英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(39)

2004年12月28日 | 副詞
副詞の基本です。まず、日本語との違いから出発します。以下、見ましょう。

(1)<速く>走る

日本語の場合、形容詞の「速い」が活用して、「速く」になれば、(1)にあるように、動詞にかかることができるようになります。これを、国文法では、「連用形」になる、とか言いますが、基本として、英語には、そもそも、そのような発想がありません。そういった事情で、連用形の「速く」に相当するものを、英文法の品詞分類では、「副詞」と呼んでいます。ですので、最初から、日本語の連用形のような活用自体がなく、副詞は、もとから、副詞として存在しています。

それと、英語における副詞の役割は、もちろん、(1)の日本語のように、動詞にかかる、というような側面もあるのですが、加えて重要となるのが、基本となる文型、つまり、英語の「骨格」となるカタチに依存するということです。英語の副詞は、あれやこれや、深く考察するとややこしい機能をもっていますが、識別の仕方として、文のカタチから見た場合は、比較的、簡単に見分けることができます。

(2)Tom runs. (トムは走る。)
(3)Tom runs <fast>. (トムは<速く>走る。)

(3)の< >の部分が副詞です。(2)は、主語‘Tom’「トム」と、動詞‘runs’「走る」から成る文ですが、これに、何らかの付加情報を加えたいときに、(3)の<fast>のように、副詞が活躍します。副詞は、あくまでも、文の骨格となるものに対して、付加的な情報を提供する役割を担っているだけなので、何かに依存する (かかる) ことが前提となる表現です。ですので、(2)のような、骨格となる文が前提となって、初めて、副詞が存在する価値を認められることになります。それと、あともう1つ、決まりごとがあります。

(4)Tom is a runner. (トムが走者である。)
(5)Tom is a fast runner. (トムが速い走者である。)

(4)の‘runner’「走者」に対して、付加的な情報、‘fast’「速い」を加えると、(5)になりますが、その機能がちょっと異なります。(3)では、<fast>「速く」が、‘runs’「走る」に、依存して (かかって) いるのに対して、(5)では、‘fast’が、‘runner’に依存して (かかって) います。‘runner’は名詞ですが、英文法のルールでは名詞にかかるものを副詞とは見なしません。(5)の‘fast’は形容詞としての扱いを受けます。そこで(6)が成立します。

(6)副詞は名詞や、それに類するものにかかることはない。
  名詞(類)にかかるのは形容詞である。

副詞は、もとからある文の情報を、さらに濃くするためにあるので、よりかかる対象が必要である、ということに加えて、(6)にあるような、副詞と形容詞の機能上の違いを認識していれば、もう基本は、OKです。

(7)John was kicked. (ジョンは蹴っ飛ばされた。)
(8)John was <strongly> kicked. (ジョンは<強く>蹴っ飛ばされた。)

受身文 (EG35、参照) は、もとになる能動文からの変形ですが、(7)のように、「主語 (John)+‘be’動詞 (was)+過去分詞 (kicked)」が、構成材料となってつくられるのが基本ですので、そういった材料は、英文の骨格なわけです。ですので、(8)を見たときに、<strongly>は、受身文の骨格とはならず、副詞だなと、すぐにわかりますね。(8)では、<strongly> は、意味的に‘kicked’に依存して(かかって)います。

(9)Tom runs <<very> fast>. (トムは<<とても>速く>走る。)

(9)は、(3)に、更なる情報を付加した文です。単なる「速く」よりも、「とても速く」の方が、意味内容が濃いですもんね。(9)の場合、<very>が<fast>にかかっています。<very>は文の骨格に使われる材料ではありません。そして通常は名詞にかかることもありません。つまり、副詞であり、<<very> fast>では、副詞‘very’「とても」が、副詞‘fast’「速く」にかかっているわけです。ルール(6)は、副詞が副詞に依存する関係を妨げるものではありませんので、(9)がOKなんですね。

(10)Mary got the ring. (メアリーはその指輪を手に入れた。)
(11)<Fortunately>、Mary got the ring. 
  (<運良く>、メアリーはその指輪を手に入れた。)

(10)では、「主語 (Mary)+動詞 (got)+目的語 (the ring)」で、文の骨格となりますので、(11)の<Fortunately>「運良く」が、付加情報となり、副詞です。この場合、ポイントは、<Fortunately>の及ぶ勢力範囲です。(3)、(8)、(9)では、副詞が、意味的に文中の一部に依存するケースでしたが、(11)では、<fortunately>の意味が、文全体に依存しています。つまり、‘Mary got the ring.’全体を依存の対象としているのです。これは、意味的な面から、大体見当がつくでしょうから、ここでは、副詞の勢力範囲は、意味に応じて広がることがあると理解しておけばOKです。

と、ここまで言って、以上のような例からだと副詞は一見、簡単そうに見えるんですが、それは日本語的な感覚で意味の面からのみ処理していれば、大体わかってしまうことがあるからです。こういったわけで、それで理解は十分と勘違いしてしまうケースがよく見受けられます。

しかし、英語の場合、意味だけでなく形式 (カタチ) 的な面からも、判断する練習が大事です。英語の、副詞と文の骨格の識別は、日本語以上に、その文法性に密接に関わってくるので、練習を怠ると、結果として、かなり中核的な部分で、英語脳の形成が破綻してしまいます。

今回のポイントは文中の「依存関係」、すなわち、骨格と、その骨格に依存する副詞の、相対関係をカタチの面から見抜くことにあります。英語では、この関係を見抜く練習をした方が、意味的な面から勘にたよって判断するよりも格段に上達が早いことは上級者ほどよくわかっていることなのです。ここで手抜きは絶対にしないようにして下さい。他のポイントは、またの機会にでも。

■注1 :英語の副詞にも活用がないわけではありません。ただし、‘fast、faster、fastest’のような、比較級・最上級での活用になりますので、国文法における、「連用形」のような活用とは、無関係なものになります。

■注2 :学校で習う場合は、副詞は、基本5文型(文の骨格となるもの)、「S+V」、「S+V+C」、「S+V+O」、「S+V+O+O」、「S+V+O+C」のいずれにも属さないもの、というような教わり方をします。これら、骨格となる文型、(基本5文型)自体が短くても、付加されている副詞要素の、多い・少ないが、文の長短を決定している場合がありますので、この点、注意が必要です。


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