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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(102)

2005年10月31日 | 変形
英語によく見られる、移動の性質についてです。以下、見ましょう。

(1)It seems [ that Mary hates John ].
  ([ メアリーは、ジョンを嫌っている ] みたいだね。)

(2)Mary seems _ to hate John. (訳同上)

(1)の文は、いわゆる、‘seem’の構文ですが、‘that’節内の主語を、‘seem’の主語位置に移動させることができますね。この場合、(1)の‘Mary’が、‘that’節内の主語ですから、それを‘seem’の主語位置に移動させると、(2)のようになります。 (‘seem’の構文については、EG62、参照。)

(3)John seems [ (for) Mary to hate _ ]. (×) (訳同(1))

ところで、(3)にあるように、(1)の目的語‘John’は、‘seem’の主語位置には、直接的には移動が不可能です。しかし、‘John’の移動が、全く不可能かというと、そうでもなく、「‘that’節内の主語」が移動の対象となる、という条件さえ守られていれば、移動は可能となります。以下を見ましょう。

(4)It seems [ that John is hated _ by Mary ]. (〇)
  ([ ジョンは、メアリーに嫌われている ] みたいだね。)

まず、(4)では、(1)の‘that’節内の能動文を、受身文にしてみました。受身文というのは、もちろん、能動文の目的語を、主語位置に移動させる変形です。(4)では、‘that’節内で‘John’が、目的語の位置から、主語位置に移動しています。 (受身文については、EG35、参照。)

(5)John seems _ to be hated _ by Mary. (〇) (訳同上)

そこで、(1)が、(4)の状態になった時点で、‘John’が、that’節内の主語位置にあることが確定していますので、(5)のように、‘John’を、‘seem’の主語位置まで移動しても、OKになります。つまり、この場合、受身文にする、という移動変形が、たまたま、‘seem’の構文における移動を可能にする状態をつくりあげた、と言ってもよいでしょう。

(6)It seems [ that it is easy to deceive John ]. ([ ジョンを騙すのは簡単 ] そうだな。)

今度は、(6)の文です。‘seem’の構文の‘that’節内が、いわゆる、‘easy’構文になっています。この‘easy’構文を、‘seem’の構文とからめて使った場合は、ちょっと、ややこしいことが起こります。 (‘easy’構文については、EG23、参照。)

(7)It seems _ to be easy to deceive John . (〇) (訳同(6))

(7)はOKです。(6)と比較して、パッと見た感じ、‘it seems’の部分には、何ら変化がないように見えますが、一方、(6)では‘that’節だった部分が、(7)では、‘to’不定詞に変化しています。そこで、‘seem’の構文は、‘that’節内の主語が、‘seem’の主語位置に移動した場合、‘to’不定詞への変化がある、と考えるわけですから、(7)の‘it seems’の部分は、実は、‘it is easy ~’の‘it’が、移動によって、‘seem’の主語位置に移ったと考えるのが、妥当であることがわかります。 (移動前と後のニュアンスの違いについては、EG90、参照)

そこで、(6)のようなカタチは、‘seem’と、その主語である‘it’の組み合わせを、予め知っておくことが肝要ですが、一方、(7)のようなカタチでは、‘it’と‘seem’の組み合わせではなく、むしろ、‘it’と‘easy’の組み合わせがもとにあるのを、予め知っておくべきで、‘it seems to be ~’というカタチを、ガッチリ固めて、暗記構文のようにして覚えていても、正しい英語を使えるようになる保証には一切ならず、何ら、本質的な理解に到達できないことは、明らかです。

(8)It seems [ that John is easy to deceive _ ]. (訳同(6))
(9)John seems _ to be easy to deceive _. (〇) (訳同(6))

そこで、今度は、(8)ですが、(6)との違いは、もちろん、‘deceive’の目的語である‘John’が、‘is easy’の主語位置まで移動している、ということです。そしてさらに、(8)があると、今度は、(9)のように、‘John’を‘seem’の主語位置まで移動させることが可能となります。

(10)John seems [ that it is easy to deceive _ ]. (×) (訳同(6))

念のため、(10)のように、‘that’節内の目的語‘John’を、直接的に、‘seem’の主語位置に移動させてみましたが、やはりアウトになりました。そこで、今回の話の流れから、確実に言えそうなことは、ある構文における移動が、他の異なる構文においての移動を可能にする環境をつくりあげる、ということです。

これを言いかえると、ある移動が他の移動をうながすという、移動の「連鎖」とでも言うべき現象が英語にはあり、それは、ある一定の文法の法則にもとづいて保証されている、ということです。こういったことは、ある特定の構文における変形の特徴を知っておきさえすれば、あとは、ルールにしたがって各構文をつないでいくだけですから、でき上がった文が、正しい「連鎖」であるかどうかは、自分で判断することができます。

ですので、問題は、その各構文の変形の特徴を、予め知っておく、ということが、労力として支払うべき代償ではあるものの、組み合わせのやり方、つまり、比較的長い文をつくること自体は、それほど難しいことではない、ということなんです。

