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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(52)

2005年02月05日 | 不定詞
EG51の続きです。不定詞の形容詞(的)用法です。以下、見ましょう。

(1)I am able to fly in the sky. (オレ、空を飛べるんだぜ。)

(1)の、‘be able to’不定詞のカタチは、「~ できる」の意味で、普通、覚えています。‘be able to’=‘can’で、覚えている人も多いと思います。ところで、‘be able to’は、3つの単語から構成されていて、‘be’+‘able’+‘to’ですね。これを、ちょっと詳しくみると、「‘be’動詞 (be)+形容詞 (able)+‘to’不定詞」というふうに分けることができます。

ここで、形容詞の‘able’そのものには、どんな意味があるかというと、「能力がある」、となってます。つまり、(1)の意味の成り立ちは、‘to fly in the sky’「空を飛べるという点で」、という不定詞表現と、‘I am able’「オレは能力がある」、の組み合わせとなっていて、そこから、「~ という点で能力がある → ~ できる」となり、(1)の日本語訳のような感じになるのだな、とわかります。

さらに、‘I am able’は、「主語 (I)+‘be’動詞 (am)+形容詞 (able)」で、文の骨格となるカタチをしています。ですので、後に続く、不定詞‘to fly in the sky’は、文の骨格には、なり得ない要素であり、文の骨格に依存する側の要素、つまり、副詞一族の一味であるから、副詞用法の不定詞である、と言えます。 (EG42、EG44、参照。)

ところで、形容詞の‘able’「能力がある」には、‘ability’「能力」という名詞に、品詞転換が可能です。このように、形容詞が、名詞に変わるということ自体は、さして、めずらしくはありません。例えば、以下のような例があります。

(2)a. eager (切望する) → eagerness (切望)
   b. kind (親切な) → kindness (親切)
   c. curious (好奇心がある) → curiosity (好奇心)

(2a)~(2c)は、3つとも、「形容詞 → 名詞」のパターンです。ここで、‘able’にもどって、問題となるのは、‘able’「能力がある」が、‘ability’「能力」という、名詞に変わったあとでも、後に不定詞が続くことがある、ということです。

(3)be able to fly (飛ぶ能力がある) → ability to fly (飛ぶ能力)

(3)の‘ability’「能力」は、名詞ですから、後に続く不定詞が、前にある名詞にかかる、ということになってしまいます。名詞にかかるものは、形容詞(類)と見なす、という考えですね。そうなってくると、こういった不定詞の扱いは、副詞用法ではなく、むしろ、形容詞用法、ということになります。(2a)~(2c)の場合も同様です。

(4)a. be eager to go (行くのを切望する)
           → eagerness to go (行くことの切望)

   b. be kind to help (助けてくれて親切な)
           → kindness to help (助ける親切)

   c. be curious to konw (知るのに好奇心がある)
           → curiosity to know (知的好奇心)

(4a)~(4c)のパターンも不定詞が、「副詞用法 → 形容詞用法」に変わっているとみてよい例です。しかし、こういった変形の結果として、不定詞は、どのような用法に分類されるか、などといったことは、単なる結果論にすぎず、本当に重要なのは、不定詞の用法うんぬんではなく、こういった変形パターンがあるのだ、ということを知ることですから、まず、(3)と(4a)~(4c)の、変形パターンを、そっくりそのまま覚えてしまうことをお薦めします。それと、一応、こういった表現の、主語の表し方は、以下のとおりです。

(5)my ability to fly in the sky (オレの空飛ぶ能力)

(1)の主語、‘I’「オレ」は、所有格‘my’「オレの」にしてやるとよいです。これも、‘ability’が名詞だから、という理由からくるものです。ですので、(4a)~(4c)の表現も主語付きにしてしてやると、以下のようになります。

(6)a. He is eager to go. (彼は行くのを切望している。)
        → his eagerness to go (彼の行きたいという切望)
 
   b. She is kind to help. (助けてくれて、彼女は親切だな。)
        → her kindness to help (彼女の助けるという親切)
   
   c. Tom is curious to konw. (トムは知的好奇心がある。)
        → Tom's curiosity to know (トムの知的好奇心)

(6a)~(6c)のような変形の流れも、理屈がわかれば、とても簡単であることがわかります。 (‘be’動詞を外す点は、要注意です。) では、「形容詞 → 名詞」以外のパターンとして、「動詞 → 名詞」のパターンも見ておきましょう。

(7)a. decide (決める)→ decision (決定)
   b. refuse (拒絶する) → refusal (拒絶)
   c. attempt (試みる) → attempt (試み)

(7a)~(7c)の、「動詞 → 名詞」のパターンでは、(7c)の‘attempt’には、カタチの変化がありませんので注意して下さい。しかし、これら、3つに共通していることは、不定詞を後にしたがえることができる、ということです。以下で確認しましょう。

(8)a. John decided to resign. (ジョンは辞任することを決めた。)
        → John's decision to resign. (ジョンの辞任する決意。)

   b. They refuse to come. (彼らは、来ることを拒絶する。)
        → their refusal to come (彼らの来ることの拒絶)

   c. He attempted to stop smoking. (彼は禁煙することを試みた。)
        → his attempt to stop smoking (彼の禁煙しようという試み)

ここで、ちょっとした注意点ですが、(8a)~(8c)では、「動詞 → 名詞」の、変形 (品詞転換) をおこす前の動詞が、不定詞をしたがえている表現になっているわけです。そこで、これら動詞についている不定詞の用法は何か、というと、副詞用法ではなく、名詞用法、ということになります。つまり、(7a)~(7c)の動詞は、目的語として、不定詞を取ることができるのですね。 (EG38、参照。)

