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英語学習法(60)

2005年03月01日 | 動詞
動詞編です。一度に、2つの目的語をとる他動詞の基本を扱います。以下、見ましょう。

(1)Michael gave a pen to Mary. (マイケルはメアリーにペンを与えた。)
(2)Michael gave Mary a pen. (訳同上)

(1)と(2)は、ほぼ同じ意味をもっています。英語では、(2)のように、他動詞の後に、名詞(類)が2つ立て続けに並ぶような、いわゆる、「二重目的語」の構文があります。この構文の成り立ち自体は、簡単に理解できますね。(1)の前置詞‘to ~’を外して、前後の名詞を逆語順にすると、(2)が完成します。つまり、‘give A to B’→‘give B A’「BにAを与える」となります。

この構文に使える動詞は、‘give’「与える」以外にも、いろいろなものがありますが、解釈でいうと、‘B A’のように、2つ並んだ目的語に対応する日本語として、大体は、「BにAを ~」が該当しますので、これは、とてもありがたい特典となります。あと、前置詞が、‘for ~’になるタイプの動詞にも、二重目的語で使えるものがあります。

(3)Michael bought a pen for Mary. (マイケルはメアリーにペンを買ってあげた。)
(4)Michael bought Mary a pen. (訳同上)

(3)から(4)への書きかえ、つまり、‘buy A for B’→‘buy B A’「BにAを買う」の書きかえができます。この、「‘A for B’→‘B A’」への書きかえになるタイプの動詞も、(1)と(2)のような、「‘A to B’→‘B A’」のタイプに次いで、結構、数があります。そして、二重目的語のカタチは、‘ask A of B’→‘ask B A’「BにAをたずねる」、というような、異なる前置詞を用いる少数の例外を除いて、この2タイプが主と言ってもよいでしょう。以下、(5)は、「‘A to B’→‘B A’」のタイプ、(6)は、「‘A for B’→‘B A’」のタイプとなります。

(5)‘give’「与える」、‘teach’「教える」、‘tell’「伝える」、‘send’「送る」、
  ‘show’「見せる」、その他

(6)‘buy’「買う」、‘find’「見つける」、‘make’「作る」、‘choose’「選ぶ」、
  ‘cook’「料理する」、その他

(5)と(6)のタイプ分けですが、おおざっぱな理解の仕方としては、前置詞のイメージが、ある程度は反映されているので、(5)の‘to ~’「~ に」を取るタイプの場合、Aの向かう「方向」として、Bがある、という感じでしょうか。つまり、AがBに向かって「移動」していくという意味関係があります。一方、(6)の‘for ~’「~ ために」を取るタイプの場合は、Aの存在が、Bに対して「受益」となる、という感じです。つまり、直接的にであれ、間接的であれ、AがBに対しての利益の源になるわけです。こういった、基となる前置詞の意味的イメージが反映されているため、基本的には、以下のように、(5)と(6)のタイプを混同したり、前置詞を勝手に選んで使うことはできないことになっています。

(7)Michael gave a pen for Mary. (×) (訳同(1))
(8)Michael bought a pen to Mary. (×) (訳同(3))

ところで、前置詞を使った文と、二重目的語の構文との、大まかな意味の差としては、話者によって、判断に多少の揺れがあるものの、(5)のタイプでは、‘A to B’の場合、必ずしも、該当する動詞の動作の結果として、AがBに到達していることまでは含意しません。しかし‘B A’のように、二重目的語になれば、通常、それを含意することができます。ですので、例えば、(1)の場合は、メアリーが、実際にペンを受け取ったかどうかは、不明ですが、(2)の場合は、メアリーがペンを受け取ったことまで含意します。

同じく、(6)のタイプでも、‘A for B’の場合、必ずしも、該当する動詞の動作の結果、Aの存在に対して、Bが利益の受け手として、影響を被っていることまでは含意しません。しかし‘B A’のように、二重目的語になれば、通常、それを含意することができます。ですので、(3)の場合、メアリーが、実際にペンを受け取ったかどうか、または、ペンを買うという行為が、メアリーに対して、何らかの利益を生じさせたかどうかは、不明ですが、(4)の場合は、メアリーがペンを受け取った、または、ペンを買うという行為が、メアリーに対して、何らかの利益を生じさせたことまで含意します。

ここで、ちょっと注意点ですが、(5)と(6)のような、タイプ分けをしてある動詞に関しては、「動詞 A 前置詞 B → 動詞 B A」という、二重目的語の変形は、OKなんですが、少し厄介なのは、意表をついて、二重目的語にならず、前置詞を使うタイプしか許さない動詞があったり、その逆があったりすることで、逐一、それらは暗記しておかなければならない、ということです。

