「~ するとき、 ・・・ だ。」という表現です。ご存知のように、‘when~’「~ とき」を使いますね。実際、もう本当に頻度が高い表現です。でも、見落とされがちなポイントがあることも事実です。以下、見ましょう。
(1)ボクは高校生だった。
(2)ボクは野球部に入っていた。
(3)<ボクは高校生だったとき>、野球部に入っていた。
(1)と(2)の日本語を、同時期のことだと考えて、「~とき」という表現を用いてつなぐと、(3)が完成しますね。このときの注意点は、「~ とき」が、(1)の日本語の「末尾」にくっ付くということです。ここで、(1)と(2)を、それぞれ英語で表現すると、以下のようになります。
(4)I was a high school student. (訳同(1))
(5)I belonged to the baseball club. (訳同(2))
次に、(4)と(5)の英語をつなぎ合わせて、(3)の日本語に対応する意味になる英語をつくろうとすると、‘when ~’「~ とき」を用いることになります。この‘when ~’には、ある文を、他の文と接続するはたらきがあるわけですが、以下のようになります。
(6)<When I was a high school student>、I belonged to the baseball club. (訳同(3))
日本語(3)を、英語で表現すると、(6)のようになりますが、(6)の< >で括ってある表現は、日本語(3)の、< >で括ってある表現に、直接対応しています。しかし、ここでポイントとなるのは、日本語の「~とき」と、‘when ~’の位置の違いです。(3)で確認したように、日本語の「~ とき」は、< >内で、その末尾に位置していますが、英語(6)では、‘when ~’が、< >内の先頭に位置しています。この日本語と英語における逆語順は、誤解のもとになりやすく、なかなか初心者泣かせな部分です。その誤解の代表例として以下のようなものがあります。
(7)I was a high school student when I belonged to the baseball club.
(8) a. ボクは高校生だったとき、野球部に入っていた。 (×)
b. ボクは野球部に入っていたとき、高校生だった。 (〇)
(7)は、(8a)の意味には解釈できません。ただし、(8b)の意味でなら、OKになります。 (ちょっと変な意味になりますが) つまり、(3)と(6)の< >部分の対比から明らかなように、日本語の「~ とき」と、英語の‘when~’は語順的に全く逆であることが、文法のルールとして意識されていないと、誤って、(7)を(8a)のように解釈してしまうのです。
(9)I belonged to the baseball club <when I was a high school student>. (訳同(3))
(6)は、(9)のように表現しても同じ意味になります。‘I belonged to the baseball club’と、<when I was a high school student>の部分は、基本的には、左右語順を入れかえても構わないのです。つまり、‘when ~’と、それが先頭にくっ付いている文は、1つのカタマリと見なされます。そして、<‘when’+文>という、1つカタマリは、つながる相手となる、もう1つの文に対して、(6)のように、前からくっ付いても構わないし、また、(9)のように、後からくっ付いても構いません。
ですので、こういった英文法のルールからは、(7)のような文は、< >を用いて示せば、‘when’以下を、<when I belonged to the baseball club>という風に、1つのカタマリと見なしてしまうのです。(7)が、(8a)の解釈にはならずに、(8b)の解釈となるのは、①・<‘when’+文>のカタチで1つのカタマリとなる、ということと、②・<‘when’+文>のカタマリは、もう1つの文に対して、前からでも、後からでもくっ付いてよい、という、2つの理由によるものです。
ここで、なぜ、初心者が(7)を(8a)のように、誤解して解釈してしまうのかというと、その原因は、‘when‘「~ とき」が、文法用語の「接続詞」というコトバで表現されているという点にあります。一般に、国文法の接続詞というと、「そして」や、「しかし」などが連想されます。もちろん、「A、そして B」や、「A、しかし B」などには、直接対応する英語として、‘A and B’や‘A but B’などがありますから、このような例においては、概念的に、ほぼ間違うことなく、マスターできると思います。