(11)It seems [ that everyone says [ that Mary hates John ] ]. (〇)
  ([ 皆は、[ メアリーはジョンを嫌っていると ] 言っている ] みたいだね。)

(12)It seems [ that everyone says [ that John is hated _ by Mary] ]. (〇)
  ([ 皆は、[ ジョンはメアリーに嫌われていると ] 言っている ] みたいだね。)

(13)It seems [ that John is said (by everyone) _ to be hated _ by Mary ]. (〇)
  ([ ジョンはメアリーに嫌われていると (皆から) 言われている ] みたいだね。)

(14)John seems _ to be said (by everyone) _ to be hated _ by Mary. (〇)
  (訳同(13))

今度は、3回のステップで移動する例を見てみます。まず、(11)からスタートして、(12)では、最も小さな‘that’節内で、‘John’が、‘hate’の目的語から、主語位置に移動していますが、これは、単純な受身文ですね。次に、(12)から(13)ですが、やはり‘John’は、that節内の主語位置から、‘be said’の主語位置に移動が可能です。 (EG83、参照)

そして、もちろん、(13)から(14)では、‘seem’の構文における移動ですから、(13)で、‘seem’に続く‘that’節内の主語位置に‘John’があれば、‘John’は、‘seem’の主語位置に移動が可能なわけですね。このように、英語の移動には、順にステップを踏んで、最終的には、かなり遠くまで行くことができるという性質があります。

今回のポイントは、英語には、規則的な手順を踏まえて移動を繰り返すことで、1つの要素が、ある構文から他の構文へとまたがって、かなり遠くまで移動することができる、ということです。これを言いかえれば、どうしても正しい表現を身に付けるには、移動の出発地点から最終地点まで、どうやってたどり着いたのかをチェックできるだけの知識が必要、ということになります。

つまり、ある表現の上に、別の表現を、ただ単純に付けたすと考えるだけでは、豊かな表現力を身に付ける上では、片手落ちで、そのつながり方、つまり、「連鎖」も見ておかなければならないということです。

実は、英語では、大半の場合、こういったやり方で複雑な意味を表現する文がつくられているわけですから、「英語脳」的には、見たまんまそのとおり、文の丸暗記だけでやっつける方法では、かなりツライことがわかります。逆に今回のような法則性を見抜いてしまえば、複雑な意味をもった文を表現することは、案外やさしいことだな、とわかります。今回の話は、多様な表現力を身につける上では、かなり要に位置するものになりますが、まだ話すべきことはありますので、そのときまで。

■注 :(12)から(13)のような、‘say’の‘that’節内にある主語が、その外に移動する際に、‘that’節は、‘to’不定詞にならなければならないのですが、これは、‘seem’の構文と、共通した特徴であると言えます。この条件に関しては、EG83を参照して下さい。

●関連: EG23EG35EG62EG83EG90

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英語学習法(101)

2005年10月28日 | 代名詞
EG100の続きです。代名詞です。以下、見ましょう。

(1)Mary lost her glasses. (メアリーはメガネをなくした。)

(1)の文では、‘her glasses’に、‘her’「彼女の」が使われていますが、この‘her’は、誰のことを指しているのか、というと、普通は、‘Mary’「メアリー」だと思います。しかし、別に、メアリー以外の他の女性を指している場合もあります。例えば、メアリーがスーザンからメガネを借りた場合、その後で、(1)のような文が続けば、‘her’は、スーザンを指すと解釈するのが普通になりますね。

つまり、(1)の‘her’が誰を指すか、などといったことは、状況に応じて、どうとでも変わるものですから、代名詞が指すべき対象は、文法的に決定することは不可能である、ということになります。つまり、結局のところ、代名詞が何を指すかなんて、取り立てて、文法的に説明できることなんてないんだから、わざわざ、代名詞について語るなど、しなくてもいいんじゃないか、という話になるわけです。

これは、確かに、その通りなんですが、しかし、そこから、代名詞は文法による制限は全く受けない、とまで断定することはできない、と思われる現象があります。以下を見ましょう。

(2)John respects himself. (‘John’=‘himself’) (ジョンは自分を尊敬している。)
(3)John respects him. (‘John’≠‘him’) (ジョンは彼を尊敬している。)

(2)は、再帰代名詞‘himself’、一方、(3)は、代名詞‘him’を目的語にとっています。そして、直感的に、意味の違いとして、(2)では、‘John’=‘himself’の解釈がOKですが、しかし、一方、(3)では、‘John’=‘him’の解釈は、まず、ないのではないか、という判断になると思います。つまり、直感的に、(3)の‘him’は、‘John’以外の別の男性を指して言っているのだな、と思うわけですね。

そこで、(2)では、‘John’=‘himself’の解釈は、予め決定されているもので、他の男性を指していると解釈することは、(2)をいかなる文脈に置こうとも、不可能なわけですが、一方、(3)の場合、文脈によっては、‘John’=‘him’と解釈することは可能かどうか考えてみたいと思います。