(9) a. ‘explain A to B’「AをBに説明する」(〇) → ‘explain B A’(×)
   b. ‘suggest A to B’「AをBに提案する」(〇) → ‘suggest B A’(×)
   
(10)a. ‘cost B A’「Bに対してAの金額がかかる」 (〇) → ‘cost A to/for B’ (×)
   b. ‘envy B A’「Bに対してAをうらやむ」 (〇) → ‘envy A to/for B’ (×)   

(9)や(10)の他にも、いくつか、この手の動詞がありますが、いずれにせよ、ポイントは、やはり、「BにAを ~」という日本語の側から考えて、これらの動詞の可否を予測することは不可能なので、やはり暗記になってしまうのが厄介なところです。

それと、二重目的語、「動詞 B A」のカタチは、その発展型として、動詞の種類によって、Aが、①・‘that’節であったり、②・‘whether’「~ かどうか」や‘if’「~ かどうか」を先頭に立てた節であったり、③・疑問詞を先頭に立てた節であったりします。

(11)a. I taught the kids science.
    (理科を子供たちに教えた。)
   
   b. I taught the kids [ that the earth is round ].
    ([ 地球は丸いと ] 子供たちに教えた。)

(12)a. I did not tell him the answer.
    (その答えを彼に言わなかった。)

   b. I did not tell him [ whether the answer was correct ]. 
    ([ その答えが正しいかどうかを ] 彼に言わなかった。)

(13)a. I asked him a question.
    (ある質問を彼にたずねた。)

   b. I asked him [ who she was ].
    ([ 彼女が誰なのかを ] 彼にたずねた。)

二重目的語の構文、「動詞 B A」の、Aに該当する節が、①、②、③のどのタイプにあたるかは、それぞれの動詞の意味と、その使い方によって決定されますが、数はそれほど膨大なものではないので、練習によって慣れることは、十分に可能です。しかし、(11a-b)~(13a-b)の各ペアにおいて、「動詞 B A」の、Aに該当する名詞の位置に、節が分布していることからも明らかなように、これらの節は、「目的語」であり、目的語は名詞なので、結果として、「名詞節」であるということは、しっかり認識しておかなければなりません。(EG41参照)

特に、‘if’は、「~ならば」の意味では、副詞節で使われ、「~ かどうか」の意味ならば、名詞節で使われるという決まりがありますし、‘whether’の場合、「~ かどうか」の意味ならば、名詞節で使われ、「~ であろうとなかろうと」の意味ならば、副詞節で使われるという決まりがあります。

今回のポイントは、二重目的語を取る動詞の基本的な成り立ちです。このカタチを取れる動詞は予め決まっていて、暗記が中心になってしまうため、日本語から英語にする際は、勝手にはつくることができません。しかし、逆に、英語から日本語に対応させる場合は、ほとんどが、「BにAを ~」というイメージになりますので、この点は、EG56で扱った、目的語を1つしか取らない他動詞と比べて、多少、楽であると言えるでしょう。

しかし、二重目的語の構文は、実用レベルで具体的に見ていくと、使い方の面で複雑な問題が多くはらんでいるため、この点、丁寧に見ていく必要があります。でも、なぜか、そういったポイントが、一般的に、それほど詳しく解説されることがないので、実用上の使い勝手がよくわからず、結構、いいかげんに扱われている傾向があるのも事実です。今回は、基本のカタチのみの紹介としましたが、実際の使い方については、別の機会に詳しく見ていきたいと思いますので、まずは、基本となるカタチをマスターしておいて下さい。

■注1 :今回扱った、二重目的語のカタチは、学校で習う英文法の基本文型としては、「S+V+O+O」に該当します。
■注2 :ごくまれにではありますが、1つの動詞が、3つの目的語を取っているような、「三重目的語」のケースもあります。‘John taught me my son Japanese’「ジョンは私のために息子に日本語を教えてくれた。」の文は、‘me’、‘my son’、‘Japanese’という、3つの目的語を取っています。


●関連: EG41EG56

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
二重目的語を取れない動詞群 (tmrowing)
2005-03-09 09:03:13
現職の高校英語教師です。二重目的語構文のうち、「所有変化構文」とでもいいましょうか、与格交替は悩む項目ですね。生徒に教えるときは、容認されない動詞の目安として、2音節以上の語は必ず辞書で確認しろ、と言っています。意味範疇でGive/get/bring/make/askなど「与える・利益・入手」グループと、offer/assign/cost「将来の所有・不利益」グループと分けた場合に、前者は一音節ルールの適用を受け、後者は受けないという目安を教えています。ただ、その場合も、「コミュニケーション」に関わる動詞は、tell/writeなどのグループは前者、telephone / E-mailなどは後者に属するので、下位規則として「deviceに依存するコミュニケーションか否か」という想定せざるを得ませんので、本当に面倒です。
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