しかし、(7a)~(7c)のように、「動詞 → 名詞」のような変形 (品詞転換) がおこると、もはや、不定詞は、カタチの上では、それらの名詞にかかる、としか言えなくなるので、とりあえず、カタチから判断するに、形容詞用法という分類になる、というだけのことです。

やはり、ここでも、不定詞の用法が、どうのこうの、とこだわるよりも、こういった変形パターンがあることを、知っておくことが、最も重要なことですから、用法に関しては、さほど気にするようなことではありません。

今回のポイントは、関係節のような使い方をする、不定詞の形容詞用法以外に、全く、違ったタイプの形容詞用法が存在する、ということです。しかし、このタイプの形容詞用法は、名詞にかかる、などといったことを、強調しても、それほど意味がないタイプで、それよりも、「形容詞 → 名詞」や、「動詞 → 名詞」といった、ベースになる表現の変形 (品詞転換) による、「派生経緯」を理解することの方が重要なものです。

こういった表現に付随している不定詞は、もともとは、不定詞をしたがえる形容詞や動詞が、名詞になり、不定詞はそのまま残存して、くっついているだけなので、あまり、後付けした表現、という感じがなく、むしろ、そういった不定詞がないと、意味的に完結していない感じがするので、なくなってしまうと、どこか、しっくりしなくなってしまう表現ばかりです。ここが、関係節と類似している、形容詞用法の不定詞とは、大きく異なっている点です。

ここまでの理解で、形容詞用法の不定詞は、その大半を消化したことになります。あと、ちょっとありますが、またの機会です。

●関連: EG38EG42EG44EG51

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英語学習法(51)

2005年02月02日 | 不定詞
不定詞の形容詞(的)用法です。以下、見ましょう。

(1)The first guest visited the new hall.
  (最初のゲストがその新ホールを訪れました。)

(1)は、「主語 (the first guest)+動詞 (visited)+目的語 (the hall)」の文です。これを、「その新ホールを訪れた最初のゲスト」、というような表現にしたいと思います。まず、この日本語からは、「その新ホールを訪れた」の部分が、「最初のゲスト」に、かかっている感じがしますね。このような場合、関係節を使ってやるとよいですね。 (EG24、EG26、参照。)

(2)the first guest [ who visited the new hall ]
  ([ その新ホールを訪れた ] 最初のゲスト)

(2)の、英語と日本語を比較した場合、カギカッコの関係節、‘who visited the new hall’「その新ホールを訪れた」と、その関係節がかかる表現、‘the first guest’「最初のゲスト」が、左右逆語順になっていますが、英語の場合、その逆語順を維持したままで、‘to’付きの不定詞を使って、別の表現をつくることができます。

(3)the first guest [ to visit the new hall ] (訳同(2))

(3)では、‘the first guest’「最初のゲスト」に、‘to’付きの不定詞である、‘to visit the new hall’が、かかっています。このように、不定詞には、関係節と、ほぼ同じ役割を果たす機能があります。この種の不定詞は、(2)のような関係節と同様に、名詞(類)にかかる、というのが、その最大の特徴です。名詞にかかる、というのは、以下のような表現が、最も基本的な例ですね。

(4) busy people (忙しい人々)、fast cars (速いクルマ)、high taxes (高い税金)、
   beautiful scenery (美しい景色)、angry men (怒れる男たち)

(4)の表現は、全て、「形容詞+名詞」のカタチになっています。‘busy’「忙しい」は、‘people’「人々」にかかっていますし、‘fast’「速い」は、‘cars’「クルマ」にかかっています。そして、他の表現も、同じ関係が成り立っています。つまり、形容詞には、名詞にかかる、という機能がある、ということですね。

この点で、(3)のような不定詞も、前から後に、ではなく、後から前に、という方向の違いはあるものの、「名詞にかかる」、という機能は同じであり、その点において、形容詞的な感じがしますので、ズバリ、「形容詞(的)用法の不定詞」、と呼ばれています。

この、形容詞用法の不定詞には、関係節に類似する、いくつかの特徴があります。まず、(2)のカギカッコ内、つまり、関係節の中で、関係代名詞‘who’が、‘visited ~’の主語位置を占めていますので、主語の役割を果たしている、と言えます。そして、その‘who’は、‘the first guest’に対して、代名詞的、つまり、‘who’=‘the first guest’と解釈できるように、はたらいています。

これと比較してわかるように、やはり、不定詞を使った(3)でも、‘the first guest’は、‘to visited ~’に対して、本来的に、「主語としての関係」が成り立っています。つまり、(3)における語句の基本関係は、やはり、(2)と同じく、(1)の文をベースにしている、ということですね。ですので、(3)では、不定詞がかかっている‘the first guest’は、その不定詞に対して、もとをたどれば、「主語解釈を受けるべき名詞」である、ということです。次にいきましょう。

(4)John plays with a girl. (ジョンは女の子と遊ぶ。)
(5)a girl [ who John plays with _ ] ([ ジョンが _ 遊ぶ ] 女の子)

(4)をベースにして、今度は、目的語が空家になるような関係節を表現しているのが、(5)です。‘play with ~’「~ と遊ぶ」の、目的語である、‘a girl’「女の子」が、関係代名詞の‘who’に変化して、カギカッコの関係節の先頭に位置しています。ですので、(5)では、「空家の条件」にしたがって、‘with ~’の後は、ポッカリと穴が空いていますね。

もちろん、日本語の方でも、同じく、「空家の条件」に従いますので、カギカッコ内では、(4)の目的語に相当する、「女の子と」が、消えることで、空家状態になっています。(英語では‘with ~’が消えずに、そのまま残りますが、一方、日本語では、「~ と」までもが、消えるところは、異なっています。) では、不定詞ではどうでしょうか。

(6)a girl [ for John to play with _ ]  (訳同(5))