しかし、英語の接続詞には、ちょっとした文法上の種類分けがあって、‘when ~’は、‘and’や‘but’とは性質が異なる接続詞と見なされているのです。‘when ~’は、(4)と(5)のような文をつないで、(6)や(9)をつくる、という意味では、確かに、文と文が「接続」されていますから、「接続詞」と言えるのでしょうが、国文法の接続詞のイメージをもっている初心者の人たちからすれば、ちょっと誤解の原因となってしまいます。
理解のポイントしては、‘and’や‘but’によってつながれた文とは違って、<when+文>のカタチは1つのカタマリとなって、もう1つの文に対して、寄りかかるような、いわゆる、「依存関係」がある、ということです。日本語(3)の< >の表現は、それ自体では、独立できないもので、常に、もう1つの文に、「寄りかかる」ということをしなければなりません。これと同じく、ある文が他の文に寄りかかる、という依存関係が、(6)や(9)の英語でも表現されています。
今回のポイントは、英語の接続詞には、‘A and B’や‘A but B’とは性質が異なるものがあるということです。‘when ~’「~ とき」を、このような接続詞と同じように考えてしまうと、(7)を(8a)のように、誤って解釈してしまいます。これは、本来、便利なはずの文法用語が、時に誤解を生じさせるという、代表的な例です。初めて英語を習う際に、(6)のような文から‘when’が「接続詞」だと言われても、ピンと来ないのは当たり前ですよね。
ちなみに、‘when ~’「~ とき」の仲間となる接続詞には、‘before ~’「~ 前に」、‘after ~’「~ 後で」、‘while ~’「~ している間」、‘until ~’「~ まで」、‘since ~’「~ 以来」、などがあります。これに関する詳しい話は、またの機会にでも。 (EG30に続く)
■注1 :英文法の用語で言うと、‘and’「そして」や‘but’「しかし」は、「等位接続詞」と呼ばれています。これは、‘A and B’や‘A but B’の、A と B を、文法的に等価である、と見なすためです。一方、‘when ~’「~ とき」は、「従属接続詞」とか「従位接続詞」と呼ばれています。これは、‘<when A>、B’「A のとき B だ」や、‘B <when A>’「A のとき B だ」には、常に、「主従」の関係があり、 B が、「主」(柱となるもの)で、一方、A が、「従」(柱に寄りかかるもの)になっているからです。ポイントは、‘when ~’が先頭にくっ付いている文の方を、「従」と見なす、ということです。
■注2 :今回扱った、<when+文>の部分を文法的には、「副詞節」と言います。詳しくは、EG44を参照して下さい。
● 関連 :EG44
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(1)ボクは高校生だった。
(2)ボクは野球部に入っていた。
(3)<ボクは高校生だったとき>、野球部に入っていた。
(1)と(2)の日本語を、同時期のことだと考えて、「~とき」という表現を用いてつなぐと、(3)が完成しますね。このときの注意点は、「~ とき」が、(1)の日本語の「末尾」にくっ付くということです。ここで、(1)と(2)を、それぞれ英語で表現すると、以下のようになります。
(4)I was a high school student. (訳同(1))
(5)I belonged to the baseball club. (訳同(2))
次に、(4)と(5)の英語をつなぎ合わせて、(3)の日本語に対応する意味になる英語をつくろうとすると、‘when ~’「~ とき」を用いることになります。この‘when ~’には、ある文を、他の文と接続するはたらきがあるわけですが、以下のようになります。
(6)<When I was a high school student>、I belonged to the baseball club. (訳同(3))
日本語(3)を、英語で表現すると、(6)のようになりますが、(6)の< >で括ってある表現は、日本語(3)の、< >で括ってある表現に、直接対応しています。しかし、ここでポイントとなるのは、日本語の「~とき」と、‘when ~’の位置の違いです。(3)で確認したように、日本語の「~ とき」は、< >内で、その末尾に位置していますが、英語(6)では、‘when ~’が、< >内の先頭に位置しています。この日本語と英語における逆語順は、誤解のもとになりやすく、なかなか初心者泣かせな部分です。その誤解の代表例として以下のようなものがあります。
(7)I was a high school student when I belonged to the baseball club.
