英語と日本語の違いについてです。以下、見ましょう。
(1)トムは、リンゴを食べる。
(2)Tom eats an apple. (訳同上)
日本語(1)と、英語(2)は、どちらも同じ意味をもっています。しかし、対応する表現の語順という点では、違いがありますね。英語の‘Tom’も、日本語の「トム」も、どちらも文の最初にきていますが、2番目は違う表現になっていて、英語では‘eats’、日本語では「リンゴ」となっています。ですので、当然、3番目の表現は、英語では‘an apple’、日本語では「食べる」となります。
つまり、英語と日本語は、何かを言おうとして文をつくると、同じ意味でも、それぞれの語順が異なってしまうコトバである、と言えます。これは英語を学ぼうとする際に、日本語と比較して、誰でも実感することだと思います。しかし、語順がそれほど重要なのかというと、そうでもなさそうだと思えることもあります。
(3)トムは食べる、リンゴをね。
(3)のように、「食べる」を2番目にもってきて、3番目に「リンゴ」を置くことで、(1)の語順を変えてやれば、英語(2)の語順と同じになりますから、こういったことを考えるならば、語順なんて、あまり重要ではない、と考えたくなります。しかし、以下のような例はどうでしょうか。
(4)Tom an apple eats. (×) (訳同(1))
英語(4)では、日本語(1)の語順にあわせて、‘an apple’を2番目、そして、‘eats’を3番目にもってきたわけですが、何と、これがダメで、アウトになってしまう、ということなんですね。ですので、こういったことから考えても、英語の語順は、日本語の語順ほどには緩くない、と言えそうです。
(5)リンゴを食べる、トムがね。
(6)An apple eats Tom. (リンゴは、トムを食べる。)
今度は、日本語(5)と英語(6)を、比較してみます。(5)と(6)は、語順に関しては、どちらも同じです。(5)の「リンゴ-食べる-トム」の順番と、(6)の‘an apple-eats-Tom’の順番は、それぞれ一致していますからね。しかし、英語(6)の意味は、ちょっと変です。というのも、(6)が表現している意味は、トムがリンゴに食われてしまう、という異常な事態であって、決して、(5)に対応した意味にはならないからです。
(7)John kicked Tom. (ジョンは、トムを蹴った。)
(8)Tom kicked John. (トムは、ジョンを蹴った。)
さらに、(7)と(8)を比較してみて下さい。(7)における‘John-kicked-Tom’の語順は、ジョンがトムを攻撃しているのであって、決して、トムがジョンを攻撃している意味にはなりません。一方、(8)における‘Tom-kicked-John’の語順は、トムがジョンを攻撃しているのであって、決して、ジョンがトムを攻撃している意味にはなりません。
つまり、英語における語順は、ことの他、文の表す意味に対して貢献度が高いということになります。しかし、このような、日本語と英語の語順における重要度の違いは、どういったことが原因で起こることなんでしょうか。ここで、少し違った角度から、日本語の語順について考えてみたいと思います。
(9)ワタシ、ジョン、ケッタ。
(10)ジョン、ワタシ、ケッタ。
今度は、(9)や(10)のような日本語ですが、例えば、日本に来たばかりで、あまり日本語に慣れていない外人さんなどが話す日本語のよくある典型的な例ですね。そこで、(9)を聞いた瞬間、普通、直感的には、「私がジョンを蹴った」、というように意味を取ると思いますが、一方、(10)を聞いた瞬間、普通、直感的には、「ジョンが私を蹴った」、というように意味を取ると思います。
しかし、(9)や(10)を、よく考えてみると、やっぱりどっちの意味なんだろうか、自信をもって答えることはできなくなってしまいます。ここで、気づくのは、やはり、「ワタシ」や、「ジョン」の後に、「~ は」や、「~ を」を付けて、意味関係をハッキリとさせたい、ということですね。
ですので、日本語の場合、ある程度は、標準的な語順に準拠して意味を取るということが、可能ではありますが、それよりも、やはり、「~ は」や、「~ を」を付けた方が、それぞれの単語を、安全に明確な意味関係で結びつけることが可能です。そして、こういった、「~ は」や、「~ を」の働きがあるからこそ、日本語の語順は、比較的、緩い制限しか受けていないのだと思われます。
しかし、一方、英語は、‘an apple’や、‘Tom’や、‘John’の後に、「~ は」や、「~を」を付ける仕組みをもっていないコトバですから、その代償として、どうしても、語順に対する依存度が高くなってしまう、というわけですね。こういった日本語と英語の相異点は、言いかえるならば、日本語は、文全体を見なくても、「~ は」や、「~を」を見ただけで、それぞれの単語の果たす役割がわかるのに対して、一方、英語の場合は、それぞれの単語が果たす役割が、文全体の中の相対的な位置付けからしかわからないということです。
今回のポイントは、英語の語順が文の中で果たす役割です。英語は、日本語以上に、語順に対してシビアなコトバなのです。日本語の感覚から言わせてもらえば、「~ は」や、「~を」のように、それだけで、ズバッと意味の対応関係を表せる専用ツールがないところが、何とも頼りないコトバなんですが、しかし、「語順の固定」、によって意味を決定するというシステムも、慣れてしまえば、案外、そんなに難しいことではありません。
と言うよりも、語順が固定されている分だけ、単純なパターン化につながり易いという側面もあるわけですから、単純な文の表現力を身に付ける上では、理想的なカタチの在り方、とも言えるわけですね。ともあれ、最初は、慣れが大事だということですね。
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(1)トムは、リンゴを食べる。