(6)では、不定詞を使って、(5)と、ほぼ同じ意味を表現しています。ここで、‘with ~’の後は、関係節を使った、(5)と同じく、目的語がなくなっており、空家になっていますね。 (‘for A to 不定詞’のカタチが、「Aが ~ する」の、意味関係を表現できることについては、EG43参照)

つまり、不定詞の形容詞用法は、この点で、関係節と同じく、「空家の条件」に従うことがわかります。ですので、この場合の、‘a girl’「女の子」は、かかる不定詞に対して、もとをたどれば、「目的語解釈を受けるべき名詞」である、ということです。もちろん、(6)のように、前置詞を使った場合だけでなく、他動詞を使った場合も同じです。

(7)John dates a girl. (ジョンは女の子とデートする。)
(8)a girl [ who John dates _ ] ([ ジョンが _ デートする ] 女の子)
(9)a girl [ for John to date _ ] (訳同(8))

(4)、(5)、(6)の、‘play with ~’「~ と遊ぶ」を、他動詞である、‘date’「~ とデートする」に交換して、(7)、(8)、(9)としてみました。(7)をベースにして、(8)のような関係節をつくると、‘date’の目的語の位置が、空家になります。そして、今度は不定詞で、(8)と似たような意味の表現になる、(9)をつくると、やはり、「空家の条件」にしたがって、‘date’の目的語が消えています。つまり、ここでも、関係節と、ほぼ同じ条件にしたがっていることがわかります。

ここで、関係節と、ちょっと異なる部分にも、触れておきたいと思います。(5)や(8)のような関係節では、カギカッコ内の主語が、必ず必要になりますが、(6)や(9)のような不定詞では、‘for ~’で表現される、不定詞の主語は、必ずしも必要ではありません。つまり、意味的に必要ない、と考えられる場合は、別になくても構わないのです。

(10)a girl [ to play with _ ] ([ いっしょに遊べる ] 女の子)
(11)a girl [ to date _ ] ([ いっしょにデートできる ] 女の子)

(10)と(11)は、どちらも‘for ~’で表現される、不定詞の主語がありません。ですので、この場合、不定詞の主語は、(10)や(11)からだけでは、どのようなものかは、不明である、という解釈にしておけばよいわけです。適当に、他の文脈や、(10)や(11)が発話された状況から、意味的にふさわしいものが、主語として選ばれるだけなので、そういった、いわゆる外的要因に依存して、主語が決まる、ということですね。

今回のポイントは、不定詞には、名詞(類)に、直接かかる用法がある、ということです。そのかかり方は、関係節とパターンが酷似しており、予め、関係代名詞の使い方を理解している学習者にとっては、習得するのが、とても楽である、というボーナスが付いています。

不定詞の形容詞用法には、実は、今回のパターン以外にも知っておくべき、他のバラエティがありますが、今回のパターンを習得すれば、その半分は、消化したことになります。残りの半分については、またの機会にでも。

■注: 高校生、及び、大学受験生の方が、この記事をお読みになっている場合、(2)の関係代名詞‘who’は、‘that’に置き換えて覚えることをお薦めします。定期試験や大学受験では、‘the first ~’にかかる関係節においては、関係代名詞は‘that’に限られる、というような答えを要求する問題が、出題されることがあります。

● 関連: EG24EG26EG43

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英語学習法(50)

2005年01月29日 | 不定詞
また、不定詞の副詞用法です。‘enough’とセットになるものです。以下、見ましょう。

(1)John is tall. (ジョンは背が高い。)

「高い」という表現は主観的な表現です。Aさんにとっての、「高い」と、Bさんにとっての、「高い」は、常に、数値的に、ピタリと一致するとは限りません。人それぞれの常識やら、価値観やらで、「高い」が決まるので、我が国では、170cmからが、「高い」ということに定める、などという、法律でも制定されなければ、「高い」は、客観的な表現にはなり得ません。そこで、以下、見ましょう。

(2)John is tall <enough to reach the ceiling>.
  (ジョンは、<天井に届くほど>背が高い。)

(2)のようにすれば、主観的な、「高い」に対して一応の基準が示せます。‘enough to’の不定詞を(1)に、ピタンとくっつけるだけでOKです。‘enough to’は、いわゆる、副詞用法の不定詞の変種ですが、このように主観的な表現に対して、一定の基準を示す手段として活躍します。 (副詞用法の不定詞に関しては、EG42、参照。)

(3)He is smart <enough to invent a time machine>. 
  (アタマイイのなんのって<タイムマシン発明するほど>だよ。)

(4)He runs fast <enough to keep up with the Porsche>. 
  (ヤツは<ポルシェに付いていけるほど>足が速いぞ。)

(5)He is rich <enough to own a Gundam>. 
  (アイツは<ガンダムを一機所有してるくらい>金持ちなんだ。)

「頭が良い」、「速く走る」、「金持ちだ」も、主観表現ですので、それが、どの程度なのかを、情報として後付けできます。つまり、‘enough to’を付け足してやることで、一応のイメージができるような具体性を帯びた文にしてやることができるんですね。文法的な注意点としては、‘enough to’は、一応、基本的には副詞用法の不定詞なんですが、名詞につくこともあります。

(4) a noise enough to wake the dead. (死人すら起きてしまうほどの騒音)

「騒音」は名詞ですが、意味的には、その「うるさい」程度が問題になりやすい、という点で、主観的です。そして‘enough to’の‘enough’には、文法的には、形容詞としての働きもあります。ですので、(4)のような表現が可能です。‘enough’が形容詞としてはたらく場合は、‘enough’の前置きも可能です。ただし、ちょっと、意味に違いがでるようですので、注意して下さい。

(5)a. enough money to lead a happy life. 
    (幸せな生活を送るに余裕たっぷりのお金)
   
   b. money enough to lead a happy life. 
    (とりあえず幸せな生活を送るには困らないだけのお金)

