EG51の続きです。不定詞の形容詞(的)用法です。以下、見ましょう。
(1)I am able to fly in the sky. (オレ、空を飛べるんだぜ。)
(1)の、‘be able to’不定詞のカタチは、「~ できる」の意味で、普通、覚えています。‘be able to’=‘can’で、覚えている人も多いと思います。ところで、‘be able to’は、3つの単語から構成されていて、‘be’+‘able’+‘to’ですね。これを、ちょっと詳しくみると、「‘be’動詞 (be)+形容詞 (able)+‘to’不定詞」というふうに分けることができます。
ここで、形容詞の‘able’そのものには、どんな意味があるかというと、「能力がある」、となってます。つまり、(1)の意味の成り立ちは、‘to fly in the sky’「空を飛べるという点で」、という不定詞表現と、‘I am able’「オレは能力がある」、の組み合わせとなっていて、そこから、「~ という点で能力がある → ~ できる」となり、(1)の日本語訳のような感じになるのだな、とわかります。
さらに、‘I am able’は、「主語 (I)+‘be’動詞 (am)+形容詞 (able)」で、文の骨格となるカタチをしています。ですので、後に続く、不定詞‘to fly in the sky’は、文の骨格には、なり得ない要素であり、文の骨格に依存する側の要素、つまり、副詞一族の一味であるから、副詞用法の不定詞である、と言えます。 (EG42、EG44、参照。)
ところで、形容詞の‘able’「能力がある」には、‘ability’「能力」という名詞に、品詞転換が可能です。このように、形容詞が、名詞に変わるということ自体は、さして、めずらしくはありません。例えば、以下のような例があります。
(2)a. eager (切望する) → eagerness (切望)
b. kind (親切な) → kindness (親切)
c. curious (好奇心がある) → curiosity (好奇心)
(2a)~(2c)は、3つとも、「形容詞 → 名詞」のパターンです。ここで、‘able’にもどって、問題となるのは、‘able’「能力がある」が、‘ability’「能力」という、名詞に変わったあとでも、後に不定詞が続くことがある、ということです。
(3)be able to fly (飛ぶ能力がある) → ability to fly (飛ぶ能力)
(3)の‘ability’「能力」は、名詞ですから、後に続く不定詞が、前にある名詞にかかる、ということになってしまいます。名詞にかかるものは、形容詞(類)と見なす、という考えですね。そうなってくると、こういった不定詞の扱いは、副詞用法ではなく、むしろ、形容詞用法、ということになります。(2a)~(2c)の場合も同様です。
(4)a. be eager to go (行くのを切望する)
→ eagerness to go (行くことの切望)
b. be kind to help (助けてくれて親切な)
→ kindness to help (助ける親切)
c. be curious to konw (知るのに好奇心がある)
→ curiosity to know (知的好奇心)
(4a)~(4c)のパターンも不定詞が、「副詞用法 → 形容詞用法」に変わっているとみてよい例です。しかし、こういった変形の結果として、不定詞は、どのような用法に分類されるか、などといったことは、単なる結果論にすぎず、本当に重要なのは、不定詞の用法うんぬんではなく、こういった変形パターンがあるのだ、ということを知ることですから、まず、(3)と(4a)~(4c)の、変形パターンを、そっくりそのまま覚えてしまうことをお薦めします。それと、一応、こういった表現の、主語の表し方は、以下のとおりです。
(5)my ability to fly in the sky (オレの空飛ぶ能力)
(1)の主語、‘I’「オレ」は、所有格‘my’「オレの」にしてやるとよいです。これも、‘ability’が名詞だから、という理由からくるものです。ですので、(4a)~(4c)の表現も主語付きにしてしてやると、以下のようになります。
(6)a. He is eager to go. (彼は行くのを切望している。)
→ his eagerness to go (彼の行きたいという切望)
b. She is kind to help. (助けてくれて、彼女は親切だな。)
→ her kindness to help (彼女の助けるという親切)
c. Tom is curious to konw. (トムは知的好奇心がある。)
→ Tom's curiosity to know (トムの知的好奇心)
(6a)~(6c)のような変形の流れも、理屈がわかれば、とても簡単であることがわかります。 (‘be’動詞を外す点は、要注意です。) では、「形容詞 → 名詞」以外のパターンとして、「動詞 → 名詞」のパターンも見ておきましょう。
(7)a. decide (決める)→ decision (決定)
b. refuse (拒絶する) → refusal (拒絶)
c. attempt (試みる) → attempt (試み)
(7a)~(7c)の、「動詞 → 名詞」のパターンでは、(7c)の‘attempt’には、カタチの変化がありませんので注意して下さい。しかし、これら、3つに共通していることは、不定詞を後にしたがえることができる、ということです。以下で確認しましょう。
