが、しかし、実はそれほど簡単なことでもありません。日本語(1)は、よく考えてみると、その解釈があいまいで、以下のように、2通りの解釈が可能です。

(2)ジョンはトムを蹴ったが、それは、ジャックがトムを蹴ったのと同じくらいの強さだった。
(3)ジョンはトムを蹴ったが、それは、ジャックを蹴ったのと同じくらいの強さだった。

つまり、解釈(2)では、ジョンとジャックが、トムを蹴ったので、結局、2人で1人を蹴った、と言っているのに対し、一方、解釈(3)では、ジョンが、ジャックとトムを蹴ったので、結局、1人で2人を蹴った、と言っているわけですね。そこで、日本語(1)の「ジャックと同じくらい」の部分が、(2)と(3)のような、あいまいな解釈を引き起こす原因となっていることがわかります。

(4)John kicked Tom as strongly as Jack. (訳同(1))

そこで、(4)の英語では、比較の構文‘as ~ as ・・・’「・・・ と同じくらい ~ だ」が使われていますが、日本語訳としては、(1)と同じです。そして、実は、英語(4)に関しても、日本語(1)と同様に、解釈(2)と(3)が成り立つという、とても不思議な類似性があります。そこから、(4)においても、‘as Jack’の部分が、(2)と(3)のような、あいまいな解釈を引き起こす原因となっていることがわかります。

(5)ジョンは、トムを、ジャックよりも強く蹴っ飛ばした。

今度は、(5)の日本語ですが、「ジャックよりも」の部分に関して、やはり、2通りの解釈が発生します。日本語(5)の場合も、日本語(1)と同じく、ジャックが蹴る側の立場にあるのか、それとも、蹴られる側の立場にあるのか、が解釈の分かれ目となります。

(6)ジョンはトムを蹴ったが、その強さは、ジャックがトムを蹴った時よりも強かった。
(7)ジョンはトムを蹴ったが、その強さは、ジャックを蹴った時よりも強かった。

つまり、日本語における、「・・・ と同じくらい ~ だ」であれ、「・・・ よりも ~ だ」であれ、全く同じ、共通した特徴を示しているわけですね。そして、やはり、英語においても、これと全く共通した特徴が見られます。

(8)John kicked Tom more strongly than Jack. (訳同(5))

(8)の英語でも、やはり、その解釈があいまいであり、(6)である一方、(7)でもある、という事実があります。そこで、一応の考え方としては、(4)の‘as Jack’や、(8)の‘than Jack’について、‘Jack’が、‘kick’「蹴る」という動詞の主語であるか、それとも、目的語であるか、という観点が必要、ということになります。

(9)Jack kicked Tom. (ジャックは、トムを蹴った。)
(10)John kicked Jack. (ジョンは、ジャックを蹴った。)

つまり、(9)の文を前提にして、(4)や(8)を発話すれば、(4)では、解釈が(2)に決まり、(8)では、解釈が(6)に決まります。一方、(10)の文を前提にして、(4)や(8)を発話すれば、(4)では、解釈が(3)に決まり、(8)では、解釈が(7)に決まります。ですので、結構、ややこしい話なんですね。

(11)John kicked Tom as strongly as Jack does. (訳同(2))
(12)John kicked Tom more strongly than Jack does. (訳同(6))

そこで、あいまいな解釈を許す(4)や(8)のような問題を避けるための手段として、(11)や(12)のように、‘Jack’の後に、助動詞‘does’を後続させて、意図的に‘Jack’に主語としての解釈をさせるように仕向ける方法があります。 (助動詞‘does’以下の表現は、「動詞句」の消去によって消えています。EG20、参照。)

このようにすれば、最初から、(11)の解釈は、(2)に決定されますし、一方、(12)の解釈も、(6)に決定されます。そして、(11)の‘as Jack does’や、(12)の‘than Jack does’のようなカタチが、OKである、という事実からは、‘as’(前半の‘as’ではなく、後半の‘as’) や、‘than’が、「接続詞」である、という結論になります。

(13)John wants as many cars as Tom has bicycles. (〇)
  (ジョンが欲しがっているクルマの数は、トムが所有している自転車の数と同数だ。)

(14)John wants more cars than Tom has bicycles. (〇)
  (ジョンが欲しがっているクルマの数は、トムが所有している自転車の数より上だ。)

(13)の‘as’+‘Tom has bicycles’や、(14)の‘than’+‘Tom has bicycles’からも明らかなように、やはり、‘as’や‘than’は、文をつなげるはたらきをもった接続詞である、と断定できるでしょう。

つまり、(4)の‘as Jack’や、(8)の‘than Jack’においては、前半の文で、既に使われている‘kicked Tom’や、‘John kicked’という同一表現の繰り返しを避けるために、(9)をもとにして、主語‘Jack’を残し、‘kicked Tom’が消去されている、または、(10)をもとにして、目的語‘Jack’を残し、‘John kicked’が消去されている、とでも説明されることになるでしょう。

(15)John kicked Tom when Jack kicked him. (〇)
  (ジャックがトムを蹴っ飛ばしたと同時に、ジョンはトムを蹴っ飛ばしたのだ。)

(16)John kicked Tom when Jack _. (×) (訳同上)

しかし、‘as’や‘than’が接続詞である、とは言っても、単純な接続詞というわけにはいきません。(15)は、接続詞‘when ~’「~ とき」が、‘John kicked Tom’と‘Jack kicked him’をつないでいて、当然のこと、OKですが、一方、(16)では、(15)において同一表現である‘kicked Tom’が消去されていて、何とアウトです。

つまり、本来、「接続詞+文」においては、その文の中の要素を、既に出てきたものと同一表現である、という理由で、どんなものでも自由に消去してもよいわけではない、ということなのです。

(17)John is as tall as I (am). (〇) (ジョンは、ボクと同じくらい背が高い。)
(18)John is as tall as me. (〇) (訳同上)

(19)John is taller than I (am). (〇) (ジョンは、ボクよりも背が高い。)
(20)John is taller than me. (〇) (訳同上)

さらに、(17)や(19)のような比較の構文では、‘I (am)’の‘I’が主格なので、前半の‘John is’の‘John’が主格であることに対して、バランスが取れているものの、一方、(18)や(20)のように、いきなり、目的格の‘me’を用いても、OKになるという不思議な現象が起こっています。

そして、(17)や(19)のような主格‘I (am)’は、格式ばった言い方であるため、あまり一般的であるとは言えない一方、(18)や(20)のような目的格‘me’は、(17)や(19)のような主格‘I (am)’よりも、一般に、かなりよく使われているという事実があります。

このように、比較の構文において、比較の対照を示す‘as’や‘than’は、後続する文に対して、特殊な振る舞い方を許す接続詞という点で、かなり、慎重な扱いが必要になってくるのがわかると思います。というよりも、もっとハッキリ言ってしまえば、今回の観察結果からは、‘as’や‘than’が接続詞である、という結論自体が、まだまだ怪しいのではないか、という疑問も、まだ残されています。

今回のポイントは、比較の構文、‘as ~ as ・・・’「・・・ と同じくらい ~ だ」と、‘~ -er than ・・・’「・・・ よりも ~ だ」における共通した特徴です。比較の構文において、その比較対象を明示するはたらきがある‘as’(前半の‘as’ではなく、後半の‘as’)や‘than’は、共通した特徴をもってはいるものの、どういった分類をすればよいのか、その一般化が、なかなか困難な特殊な性質をもっている、ということを示しました。

また次回も、この問題について扱ってみたいと思います。

●関連: EG20EG105EG106EG107EG108

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