「お金」は量 (金額) が問題となりやすい点で、主観的ですね。(5a)だと、‘enough’と‘to lead a happy life’が、‘money’によって寸断されており、‘enough’単体が、直接‘money’にかかっている感じがするためか、不定詞との連携性があまり強く感じられず、むしろ、‘enough money’を1つのかたまりに取ってから、後付けで、‘to lead a happy life’がくっついている感じがします。事実、‘enough money’の直後に、少しポーズを入れたようなイントネーションになります。

(5b)だと、‘enough to lead a happy life’が一続きになっていて、‘enough’と‘to lead a happy life’のつながりが、強く感じられるため、「程度」をしっかり表現してくれるようになります。この場合も‘money’の直後に、少しポーズが入りますが、(5a)と違う点は、後続する表現が‘enough’を含め、‘enough to lead a happy life’にカタマリ感があり、‘money’が孤立している感じがあるということです。それと、もともとが、あまり主観的と感じられない表現には、‘enough’を単体で、名詞の前に置いて使うことができません。

(6)a. He was man enough to try it. (〇) (それを試みるとは男らしいやつだ。)
   b. He was enough man to try it. (×) (訳同上)

(6b)の‘enough man’「十分な男」(?)だけを取り出して、意味を考えても、あまりよくわかりません。つまり、カタマリ感がないわけです。つながり具合としては、やはり‘enough to try it’の方を、1つのカタマリとして捉えた、(6a)の方が良く感じます。

そもそも、‘man’「男」の場合、男じゃなきゃ女、女じゃなきゃ男、みたいに、二者択一式な、客観的側面の方が、色濃くでやすい表現なので、‘noise’「騒音」のように、「程度」が問題になりにくいんですが、イメージをふくらませて、男らしさ、という点に焦点を当てれば、何とか程度を問題にできる、という感じになります。

しかし、それでも、「十分な男」、という表現だけからでは、そこまでのイメージは、普通、なかなか、わかないものです。つまり、主観に依存しやすい表現、しにくい表現、というものがあるということですね。ここら辺りのイメージのしやすさ、しにくさを基準にして、カタマリ感の、「ある・ない」、が決定されますので、人によって、判断がゆれやすい、とも言えます。ちなみに、(7)みたいな感じなら、OKになります。

(7)enough men to make a woman satisfied in her choice.
  (選ぶ上での数としては、女が満足するほど十分な数の男)

(7)では、男の「数」を問題にしているという点で、その数が、どのくらいかという、程度表現が可能です。つまり、複数形になると、即座に、‘enough’との相性が良くなるわけです。これは、もちろん、‘enough’「十分な」の意味が、「数」に対しては、もとから相性が良いためです。

つまり、複数形に対しては、‘enough’は、常に安心して使えるということになります。他にも、‘enough to’は辞書をみると、何かと細かい説明や用法がありますが、ここまで知っていれば、もう十分、実用に耐えられるレベルです。

今回のポイントは、‘enough to’の不定詞は、ある主観表現に対して、それがどの程度なのかを具体的に述べたいときに、威力を発揮するということです。あまり、「主観・客観」を考える、というようなことを強調して教わることないためか、英語が苦手だと感じている人たちは、ある表現に対しての「主観性・客観性」に、なかなか意識が向かないようです。これはコトバの意味に関わるだけでなく、文法性をも左右する、重要な基準となることがよくありますので、ちょっと意識してみることを、お薦めします。

● 関連: EG42

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英語学習法(43)

2005年01月03日 | 不定詞
不定詞も主語をもつことができます。学校では習わないようなことも含めて、「英語脳」的には重要なことがありますので、取り上げてみたいと思います。以下、見ましょう。

(1)Tom solved this problem. (トムがこの問題を解いたんだ。)

(1)は、‘Tom’が主語で、以下の‘solved this problem’が述語になりますね。では、(1)と関連させて、次に、‘to’不定詞を使った表現を見てみましょう。

(2)It is impossible to solve this problem. (この問題を解くのは、不可能だね。)
(3)It is impossible for Tom to solve this problem. (トムがこの問題を解くのは、不可能だよ。)

(2)のように、‘to’不定詞の‘to solve ~’は、特に、主語に当たるものをもってはいませんが、必要に応じて主語を付けることができます。それが(3)です。カタチは、「‘for’~‘to’不定詞」にしてしまえばOKで、‘for Tom’が、‘to solve this problem’に対する主語の役割を果たすということですね。

注意点としては、‘for Tom’を日本語に訳す際は、「トムが」の他に、「トムにとって」というものもありますが、不都合がなければ、どちらでもOKです。ただし、以下のような文には、注意が必要です。

(4)It is unpleasant for Ally for Billy to date Georgia.
(5) a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)
   b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)

(4)では、‘for ~’が2つ現れていますが、このように、「for A for B to不定詞」のカタチになった場合は、(5a)のように、必ず、「A にとって B が・・・するのは」、というように解釈しますので、(5b)のように、「B にとって A が・・・するのは」、という解釈は絶対にダメです。そして、以下のような文も要注意です。

(6)There are many flies in the kitchen.
  (台所にハエがいっぱいいるな。)

(7)It is unpleasant for there to be many flies in the kitchen.
  (台所にハエがいっぱいいるなんて不愉快だな。)

(6)のような、‘there is/are ~’の文を、(7)のように、「‘for’~‘to’不定詞」の構文に組み込むこともできます。このときの‘for there’は、もはや、日本語に訳しようがありませんので、ただ単に、カタチの上で必要だから主語として組み込まれたのだ、と理解しておけばよいわけです。

(8)For Ally it is unpleasant for Billy to date Georgia.
(9)a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)
   b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)

ここで、(4)の文を少しだけいじって、(8)のようにしてみましょう。(8)では、「for A for B to不定詞」の、‘for A’に当たる‘for Ally’が、文の先頭に位置しています。しかし、(4)の意味を取るときと同じで、解釈は全く変わりませんね。では、(10)はどうでしょうか。