(8)a. John decided to resign. (ジョンは辞任することを決めた。)
→ John's decision to resign. (ジョンの辞任する決意。)
b. They refuse to come. (彼らは、来ることを拒絶する。)
→ their refusal to come (彼らの来ることの拒絶)
c. He attempted to stop smoking. (彼は禁煙することを試みた。)
→ his attempt to stop smoking (彼の禁煙しようという試み)
ここで、ちょっとした注意点ですが、(8a)~(8c)では、「動詞 → 名詞」の、変形 (品詞転換) をおこす前の動詞が、不定詞をしたがえている表現になっているわけです。そこで、これら動詞についている不定詞の用法は何か、というと、副詞用法ではなく、名詞用法、ということになります。つまり、(7a)~(7c)の動詞は、目的語として、不定詞を取ることができるのですね。 (EG38、参照。)
しかし、(7a)~(7c)のように、「動詞 → 名詞」のような変形 (品詞転換) がおこると、もはや、不定詞は、カタチの上では、それらの名詞にかかる、としか言えなくなるので、とりあえず、カタチから判断するに、形容詞用法という分類になる、というだけのことです。
やはり、ここでも、不定詞の用法が、どうのこうの、とこだわるよりも、こういった変形パターンがあることを、知っておくことが、最も重要なことですから、用法に関しては、さほど気にするようなことではありません。
今回のポイントは、関係節のような使い方をする、不定詞の形容詞用法以外に、全く、違ったタイプの形容詞用法が存在する、ということです。しかし、このタイプの形容詞用法は、名詞にかかる、などといったことを、強調しても、それほど意味がないタイプで、それよりも、「形容詞 → 名詞」や、「動詞 → 名詞」といった、ベースになる表現の変形 (品詞転換) による、「派生経緯」を理解することの方が重要なものです。
こういった表現に付随している不定詞は、もともとは、不定詞をしたがえる形容詞や動詞が、名詞になり、不定詞はそのまま残存して、くっついているだけなので、あまり、後付けした表現、という感じがなく、むしろ、そういった不定詞がないと、意味的に完結していない感じがするので、なくなってしまうと、どこか、しっくりしなくなってしまう表現ばかりです。ここが、関係節と類似している、形容詞用法の不定詞とは、大きく異なっている点です。
ここまでの理解で、形容詞用法の不定詞は、その大半を消化したことになります。あと、ちょっとありますが、またの機会です。
●関連: EG38、EG42、EG44、EG51
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(1)I am able to fly in the sky. (オレ、空を飛べるんだぜ。)
(1)の、‘be able to’不定詞のカタチは、「~ できる」の意味で、普通、覚えています。‘be able to’=‘can’で、覚えている人も多いと思います。ところで、‘be able to’は、3つの単語から構成されていて、‘be’+‘able’+‘to’ですね。これを、ちょっと詳しくみると、「‘be’動詞 (be)+形容詞 (able)+‘to’不定詞」というふうに分けることができます。
ここで、形容詞の‘able’そのものには、どんな意味があるかというと、「能力がある」、となってます。つまり、(1)の意味の成り立ちは、‘to fly in the sky’「空を飛べるという点で」、という不定詞表現と、‘I am able’「オレは能力がある」、の組み合わせとなっていて、そこから、「~ という点で能力がある → ~ できる」となり、(1)の日本語訳のような感じになるのだな、とわかります。
さらに、‘I am able’は、「主語 (I)+‘be’動詞 (am)+形容詞 (able)」で、文の骨格となるカタチをしています。ですので、後に続く、不定詞‘to fly in the sky’は、文の骨格には、なり得ない要素であり、文の骨格に依存する側の要素、つまり、副詞一族の一味であるから、副詞用法の不定詞である、と言えます。 (EG42、EG44、参照。)
ところで、形容詞の‘able’「能力がある」には、‘ability’「能力」という名詞に、品詞転換が可能です。このように、形容詞が、名詞に変わるということ自体は、さして、めずらしくはありません。例えば、以下のような例があります。
(2)a. eager (切望する) → eagerness (切望)
b. kind (親切な) → kindness (親切)
c. curious (好奇心がある) → curiosity (好奇心)
(2a)~(2c)は、3つとも、「形容詞 → 名詞」のパターンです。ここで、‘able’にもどって、問題となるのは、‘able’「能力がある」が、‘ability’「能力」という、名詞に変わったあとでも、後に不定詞が続くことがある、ということです。
(3)be able to fly (飛ぶ能力がある) → ability to fly (飛ぶ能力)
(3)の‘ability’「能力」は、名詞ですから、後に続く不定詞が、前にある名詞にかかる、ということになってしまいます。名詞にかかるものは、形容詞(類)と見なす、という考えですね。そうなってくると、こういった不定詞の扱いは、副詞用法ではなく、むしろ、形容詞用法、ということになります。(2a)~(2c)の場合も同様です。
