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英語学習法(27)

2004年12月11日 | 
EG25の続きです。「同格節」です。以下、見ましょう。

(1)John believes [ that Mary is honest ]. (ジョンは [ メアリーが正直者だと ] 信じている。)
(2)John's belief [ that Mary is honest ] ([ メアリーが正直者だという ] ジョンの信念。)

(1)の文は、動詞‘believe’「~ と信じている」が、‘that’節を目的語として取っています。一方、(2)ですが、抽象名詞‘belief’「信念」の直後に、‘that’節がピッタリとくっ付いています。(1)も(2)も、両方とも、‘that’節の内容は同じで、‘Mary is honest’「メアリーが正直者だ」です。

ここで、(1)と(2)の差異ですが、比較してみて明らかなように、お互いの意味は、ほぼ同じであり、あえて、違いは何かと言われれば、それは、意味というよりも、むしろ、動詞‘believe’と名詞‘belief’という、品詞にもとづいた文法的な違いの方が大きいと思われます。

(1)の動詞‘believe’を中心として、‘John’は主語であり、‘that’節は、目的語ですが、一方、(2)の名詞‘belief’の直後にある‘that’節は、同格節であり、「抽象名詞+‘that’節」のカタチとなっています。そして、‘belief’の前には、所有格のカタチをした‘John's’があります。ですので、(2)のカタチは、「所有格+抽象名詞+‘that’節」というカタチをしています。

つまり、「動詞‘believe’→名詞‘belief’」の変形 (語形変化) にあわせるカタチで、文法の側でも適切な変化が起こった、ということですね。ポイントは、(2)の所有格‘John's’が、(1)での主語に相当する役割を果たし、一方、‘that’節が、(1)での目的語に相当する役割を果たしている、ということです。

一般に、同格節は、「抽象名詞+‘that’節」のカタチで、抽象名詞の具体的内容を‘that’節によって補足するという手段が、文法の側で許されている、ということに最大の特徴があるのですが、(1)をもとにして、(2)のような変形があると考えると、ある程度は、同格節が起こり得る許容範囲を絞り込むことが可能です。

(3)John criticizes Mary. (〇) (ジョンは、メアリーを批判している。)

(4)John criticizes [ that Mary is dishonest ]. (×)
  (ジョンは [ メアリーは不正直だと ] 批判している。)

(5)John's criticism [ that Mary is dishonest ] (×)
  ([ メアリーは不正直だという ] ジョンの批判)

(3)はOKですが、一方、(4)はアウトとされています。‘criticize’「~ を批判する」という動詞は他動詞であり、目的語を取ることはできますが、それは、単純な名詞のみであり、‘that’節は (例え、「名詞」節と言えども) 許されないという制約があります。これは、もうそういうものだと覚えておく以外に方法はありません。

そして、‘criticize’「~ を批判する」という動詞は、語形変化によって、‘criticism’「批判」という抽象名詞をつくりだすことが可能ですが、(5)のように、「抽象名詞+‘that’節 (同格節)」のカタチで使うとアウトになります。つまり、抽象名詞ならば、何でも直後に‘that’節 (同格節) を続けることができるわけではない、ということになります。

(2)のような同格節はOKですが、一方、(5)のような同格節はアウトである、といった事実から、こういった基準は、どうやら、動詞の語形変化から、派生的に得られる抽象名詞の場合、そのもととなった動詞の語法が基準になって、同格節が取れるか否かの可否が決まる、ということのようです。

(6)John tends to talk about scandals. (〇)
  (ジョンは、スキャンダルを話題にする傾向がある。)

(7)John tends [ that he talks about scandals ]. (×) (訳同上)

(8)John's tendency to talk about scandals. (〇)
  (スキャンダルを話題にするというジョンの傾向)

(9)John's tendency [ that he talks about scandals ]. (×) (訳同上)

(6)と(7)のコントラストから明らかなように、動詞‘tend’は、後に‘to’不定詞をともなうことが決まっていて、‘that’節を取ることができません。そこで、「動詞‘tend’→名詞‘tendency’」のように、語形変化が起こった場合、(8)のように、そのまま、‘tendency’「傾向」に、‘to’不定詞を後続させることは可能ですが、一方、(9)のように、‘that’節を後続させることは不可能です。

これは、もちろん、抽象名詞であるならば、何にでも‘that’節を後続させることによって、その具体的内容を補足することができる、というわけではなく、そのもととなった動詞が‘that’節を取り得るかどうかが、同格節を取れるか否かの可否の基準になっているからです。

(10)John is aware [ that Mary is dishonest ]. (〇)
  (ジョンは [ メアリーが不正直だと ] 気付いている。)

(11)John's awareness [ that Mary is dishonest ]. (〇)
  ( [ メアリーが不正直だという ] ジョンの自覚)

(10)は、‘aware’「気付いている、自覚している」が形容詞ですが、何に気付いているのか、という意味的な補完が必要とされる点で、その対象が‘that’節として現れることが許されている形容詞です。 (ある述語が意味的な補完を要するため、本来、副詞として考えられるものを必須要素として取り込んでいるケースについては、EG46をはじめとする「前提の概念」全般を参照。)

ですので、(10)はOKになるわけですが、そこから、「形容詞‘aware’→名詞‘awareness’」というような、形容詞からの語形変化で派生される抽象名詞からも、‘that’節が同格節として後続できるか否かの可否が決定可能です。

つまり、(11)のように、抽象名詞‘awareness’が、同格節として‘that’節を後続させることができるのは、(10)を基準にしているからである、と言えます。このことから、動詞が目的語として‘that’節を取れるかどうかという場合に限らず、形容詞であっても、‘that’節が取れるものならば、その語形変化から得られる抽象名詞は、同格節として‘that’節を後続させることができるという、より広い一般化が可能であることになります。

しかし、もっと広い視野に立つならば、(6)から(8)の派生がOKであるという事実があり、その‘to’不定詞も具体的内容の補足をしているわけですから、‘to’不定詞も、意味的には同格節の一種であり、何も‘that’節のみが同格表現であると限定する必要はない、と考えられます。

要するに、抽象名詞に対して、「~ という」のような日本語の側から、‘that’節を補う発想をもつよりも、少し手間はかかりますが、該当する抽象名詞がどのような成り立ちであるのか、その派生経緯を予め知っておくことの方が重要である、と言えます。 (この発想と類似する構文は、EG52、参照。)

今回のポイントは、‘that’節による同格節は、見た目ほどには単純ではない、ということです。つまり、抽象名詞に対して、安易に、「~ という」のような日本語で対応させて、‘that’節を後続させるとアウトになる場合がある、ということです。

このような間違いを上手く回避するには、その抽象名詞のもとのカタチである述語が、後続させる表現として、どのようなカタチを文法的に許しているのか、その派生経緯を遡って考えてみる必要があります。また、同格表現は、‘that’節のみに特権が与えられているわけでもなく、実質的には(8)のような‘to’不定詞も、意味的には、同格表現と言える点で、そのカタチには様々な種類があることも予想されます。

‘that’節以外の同格表現の種類については、またの機会に扱ってみたいと思います。

■注 :同格節としての‘that’節が取れる抽象名詞を判別する上で、最も難しいケースとしては、ある述語からの派生とは思われないような抽象名詞の場合です。数としては、そう多くはありませんが、例としては、‘idea’「考え」、‘effect’「主旨、要点」、‘story’「話」、‘news’「知らせ、ニュース」、‘law’「法則」などがあります。

●関連: EG25EG46EG52

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