(10)For Billy it is unpleasant for Ally to date Georgia.
(11)a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)
   b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)

(10)では、(4)の「for A for B to不定詞」の‘for B’に当たる、‘for Billy’が文の先頭に位置しています。しかし、何と、今度は解釈が変わってしまいました。(11a)がアウトで、一方、(11b)がOKになってしまいました。つまり、アリーとジョージアの同性愛という、ちょっとアブノーマルな解釈じゃなきゃダメなんです。ここから、「for ~ to不定詞」の構文には、文法上の重要なルールがあることがわかります。

(12)「‘for’~‘to’不定詞」の構文からは、「~ にとって」の意味に
   解釈できる‘for ~’だけが、切り離し可能である。

では、(12)が本当に成り立つかどうか、他の文でも検証してみましょう。(3)で、‘for Tom’の日本語訳は、「トムが」でも、「トムにとって」でもよい、と言いました。そこで、(3)を、以下のように変化させてみます。

(13)For Tom it is impossible to solve this problem. (〇)
  (トムにとって、この問題を解くのは不可能だよ。)

(13)では、(3)をいじって、‘for Tom’を文の先頭に移動させましたが、これはOKです。この場合は、「トムが」と、「トムにとって」の、2つの解釈のうち、「トムにとって」の解釈の方を優先させればよいだけですね。では、(7)を、以下のように変化させた場合は、どうでしょうか。

(14)For there it is unpleasant to be many flies in the kitchen. (×)
  (台所にハエがいっぱいいるなんて不愉快だな。)

やっぱりダメです。‘for there’に 対して、「~ にとって」の解釈は、そもそも無理ですからね。「‘there’にとって」なんて、意味不明で、全くわかりません。というわけで、(12)は、文法のルールとして、しっかり成立するようです。

今回のポイントは、‘to’不定詞にも、明示的に主語を表現してやることができる、ということでしたが、‘for ~’という、ちょっと、紛らわしいカタチを取っているので、解釈に注意が必要な場合がある、ということです。

しかも、‘for ~’は、通常、代名詞が現れる際に、ハッキリとわかるように、‘for him’や、‘for her’といった、いわゆる、「目的格」のカタチで現れるので、初心者のヒトにとっては、‘to’不定詞の「主語」になる、と言われても、ピンとこないことがあると思います。

しかし、今回のように、‘for ~’が2つ並んで同時に出現するケースは、まさに、それら2つの‘for ~’が、似て非なるモノであることからくるものであることが、今回、明らかになったと思います。ですので、どちらのタイプの‘for ~’であるかは、文の意味をしっかり理解した上で、ということになります。

実は、他にも、‘for ~’ではないカタチを取るものもありますが、それに関しては、またの機会にでも。

■注 :今回、(6)、(7)、(14)に、用いられている、‘there’、については、「そこに」、という日本語訳を、当てはめることはできない、ということに関しては、EG74を、参照して下さい。

●関連: EG74

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英語学習法(42)

2004年12月31日 | 不定詞
不定詞の「副詞 (的) 用法」と呼ばれるものを扱います。以下、見ましょう。

(1)To master English is my big purpose. 
  (英語をマスターすることが、大目標であります。)

(2)<To master English> we must read many books.
  (<英語をマスターするために>、いっぱい本を読まねば。)

(1)と(2)に共通している不定詞表現、‘to master English’の部分は、パッと見た感じは同じなのに、直感的には、何かが違って感じます。それは、どういった要因によるものなんでしょうか?どうやら、‘to master English’が、文をつくるための骨格の一部であるか否かの違いだと言えそうです。

いくつかのタイプに分かれている不定詞には、「名詞 (的) 用法」と呼ばれるタイプがありますが、不定詞が名詞用法である場合、文字通り、名詞として扱える、ということになります。そこから、一歩踏み込んで考えれば、それは「主語」になれる資格をもつ、ということなのです。 (EG38、参照。)

ですので、(1)は、「主語 (to master English)+‘be’動詞 (is)+補語 (my big purpose)」、と考えればよいのですが、一方、(2)は、「主語 (we)+動詞 (must read)+目的語 (many books)」で文の骨格が既にできあがっています。つまり、‘we’が既に主語位置を占めていますので、‘to master English’に主語としての居場所はありません。そこで、残る手段は、その骨格に依存する (かかる) 側の立場になるしかない、ということになります。

ところで、「副詞」は、文のカタチを考えた場合、文の骨格に対して依存する (かかる) 側の立場になると考えられます。ですので、(2)の‘to master English’を文の骨格に対して依存する側の立場にしてしまえば、これは副詞であるということになります。実は、これが「副詞 (的) 用法」の不定詞と呼ばれるものです。 (副詞に関しては、EG39、EG40、参照。)

(2)の‘to master English’は、一般的な訳し方としては、その日本語訳にあるように、「~ (する) ために」という、何かの目的を表すような感じで訳すやり方がありますが、そう訳しても構わないような意味ならそれでOKです。しかし、意味の取り方に注意すると、そうではないような副詞用法も存在します。

(3)Little Cathy grew <to be a beautiful lady>. 
(4) a. 幼いキャシーは成長して美女になりました。 (〇)
   b. 幼いキャシーは美女になるために成長しました。 (×)

そこで、(3)の意味を考えると、(4a)がOKで、一方、(4b)はアウトです。普通、発育上の成長は自分の意志で達成できるものではありませんから、自分の意志で、5歳の幼児が、3年後に20歳になるなどということは不可能であり、自然にそうなることを待つだけのことなので、最初から「目標」とすることができません。