(8) a. ボクは高校生だったとき、野球部に入っていた。 (×)
b. ボクは野球部に入っていたとき、高校生だった。 (〇)
(7)は、(8a)の意味には解釈できません。ただし、(8b)の意味でなら、OKになります。 (ちょっと変な意味になりますが) つまり、(3)と(6)の< >部分の対比から明らかなように、日本語の「~ とき」と、英語の‘when~’は語順的に全く逆であることが、文法のルールとして意識されていないと、誤って、(7)を(8a)のように解釈してしまうのです。
(9)I belonged to the baseball club <when I was a high school student>. (訳同(3))
(6)は、(9)のように表現しても同じ意味になります。‘I belonged to the baseball club’と、<when I was a high school student>の部分は、基本的には、左右語順を入れかえても構わないのです。つまり、‘when ~’と、それが先頭にくっ付いている文は、1つのカタマリと見なされます。そして、<‘when’+文>という、1つカタマリは、つながる相手となる、もう1つの文に対して、(6)のように、前からくっ付いても構わないし、また、(9)のように、後からくっ付いても構いません。
ですので、こういった英文法のルールからは、(7)のような文は、< >を用いて示せば、‘when’以下を、<when I belonged to the baseball club>という風に、1つのカタマリと見なしてしまうのです。(7)が、(8a)の解釈にはならずに、(8b)の解釈となるのは、①・<‘when’+文>のカタチで1つのカタマリとなる、ということと、②・<‘when’+文>のカタマリは、もう1つの文に対して、前からでも、後からでもくっ付いてよい、という、2つの理由によるものです。
ここで、なぜ、初心者が(7)を(8a)のように、誤解して解釈してしまうのかというと、その原因は、‘when‘「~ とき」が、文法用語の「接続詞」というコトバで表現されているという点にあります。一般に、国文法の接続詞というと、「そして」や、「しかし」などが連想されます。もちろん、「A、そして B」や、「A、しかし B」などには、直接対応する英語として、‘A and B’や‘A but B’などがありますから、このような例においては、概念的に、ほぼ間違うことなく、マスターできると思います。
しかし、英語の接続詞には、ちょっとした文法上の種類分けがあって、‘when ~’は、‘and’や‘but’とは性質が異なる接続詞と見なされているのです。‘when ~’は、(4)と(5)のような文をつないで、(6)や(9)をつくる、という意味では、確かに、文と文が「接続」されていますから、「接続詞」と言えるのでしょうが、国文法の接続詞のイメージをもっている初心者の人たちからすれば、ちょっと誤解の原因となってしまいます。
理解のポイントしては、‘and’や‘but’によってつながれた文とは違って、<when+文>のカタチは1つのカタマリとなって、もう1つの文に対して、寄りかかるような、いわゆる、「依存関係」がある、ということです。日本語(3)の< >の表現は、それ自体では、独立できないもので、常に、もう1つの文に、「寄りかかる」ということをしなければなりません。これと同じく、ある文が他の文に寄りかかる、という依存関係が、(6)や(9)の英語でも表現されています。
今回のポイントは、英語の接続詞には、‘A and B’や‘A but B’とは性質が異なるものがあるということです。‘when ~’「~ とき」を、このような接続詞と同じように考えてしまうと、(7)を(8a)のように、誤って解釈してしまいます。これは、本来、便利なはずの文法用語が、時に誤解を生じさせるという、代表的な例です。初めて英語を習う際に、(6)のような文から‘when’が「接続詞」だと言われても、ピンと来ないのは当たり前ですよね。
ちなみに、‘when ~’「~ とき」の仲間となる接続詞には、‘before ~’「~ 前に」、‘after ~’「~ 後で」、‘while ~’「~ している間」、‘until ~’「~ まで」、‘since ~’「~ 以来」、などがあります。これに関する詳しい話は、またの機会にでも。 (EG30に続く)
■注1 :英文法の用語で言うと、‘and’「そして」や‘but’「しかし」は、「等位接続詞」と呼ばれています。これは、‘A and B’や‘A but B’の、A と B を、文法的に等価である、と見なすためです。一方、‘when ~’「~ とき」は、「従属接続詞」とか「従位接続詞」と呼ばれています。これは、‘<when A>、B’「A のとき B だ」や、‘B <when A>’「A のとき B だ」には、常に、「主従」の関係があり、 B が、「主」(柱となるもの)で、一方、A が、「従」(柱に寄りかかるもの)になっているからです。ポイントは、‘when ~’が先頭にくっ付いている文の方を、「従」と見なす、ということです。
■注2 :今回扱った、<when+文>の部分を文法的には、「副詞節」と言います。詳しくは、EG44を参照して下さい。
● 関連 :EG44
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