(4)No one can work harder than John.
  (ジョンよりも、せっせと働ける者など誰もいない。)

(4)の後に、(3)が続くと考えてみます。そこで、誰よりも働き者であるジョンは、故に、自分で自分のことを尊敬している、ということを表現した文 (つまり、(3)における、‘John’=‘him’の解釈) として、正しいかというと、そういった解釈は不可能で、やはり、‘him’を、(2)のように、‘himself’に変えない限り、アウトの解釈になります。

しかし、(3)の‘John’と、(4)の‘John’が、ただ単に名前が同じであるだけの別人として解釈し、(4)の‘John’と、(3)の‘him’を、イコール (=) 関係で結びつければ、OKの解釈になります。つまり、ジョン (A) は一番の働き者だから、それを見たジョン (B) は、ジョン (A) のことを尊敬する、という解釈は可能、ということです。

ですので、(3)は、(4)のような、かなり、もっともらしい文脈を与えても、なお、‘John’=‘him’と解釈することは不可能であることがわかります。つまり、文脈に左右されることなく、文そのものから、‘John’≠‘him’(‘John’=‘him’ではない) が決定できるということになります。

そこで、ここから言えることとして、代名詞の場合、「指すべき対象」は、文法による制限は受けないけれど、しかし、一方、「指してはならない対象」は、文法による制限を受けるのではないか、と思われます。

(5)He respects John. (‘he’≠‘John’) (彼はジョンを尊敬している。)

(5)は、(3)の主語と目的語が入れかわっているだけですが、やはり、どのような文脈を想像してみても、‘he’=‘John’とは、解釈できません。つまり、もともと、「文法」的に、‘he’≠‘John’は決定されている、とみてもよさそうです。そこで、(2)、(3)、(5)から、ハッキリ言えることは、「主語+動詞+目的語」のカタチでは、目的語が再帰代名詞でない場合、「主語 = 目的語」の解釈は不可能になる、ということです。

(6) a. John and Tom respect themselves. (〇)
    (ジョンとトムは、自分たちを尊敬している。)

   b. Themselves respect John and Tom. (×)
    (自分自身、ジョンとトムを尊敬している。)


(7) a. John and Tom respect them. (〇) (ただし、‘John and Tom’≠‘them’) 
    (ジョンとトムは、彼らを尊敬している。)

   b. They respect John and Tom. (〇) (ただし、‘they’≠‘John and Tom’) 
    (彼らは、ジョンとトムを尊敬している。)

ここで、再帰代名詞、(6a-b)と、代名詞、(7a-b)を比較して、それらの性質をまとめてみます。まず、(6a-b) です。(6a)はOKですが、‘John and Tom’=‘themselves’の解釈でなければなりません。一方、(6b)は、‘themselves’=‘John and Tom’が成り立たない、と言うよりも、もともと、(6b)自体がアウトです。

これは、再帰代名詞は、それ自体、現れる位置に対して、文法上の制限がある上に、その相手となる表現に対しても、文法的な位置制限があるためです。この場合、‘themselves’が主語になっている (「主格」を与えられている) ことや、イコール (=) 関係になるべき相手、‘John and Tom’が、適切な場所に位置していない、といった複数の理由が原因となります。 (詳しくは、EG95、EG96、参照)

次に、(7a-b)です。まず、(7a)の文そのものは、文法的であり、OKとなります。しかし、‘John and Tom’=‘them’の解釈は不可能で、‘John and Tom’≠‘them’の解釈でなければなりません。そして、一方、(7b)も、それ自体は、OKです。しかし、やはり、‘they’=‘John and Tom’の解釈であってはならず、‘they’≠‘John and Tom’の解釈でなければなりません。

ですので、代名詞の場合、それ自体、文法的な位置制限もなければ、イコール (=) 関係になるべき相手を、同一文の中に求める条件もありませんので、その点、(6b)のように、文そのものがアウトになる、ということはありません。しかし、イコール (=) 関係になってはならない相手に関しては、文法上の条件がありますので、その解釈に関しては、制限が付いてしまう、という特徴があるのがわかります。

今回のポイントは、実は、代名詞も、「文法」による制限を受けるということです。EG100では、代名詞は、現れる位置や、「指すべき相手」に対して、文法による制限は受けない、と述べたので、その点、再帰代名詞とは違って、言うべきことなど何もない、という印象がありました。しかし、逆に、「指してはならない相手」、という違った観点から見ると、文法によって制限を受けている、というべき根拠がありました。

実は、こういった観点から代名詞を見ていくと、実に複雑で、かなりわかりにくい側面があるのですが、今後、少しずつ、その特徴を明らかにしていきたいと思います。

■注 :今回、「主語+動詞+目的語」のカタチでは、目的語が、再帰代名詞でない場合、「主語 = 目的語」の解釈は、不可能になる、と述べていますが、(1)の目的語、‘her glasses’の中で、所有格となっている代名詞‘her’の場合は、‘her’が、目的語そのものではなく、「目的語の一部」である点に注意して下さい。

●関連: EG95EG96EG100

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