こういう副詞用法の不定詞は、「目的」ではなく「結果」を表すものとして解釈して、それを日本語訳に反映させるようにしなくてはならないので、(4b)のような日本語訳は、まず不可能です。

ただし、特別な考え方としては、例えば、キャシーが自分の成長をコントロールできる魔法使いであるような物語の中でならば、かろうじて、(4b)をOKにすることはできます。このような場合、‘grew’の直後に、コンマ・イントネーションを置いて、少しポーズを入れて発音することになります。

不定詞の副詞用法は、カタチの上では、文字通り、副詞と同じような分布上の制限に従いますので、見た瞬間に副詞用法だと判断するのは簡単ですが、1つのカタチに対して、多様な意味があり、単純に一対一で対応していないところが、多少厄介です。

文法の解説書でも、よく、「目的」、「結果」、「原因」、「理由」などと意味の種類を解説していますが、このような意味のバラエティを、逐一、機械的に暗記していくのでは、自然な解釈にもっていく際に、柔軟な動きが取れなくなってしまう点で、返って効率的ではありませんので、一応の目安程度に考えておくのがよいと思われます。

(5)She would be happy to see Tom.
(6) a. もしトムに会えたなら、彼女はうれしかろうに。 (〇)
   b. 彼女は喜んでトムに会うだろう。 (〇)

(5)の場合、(6a)でも(6b)でも解釈は状況に応じて可能です。違いは、トムに会った後で‘happy’になるのか、それとも、会う前から積極的に‘happy’な姿勢でいるのか、という点です。(6a)の場合、‘happy’の直後に少しポーズを置いて発音します。

そこで、不定詞と文のつながり方は、そのカタチの上での依存関係が理解できてしまえば、あとは、文の述語が表現している意味からイメージで不定詞の表す意味をつかんでいく方が、意味の適切な許容範囲を感覚的にマスターしていき安いと思われます。

(7)I am sorry to disturb you. (お邪魔して、ごめんなさい。)
(8)You are kind to help me. (助けてくれるなんて、親切ね。)
(9)He is crazy to sleep on the ice. (氷の上で寝るなんて、ヤツは狂ってるよ。)

1つの方法として、不定詞とつながる文との関係を捉える際には、コトバの「前提」を考えながら解釈するのがよいと思います。特に、感情や判断に関する表現は、比較的、不定詞と結びつきやすいと言えます。(7)は、なぜ、「ごめんなさい」なのか、(8)は、なぜ、「親切」なのか、(9)は、なぜ、「狂っている」のかということを意味的に補完する必要性が感じられるので、そういった表現は不定詞と結びつきやすいと言えます。

(10)I am eager to go out with Susan. (スーザンとデートしたいねぇ。)
(11)I am ready to fight. (勝負する準備はできています。)

(10)と(11)は、(7)~(9)以上に、不定詞とそれにつながる文が意味的な面での結びつきが強いと言えます。何を「切望」しているのか、何を「準備」の対象としているのかは、もはや、あらかじめ前提となっていて必須項目といった感があります。よく参考書などで、‘be anxious to’や‘be ready to’はセット表現として扱われるのもそのためです。

こういった不定詞は、「目的」、「結果」、「原因」、「理由」のいずれでもなく、あえて言うなら、‘eager’や‘ready’の「対象」といったものです。この「対象」に該当する不定詞はそれなしでは、意味が完結しないほどに強い補完材料とされるので、どこか目的語としての役割をもっているような感じがあります。

ただ、不定詞なしで、‘We are ready.’などというという発話の場合は、話し手と聞き手の間には、何に対して‘ready’なのかが、既に了解済みであることが前提となっている場合が多いので、不定詞が省略されていても違和感がないのですね。

不定詞の副詞用法には、それがつながる文との結びつきが比較的強いものと、そうとまではいかなくとも、ある程度の結びつきが認められるものとがあり、後者の場合は、不定詞とその外の表現とのバランスを考えながら意味を取っていく必要があります。

ですので、「‘to’+原形動詞」というように、カタチが一定しているものの、それがつながっていく表現との関係においては、意味的な面で、「近い・遠い」といった関係性、つまり、「つながり具合」を考慮しなければならないことが、副詞用法の不定詞を複雑にしている原因と言えます。

今回のポイントは、まるで白から黒に向かうプロセスにグレーゾーンが存在するような感覚で、そういった中に、「目的」、「結果」、「原因」、「理由」などといった意味が抽出されるということです。この意味的な結びつきの強弱の流れが意識されているのとそうでないのとでは、英語脳の形成にかなりの違いがでてきます。

実は、副詞用法という呼び方も、単純に表面上のカタチを見た上でそう呼んでいるだけですので、意味的な結びつきの度合いといった観点からは、そのような呼び方で一括りにするのは不十分で、不定詞とそれがつながる文との結びつきが強い (つまり、不定詞が必須項目となりやすい) ものほど、副詞用法とは呼びにくい関係になります。

そのような不定詞は、副詞と呼ぶには、文の骨格の一部として半ば認めてもよいようなものです。最初のうちは、ちょっと難しく感じられるかも知れませんね。

●関連: EG38EG39EG40

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英語学習法(38)

2004年12月27日 | 不定詞
不定詞の基本です。あの‘to’の後に動詞の原形がくっつく形ですね。不定詞は‘to’がない原形だけのものもあるんですが、今回は‘to’付きの場合ということで。しかも、文法的に変種もいっぱいありますので、特定の用法、「名詞(的)用法」と呼ばれるものに絞ります。以下、見ましょう。

(1)I want to eat steak. (ステーキ食べたい。)

(1)で、‘want’は他動詞(目的語を取る動詞)の扱いを受けています。ですので、目的語が必要なんですけど、‘to eat ~’にあたかも名詞のようなステイタスを与えて、目的語の役割をはたしてもらうというのがキモなんですね。