(2)Tom eats an apple. (訳同上)
日本語(1)と、英語(2)は、どちらも同じ意味をもっています。しかし、対応する表現の語順という点では、違いがありますね。英語の‘Tom’も、日本語の「トム」も、どちらも文の最初にきていますが、2番目は違う表現になっていて、英語では‘eats’、日本語では「リンゴ」となっています。ですので、当然、3番目の表現は、英語では‘an apple’、日本語では「食べる」となります。
つまり、英語と日本語は、何かを言おうとして文をつくると、同じ意味でも、それぞれの語順が異なってしまうコトバである、と言えます。これは英語を学ぼうとする際に、日本語と比較して、誰でも実感することだと思います。しかし、語順がそれほど重要なのかというと、そうでもなさそうだと思えることもあります。
(3)トムは食べる、リンゴをね。
(3)のように、「食べる」を2番目にもってきて、3番目に「リンゴ」を置くことで、(1)の語順を変えてやれば、英語(2)の語順と同じになりますから、こういったことを考えるならば、語順なんて、あまり重要ではない、と考えたくなります。しかし、以下のような例はどうでしょうか。
(4)Tom an apple eats. (×) (訳同(1))
英語(4)では、日本語(1)の語順にあわせて、‘an apple’を2番目、そして、‘eats’を3番目にもってきたわけですが、何と、これがダメで、アウトになってしまう、ということなんですね。ですので、こういったことから考えても、英語の語順は、日本語の語順ほどには緩くない、と言えそうです。
(5)リンゴを食べる、トムがね。
(6)An apple eats Tom. (リンゴは、トムを食べる。)
今度は、日本語(5)と英語(6)を、比較してみます。(5)と(6)は、語順に関しては、どちらも同じです。(5)の「リンゴ-食べる-トム」の順番と、(6)の‘an apple-eats-Tom’の順番は、それぞれ一致していますからね。しかし、英語(6)の意味は、ちょっと変です。というのも、(6)が表現している意味は、トムがリンゴに食われてしまう、という異常な事態であって、決して、(5)に対応した意味にはならないからです。
(7)John kicked Tom. (ジョンは、トムを蹴った。)
(8)Tom kicked John. (トムは、ジョンを蹴った。)
さらに、(7)と(8)を比較してみて下さい。(7)における‘John-kicked-Tom’の語順は、ジョンがトムを攻撃しているのであって、決して、トムがジョンを攻撃している意味にはなりません。一方、(8)における‘Tom-kicked-John’の語順は、トムがジョンを攻撃しているのであって、決して、ジョンがトムを攻撃している意味にはなりません。
つまり、英語における語順は、ことの他、文の表す意味に対して貢献度が高いということになります。しかし、このような、日本語と英語の語順における重要度の違いは、どういったことが原因で起こることなんでしょうか。ここで、少し違った角度から、日本語の語順について考えてみたいと思います。
(9)ワタシ、ジョン、ケッタ。
(10)ジョン、ワタシ、ケッタ。
今度は、(9)や(10)のような日本語ですが、例えば、日本に来たばかりで、あまり日本語に慣れていない外人さんなどが話す日本語のよくある典型的な例ですね。そこで、(9)を聞いた瞬間、普通、直感的には、「私がジョンを蹴った」、というように意味を取ると思いますが、一方、(10)を聞いた瞬間、普通、直感的には、「ジョンが私を蹴った」、というように意味を取ると思います。
しかし、(9)や(10)を、よく考えてみると、やっぱりどっちの意味なんだろうか、自信をもって答えることはできなくなってしまいます。ここで、気づくのは、やはり、「ワタシ」や、「ジョン」の後に、「~ は」や、「~ を」を付けて、意味関係をハッキリとさせたい、ということですね。
ですので、日本語の場合、ある程度は、標準的な語順に準拠して意味を取るということが、可能ではありますが、それよりも、やはり、「~ は」や、「~ を」を付けた方が、それぞれの単語を、安全に明確な意味関係で結びつけることが可能です。そして、こういった、「~ は」や、「~ を」の働きがあるからこそ、日本語の語順は、比較的、緩い制限しか受けていないのだと思われます。
しかし、一方、英語は、‘an apple’や、‘Tom’や、‘John’の後に、「~ は」や、「~を」を付ける仕組みをもっていないコトバですから、その代償として、どうしても、語順に対する依存度が高くなってしまう、というわけですね。こういった日本語と英語の相異点は、言いかえるならば、日本語は、文全体を見なくても、「~ は」や、「~を」を見ただけで、それぞれの単語の果たす役割がわかるのに対して、一方、英語の場合は、それぞれの単語が果たす役割が、文全体の中の相対的な位置付けからしかわからないということです。
今回のポイントは、英語の語順が文の中で果たす役割です。英語は、日本語以上に、語順に対してシビアなコトバなのです。日本語の感覚から言わせてもらえば、「~ は」や、「~を」のように、それだけで、ズバッと意味の対応関係を表せる専用ツールがないところが、何とも頼りないコトバなんですが、しかし、「語順の固定」、によって意味を決定するというシステムも、慣れてしまえば、案外、そんなに難しいことではありません。
と言うよりも、語順が固定されている分だけ、単純なパターン化につながり易いという側面もあるわけですから、単純な文の表現力を身に付ける上では、理想的なカタチの在り方、とも言えるわけですね。ともあれ、最初は、慣れが大事だということですね。
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