名詞編です。EG04の続きです。今回、ペアの概念です。以下、見ましょう。
(1)I have a jeans. (×) (私は、ジーンズをもっています。)
(2)I have jeans. (〇) (訳同上)
(1)はアウトで、一方、(2)がOKである、ということなんですが、英語では、「ジーンズ」というものを、どう考えているのか、ということになります。まず、(1)がアウトになるのは、‘jeans’の語尾の‘-s’が、実は、複数形を表す語尾の‘-s’である、ということに原因があるんです。
ですので、実は、日本語の「ジーンズ」は、「ジーン」+「ズ」という成り立ちになっているわけですね。そこで、(2)のように、(1)から、‘a’を外してしまえば、OKになる、ということです。でも、これじゃ、ジーンズを、1着だけで表現するには、‘a jean’にしなきゃならないのか、ということになりますが、そうではありません。
(3)I have a pair of jeans. (〇) (私は、ジーンズを、1着もっています。)
(4)I have two pairs of jeans. (〇) (私は、ジーンズを、2着もっています。)
(3)や(4)のように、英語では、‘a pair of ~’「1対の ~」や、‘two pairs of ~’「2対の ~」、という表現がついて初めて、ジーンズの数が正しく表現できる、ということなんです。日本語としては、ちょっと変な表現なんですが、英語の考え方としては、‘jeans’は、脚が2本あるから、その2本をもって複数と見なす、という発想になるようです。
ですので、英語の場合、もともとが複数形である‘jeans’「ジーンズ」を、ハッキリと、1着、2着と表現するには、「1対」だの、「2対」だのを、逐一、付けたさなければならない、ということになり、ちょっと面倒です。この点に関しては、もう諦めるしかないのですが、しかし、表現方法には、一定の傾向があります。
(5)a pair of earrings (イヤリング (左右両方))
(6)a pair of shoes (クツ (1足))
(7)a pair of socks (靴下 (1足))
(8)a pair of chopsticks (箸 (1ぜん))
(5)~(8)の場合、どれも、(1)の‘a pair of jeans’「ジーンズ1着」と、1つの共通点があります。それは、左右対称で、1つの機能をもつ、ということです。例えば、(5)の複数形‘earrings’場合、単数形‘earring’が、それぞれ、片方を指していて、左右対称となるこれら2つが、1組になって、1つの機能を果たすものになる、ということです。
(6)~(8)の場合も同様で、「クツ」、「靴下」、「箸」は、左右対称となるものが、1組になって、1つの機能を果たすものになります。こういったことから、英語の場合、「左右対称で1つの機能」、という側面があるものは、それを重視した表現方法を好む傾向があります。
そこで、問題は、やはり、その「左右対称で1つの機能」、と見なす境界線はどこにあるのか、ということになりますが、これも、理屈で、どうこう定義できるようなものではなく、イメージ重視という、英語独特の世界観に依存することになります。
(9) a. a shirt (〇) (シャツ (1着))
b. a pair of shirts (×) (訳同上)
(10) a. a jacket (〇) (上着 (1着))
b. a pair of jackets (×) (訳同上)
(9a)や(10a)のような、単純な表現がOKで、一方、(9b)や(10b)のような、‘a pair of ~’がアウトですが、しかし、考えようによっては、「シャツ」や「上着」も、左右対称で1つの機能をもつ、と言えます。腕を通す袖が左右対称になって、常についているからですね。
でも、イメージとしては、むしろ、身に付けた際の「胴体」の方に重点を置いている表現であるため、左右1組の袖は、機能の一部ではあっても、「シャツ」や「上着」の象徴的な機能ではない、と見なされるようです。ですので、どの程度、左右対称となっているパーツが、その象徴的な機能とされるか、その重要度がポイントになるようです。
(11)a pair of scissors (ハサミ (1丁))
(12)a pair of glassess (メガネ (1つ))
そこで、(11)と(12)は、(5)~(8)と比べると、ちょっと、使いづらい感じがします。というのも、(5)~(8)の、「イヤリング」、「クツ」、「靴下」、「箸」は、もともと、それぞれのお互いが分離しているペアだからです。一方、(11)と(12)の「ハサミ」や「メガネ」は、日本語では、1つの固体を指す表現なので、もともと、分離不可能なものとして見ています。
しかし、英語の感覚では、(11)の‘scissors’「ハサミ」は、左右対称となる2枚の刃が組み合わさって、1つのハサミとしての機能を成す、という考え方で、単数形の‘scissor’だと、片方の刃しか指せません。一方、(12)の‘glasses’「メガネ」も、左右対称となる単数形‘glass’が、左右対称1組になって、「メガネ」と呼ばれる、1つの機能をもつものになる、ということです。
ですので、ある程度、ペアの感覚がわかりやすい、分離可能なものの場合とは違って、分離不可能な「左右対称で1つの機能」を表す、(11)の「ハサミ」や、(12)の「メガネ」の例は、「ジーンズ」の場合と同じく、日本語と英語の感覚のズレを、端的に示している例と言えます。
今回のポイントは、名詞という品詞に関して、日本語と英語で、表現方法が異なる「ペア」の概念です。とりわけ、英語には、見た目の感じから、ペアのイメージが想起しやすいものに関しては、その左右対称性を、全面に押し出した表現を用いる傾向が強い、ということです。
そして、そういった傾向が、左右で分離不可能なものにまで及んでいる場合は、日本語の感覚からすると、意表を突くものになりやすい、ということですから、攻略のコツは、左右対称で1つの機能を果たすのが特徴だな、と思われそうなものに出くわしたら、それが、複数形を標準とした名詞であるかどうか、意識してみる、ということですね。
●関連: EG04