日本語の場合、「食べ(る)」と「~(し)たい」を合体させると、「食べたい」になるという発想ですが、英語の場合は、‘to eat’「食べること」と‘want’「欲する」を合体させて‘want to eat’にするわけです。ですので、ちょっと、ギコチない解釈ですが、「食べることを欲する → 食べたい」が初心者には理解しやすいかも知れないですね。類例を見ましょう。

(2)I tried to drink wine. (ワインを飲むことを試みた。→ ワインを飲もうとした。)
(3)I remember to go there. (そこへ行くことを覚えておく。→ 忘れずにそこへ行く。)
(4)I forgot to do my homework. (宿題をすることを忘れた → 宿題やり忘れた。)
(5)To see is to believe. (見ることは信じることだ。 → 見りゃ信じるようになるさ。)

というように、名詞用法の基本は、日本語の「~こと」に対応させて考えるとわかりやすいと思います。しかし、あくまでも英語の側ではそのような都合は考慮していませんので、これは非常にありがたい、単なる偶然である、ということを肝に銘じて下さい。

(6)I learned to like the cat. (そのネコを好きになった。)
(7)I pretended to be sick. (病気のふりをした。)

(6)の‘learn to’「~(する)ようになる」や、(7)の‘pretend to’「~(する)ふりをする」のように、「~こと」に対応させにくい表現もあります。しかし、やはり基本はこれらの不定詞が「目的語」と見なされ、結果として名詞的に振る舞っているということに違いはありません。ですので、最終的には、(2)~(7)のこういった動詞に不定詞が付く場合はこんな感じで理解するのだなと軽く考えながら練習するのがベストです。

それと、主語ではなく、目的語になる場合の不定詞は慣れることが何よりも重要で、あまり勝手に予測しながら文をつくることはおすすめできません。

(8)a. I finished to read the book.(×) (その本を読み終えた。)
   b. I finished reading the book.(〇) (訳同上)

(9)a. I gave up to marry Mary.(×) (メアリーと結婚なんて諦めちゃったよ。)
   b. I gave up marrying Mary.(〇) (訳同上)

‘-ing’の形は、ときに不定詞と衝突することがあるので要注意です。これは、どっちが正しいかは該当する述語に対して、逐一、覚えていかなければならないので面倒くさいんですけど、諦めましょう(泣)。

‘-ing’と不定詞の概念上の違いに関しては、何とか楽に習得したいと思うものです。そこで、しのぎを削るように躍起になってゴチャゴチャと説明がなされている解説書が氾濫しているんですけど、残念ながら、どれも百発百中の予測力を誇るというわけではないので、大雑把に参考しておく程度にして金科玉条にはしない方がよいと思います。

不定詞の難しさは、形が一定している割には意味のバラエティが非常に豊かなので意味をどう取ってよいのかわからなくなることが多いというものです。その中でも名詞用法は比較的手を付けやすい部類ですが、上記のような暗記ものが多いのも事実なので注意して下さい。

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英語学習法(37)

2004年12月26日 | 不定詞
「不定詞」と呼ばれるものを扱います。入門編です。以下、見ましょう。

(1)swim (泳ぐ)
(2)to swim (訳同上)

(1)は‘swim’「泳ぐ」という、ただの動詞です。一方、(2)は、「前置詞‘to’+動詞‘swim’」で、‘to swim’になっています。(1)は、原形動詞であり、そのカタチは、別に、「三人称・単数・現在」の‘swims’と変化したりしていませんが、このように、原形のままの姿である動詞を、別名、「原形不定詞」と呼んだりします。

一方、(2)ですが、前置詞‘to’に、原形動詞 (原形不定詞) をくっつけて、「‘to’不定詞」と呼んだりします。‘to’不定詞は、前置詞‘to’の後に、名詞ではなく、例外的に、動詞がくっつくのが特徴で、(2)のようなカタチのままでも、別に非文法的ということではありません。ですので、‘to’の後に原形動詞があったら、それは、‘to’不定詞という、りっぱに文法的なカタチだと思えばよいのです。

(3)to swims (×)
(4)to swam (×)
(5)to swum (×) 

(3)~(5)は、全てアウトです。(3)では、‘to’の後に、「三人称・単数・現在」の‘swims’をくっつけたのですが、これがアウト。(4)では、‘to’の後に、‘swim’の過去形‘swam’をくっつけたのですが、これもアウト。そして、(5)では、‘to’の後に、‘swim’の過去分詞‘swum’をくっつけたのですが、これも、やはり、アウトです。

以上から、トータルでわかるのは、不定詞と呼ばれるものは、常に、動詞の原形であるか、または、それに、‘to’がくっついたものであるかの、どちらかでしかなく、それ以外は、あり得ないということです。ですので、結構、不定詞のカタチの可否を判断するのは簡単なんですが、そのカタチが、あまりにも単純すぎて、問題が起こってしまうこともあります。

(6)to swim yesterday (×) (昨日、泳いだ)

(6)はアウトです。問題は、不定詞である‘to swim’に、‘yesterday’を付け足したことで発生したのであろうということは、一目瞭然なんですが、それが何で悪いんだ、という疑問が起こるわけですね。というのも、(4)から明らかなように、もともと、不定詞には過去形が使えないからです。

不定詞は、過去形を使ってはいけない、とされているわけだから、不定詞の場合、(6)のように表現するのは仕方ないことなのではないか、と思えるわけです。しかし、事実上、アウトになるわけですから、不定詞で過去のことを表現するのを諦めるか、または、別の抜け道を模索するかしかありません。

(7)to have swum yesterday (〇) (訳同(6))

そこで、(7)ですが、これはOKです。(7)は、実質的に、アウトである(6)の代替として使われるカタチで、特徴としては、「‘to’+‘have’+過去分詞」で、‘to’の後が、「完了形」と全く同じ姿をしている、ということです。このやり方だと、‘have’が常に動詞の原形であるため、(4)や(6)のような矛盾を引き起こさない、というメリットがあります。