(4)a. be eager to go (行くのを切望する)
→ eagerness to go (行くことの切望)
b. be kind to help (助けてくれて親切な)
→ kindness to help (助ける親切)
c. be curious to konw (知るのに好奇心がある)
→ curiosity to know (知的好奇心)
(4a)~(4c)のパターンも不定詞が、「副詞用法 → 形容詞用法」に変わっているとみてよい例です。しかし、こういった変形の結果として、不定詞は、どのような用法に分類されるか、などといったことは、単なる結果論にすぎず、本当に重要なのは、不定詞の用法うんぬんではなく、こういった変形パターンがあるのだ、ということを知ることですから、まず、(3)と(4a)~(4c)の、変形パターンを、そっくりそのまま覚えてしまうことをお薦めします。それと、一応、こういった表現の、主語の表し方は、以下のとおりです。
(5)my ability to fly in the sky (オレの空飛ぶ能力)
(1)の主語、‘I’「オレ」は、所有格‘my’「オレの」にしてやるとよいです。これも、‘ability’が名詞だから、という理由からくるものです。ですので、(4a)~(4c)の表現も主語付きにしてしてやると、以下のようになります。
(6)a. He is eager to go. (彼は行くのを切望している。)
→ his eagerness to go (彼の行きたいという切望)
b. She is kind to help. (助けてくれて、彼女は親切だな。)
→ her kindness to help (彼女の助けるという親切)
c. Tom is curious to konw. (トムは知的好奇心がある。)
→ Tom's curiosity to know (トムの知的好奇心)
(6a)~(6c)のような変形の流れも、理屈がわかれば、とても簡単であることがわかります。 (‘be’動詞を外す点は、要注意です。) では、「形容詞 → 名詞」以外のパターンとして、「動詞 → 名詞」のパターンも見ておきましょう。
(7)a. decide (決める)→ decision (決定)
b. refuse (拒絶する) → refusal (拒絶)
c. attempt (試みる) → attempt (試み)
(7a)~(7c)の、「動詞 → 名詞」のパターンでは、(7c)の‘attempt’には、カタチの変化がありませんので注意して下さい。しかし、これら、3つに共通していることは、不定詞を後にしたがえることができる、ということです。以下で確認しましょう。
(8)a. John decided to resign. (ジョンは辞任することを決めた。)
→ John's decision to resign. (ジョンの辞任する決意。)
b. They refuse to come. (彼らは、来ることを拒絶する。)
→ their refusal to come (彼らの来ることの拒絶)
c. He attempted to stop smoking. (彼は禁煙することを試みた。)
→ his attempt to stop smoking (彼の禁煙しようという試み)
ここで、ちょっとした注意点ですが、(8a)~(8c)では、「動詞 → 名詞」の、変形 (品詞転換) をおこす前の動詞が、不定詞をしたがえている表現になっているわけです。そこで、これら動詞についている不定詞の用法は何か、というと、副詞用法ではなく、名詞用法、ということになります。つまり、(7a)~(7c)の動詞は、目的語として、不定詞を取ることができるのですね。 (EG38、参照。)
しかし、(7a)~(7c)のように、「動詞 → 名詞」のような変形 (品詞転換) がおこると、もはや、不定詞は、カタチの上では、それらの名詞にかかる、としか言えなくなるので、とりあえず、カタチから判断するに、形容詞用法という分類になる、というだけのことです。
やはり、ここでも、不定詞の用法が、どうのこうの、とこだわるよりも、こういった変形パターンがあることを、知っておくことが、最も重要なことですから、用法に関しては、さほど気にするようなことではありません。
今回のポイントは、関係節のような使い方をする、不定詞の形容詞用法以外に、全く、違ったタイプの形容詞用法が存在する、ということです。しかし、このタイプの形容詞用法は、名詞にかかる、などといったことを、強調しても、それほど意味がないタイプで、それよりも、「形容詞 → 名詞」や、「動詞 → 名詞」といった、ベースになる表現の変形 (品詞転換) による、「派生経緯」を理解することの方が重要なものです。
こういった表現に付随している不定詞は、もともとは、不定詞をしたがえる形容詞や動詞が、名詞になり、不定詞はそのまま残存して、くっついているだけなので、あまり、後付けした表現、という感じがなく、むしろ、そういった不定詞がないと、意味的に完結していない感じがするので、なくなってしまうと、どこか、しっくりしなくなってしまう表現ばかりです。ここが、関係節と類似している、形容詞用法の不定詞とは、大きく異なっている点です。
ここまでの理解で、形容詞用法の不定詞は、その大半を消化したことになります。あと、ちょっとありますが、またの機会です。
●関連: EG38、EG42、EG44、EG51
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