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(1)I have a jeans. (×) (私は、ジーンズをもっています。)
(2)I have jeans. (〇) (訳同上)
(1)はアウトで、一方、(2)がOKである、ということなんですが、英語では、「ジーンズ」というものを、どう考えているのか、ということになります。まず、(1)がアウトになるのは、‘jeans’の語尾の‘-s’が、実は、複数形を表す語尾の‘-s’である、ということに原因があるんです。
ですので、実は、日本語の「ジーンズ」は、「ジーン」+「ズ」という成り立ちになっているわけですね。そこで、(2)のように、(1)から、‘a’を外してしまえば、OKになる、ということです。でも、これじゃ、ジーンズを、1着だけで表現するには、‘a jean’にしなきゃならないのか、ということになりますが、そうではありません。
(3)I have a pair of jeans. (〇) (私は、ジーンズを、1着もっています。)
(4)I have two pairs of jeans. (〇) (私は、ジーンズを、2着もっています。)
(3)や(4)のように、英語では、‘a pair of ~’「1対の ~」や、‘two pairs of ~’「2対の ~」、という表現がついて初めて、ジーンズの数が正しく表現できる、ということなんです。日本語としては、ちょっと変な表現なんですが、英語の考え方としては、‘jeans’は、脚が2本あるから、その2本をもって複数と見なす、という発想になるようです。
ですので、英語の場合、もともとが複数形である‘jeans’「ジーンズ」を、ハッキリと、1着、2着と表現するには、「1対」だの、「2対」だのを、逐一、付けたさなければならない、ということになり、ちょっと面倒です。この点に関しては、もう諦めるしかないのですが、しかし、表現方法には、一定の傾向があります。
(5)a pair of earrings (イヤリング (左右両方))
(6)a pair of shoes (クツ (1足))
(7)a pair of socks (靴下 (1足))
(8)a pair of chopsticks (箸 (1ぜん))
(5)~(8)の場合、どれも、(1)の‘a pair of jeans’「ジーンズ1着」と、1つの共通点があります。それは、左右対称で、1つの機能をもつ、ということです。例えば、(5)の複数形‘earrings’場合、単数形‘earring’が、それぞれ、片方を指していて、左右対称となるこれら2つが、1組になって、1つの機能を果たすものになる、ということです。
(6)~(8)の場合も同様で、「クツ」、「靴下」、「箸」は、左右対称となるものが、1組になって、1つの機能を果たすものになります。こういったことから、英語の場合、「左右対称で1つの機能」、という側面があるものは、それを重視した表現方法を好む傾向があります。
そこで、問題は、やはり、その「左右対称で1つの機能」、と見なす境界線はどこにあるのか、ということになりますが、これも、理屈で、どうこう定義できるようなものではなく、イメージ重視という、英語独特の世界観に依存することになります。
(9) a. a shirt (〇) (シャツ (1着))
b. a pair of shirts (×) (訳同上)
(10) a. a jacket (〇) (上着 (1着))
b. a pair of jackets (×) (訳同上)
(9a)や(10a)のような、単純な表現がOKで、一方、(9b)や(10b)のような、‘a pair of ~’がアウトですが、しかし、考えようによっては、「シャツ」や「上着」も、左右対称で1つの機能をもつ、と言えます。腕を通す袖が左右対称になって、常についているからですね。
でも、イメージとしては、むしろ、身に付けた際の「胴体」の方に重点を置いている表現であるため、左右1組の袖は、機能の一部ではあっても、「シャツ」や「上着」の象徴的な機能ではない、と見なされるようです。ですので、どの程度、左右対称となっているパーツが、その象徴的な機能とされるか、その重要度がポイントになるようです。
(11)a pair of scissors (ハサミ (1丁))
(12)a pair of glassess (メガネ (1つ))
そこで、(11)と(12)は、(5)~(8)と比べると、ちょっと、使いづらい感じがします。というのも、(5)~(8)の、「イヤリング」、「クツ」、「靴下」、「箸」は、もともと、それぞれのお互いが分離しているペアだからです。一方、(11)と(12)の「ハサミ」や「メガネ」は、日本語では、1つの固体を指す表現なので、もともと、分離不可能なものとして見ています。
しかし、英語の感覚では、(11)の‘scissors’「ハサミ」は、左右対称となる2枚の刃が組み合わさって、1つのハサミとしての機能を成す、という考え方で、単数形の‘scissor’だと、片方の刃しか指せません。一方、(12)の‘glasses’「メガネ」も、左右対称となる単数形‘glass’が、左右対称1組になって、「メガネ」と呼ばれる、1つの機能をもつものになる、ということです。
ですので、ある程度、ペアの感覚がわかりやすい、分離可能なものの場合とは違って、分離不可能な「左右対称で1つの機能」を表す、(11)の「ハサミ」や、(12)の「メガネ」の例は、「ジーンズ」の場合と同じく、日本語と英語の感覚のズレを、端的に示している例と言えます。
今回のポイントは、名詞という品詞に関して、日本語と英語で、表現方法が異なる「ペア」の概念です。とりわけ、英語には、見た目の感じから、ペアのイメージが想起しやすいものに関しては、その左右対称性を、全面に押し出した表現を用いる傾向が強い、ということです。
そして、そういった傾向が、左右で分離不可能なものにまで及んでいる場合は、日本語の感覚からすると、意表を突くものになりやすい、ということですから、攻略のコツは、左右対称で1つの機能を果たすのが特徴だな、と思われそうなものに出くわしたら、それが、複数形を標準とした名詞であるかどうか、意識してみる、ということですね。
●関連: EG04
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