(8)John has swum yesterday. (×) (ジョンは、昨日泳いだ。)

しかし、その一方で、(8)はアウトです。完了形の決まりごととして、よく説明されることですが、完了形は、過去の一点を表す‘yesterday’のような表現とは共起できない、というルールがあります。つまり、(7)は、カタチとしては完了形の姿をしてはいますが、‘yesterday’と共起できるという点において、実質的に、(8)のような完了形とは似て非なるもの、ということになります。

(9)I have studied English since last year. (〇) (私は、昨年から英語を勉強しています。)
(10)to have studied English since last year (〇) (昨年から英語を勉強している)

(9)では、完了形と共起するのが特徴である‘since ~’「~ 以来」を使って、‘since last year’「昨年以来」となっていますが、一方、(10)においても、同様に、「‘to’+‘have’+過去分詞」である、‘to have studied ~’「~ を勉強している」と共に用いても、何の問題もなくOKになります。

つまり、(10)の場合は、「‘to’+‘have’+過去分詞」のカタチで、(7)のように過去のことを表現しているのではなく、(9)と同様に、そのまま完了形として使われていることになります。ですので、結果的には、「‘to’+‘have’+過去分詞」は、「過去形の代替」と「完了形」の2つの表現が可能なカタチである、ということになります。

(11)John may succeed in life. (ジョンは、出世するかも知れない。)
(12)John might succeed in life. (訳同上)

(11)では、助動詞の‘may’「~ かも知れない」が使われ、一方、(12)では、‘may’の過去形‘might’が使われていますが、しかし、日本語訳は、(11)も(12)も同じで、特に、(12)の過去形‘might’は、単純に、「~ だったかも知れない」というような、過去を表現するような日本語訳にはなりません。

この場合、一応、表面上は、(11)も(12)も同じ日本語訳になるとは言っても、実質的には、(11)の場合、ジョンの出世は、事によると、あり得るかも知れない、と言っているのに対し、一方、(12)では、心にもないことだが、天と地がひっくり返るような事態でも起これば、そりゃジョンの出世だってあり得ますわな、と無内容な例えを表現する場合ですから、(11)と(12)は、結構、大きな意味の違いがあります。

しかし、いずれにせよ、(12)の過去形‘might’は、「~ だったかも知れない」というような、過去を表現するような日本語訳にならないわけで、だとすれば、どうやって、「~ だったかも知れない」を表現すればよいのか、という問題になります。

(13)John may have succeeded in life. (ジョンは、出世したかも知れない。)
(14)John might have succeeded in life. (訳同上)

(13)では、やはり、助動詞の‘may’が使われ、一方、(14)では、‘may’の過去形‘might’が使われていますが、しかし、共に、「‘have’+過去分詞」のカタチが後に続いているという共通点があります。そして、どちらも、「~ したかも知れない」という日本語訳にすることができる点も共通しています。

つまり、過去のことを言い表せる部分は、実質的には、「‘have’+過去分詞」のカタチの方が主導権を握っていると思われます。つまり、(11)対(12)と(13)対(14)のコントラストからは、‘may’と‘might’の意味の差は、「現在・過去」の違いではなく、現実的にクリアする可能性のある「条件」であるか、それとも、単なる、途方もない「仮定」であるかの違いでしかない、ということになります。

ここに、‘might’が過去形と呼ばれているが故のトリックが潜んでいます。今回扱わなかった他のケースも総合的に考慮すれば、‘might’を過去形と呼んでも、特に問題はないのですが、少なくとも、(12)と(14)の場合は、過去形という呼び方が、どうしても、正しい判断を曇らせる原因になってしまいます。

ここで、話を不定詞に戻すと、助動詞には、様々なタイプのものがありますが、最も標準的には、‘will’、‘may’、‘must’などのように、後には、動詞の原形しかこれないので、過去形が過去としての意味を成さないような(12)や(14)の場合、「過去形の代替」として、「‘have’+過去分詞」のカタチが登場する、というわけなんですね。 (助動詞のタイプ分けに関しては、EG12、EG13、EG14、参照。)

もちろん、(11)~(14)のように、‘to’が付いていなくても、結局、「‘have’+過去分詞」の‘have’は、原形不定詞という扱いを受けるだけなので、最終的には、不定詞の場合、‘to’不定詞であろうが、原形不定詞であろうが、単純な過去形は存在せず、過去のことを表現する場合は、「(‘to’+)‘have’+過去分詞」のカタチで過去形とする、という定義で決まりです。

今回のポイントは、不定詞の最も基本的な出発点として、不定詞のカタチについてです。英語の動詞は、例外なく、必ず過去形をもっている、という前提があります。そして、不定詞には、「原形不定詞」と「‘to’不定詞」という、2タイプのカタチが存在するものの、いずれも動詞を活用させない、というルールがあります。

動詞を全く活用させないことから、「三人称・単数・現在」や、過去形や、過去分詞といったカタチが定まらず、不定のままなので、「不定詞」という名前で呼ばれるのですが、だからと言って、過去の意味を表現する権利を奪うことまではできないところに、この不定詞の矛盾があったわけです。

ですので、「(‘to’+)‘have’+過去分詞」のカタチを用いることで、結果的に、動詞を活用させることなく、過去の意味を表現できるというアイデアが生まれたわけですが、ハッキリ言ってしまえば、これは、英語においては、種々雑多な意味の表現をまかなう上での、文法上の可能なカタチが貧困であることに起因するものです。

そして、これが同時に、文法上の可能カタチが、比較的、豊かな日本語との相性の悪さの原因でもあり、日本人からすれば、習得の厄介な盲点になっているわけですね。

●関連: EG12EG13EG14

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