英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(49)

2005年01月26日 | 変形
EG47では、英語の疑問詞は、文の先頭に位置する性質があることを見ました。今回は、その性質について、ちょっと発展的に見てみたいと思います。以下、見ましょう。

(1)<トムはメアリーを見たとき>、自分の母を思い出した。
(2)<トムは誰を見たとき>、自分の母を思い出したのかい?

日本語である、(1)から出発して、(2)では、「誰」という疑問詞を使って、その疑問文をつくってみました。(1)から、(2)の疑問文は、全く問題なくつくれます。日本語の場合、疑問詞を使って疑問文をつくるには、英語とは違って、移動する必要はなく、そのまま、もとの位置に留まっていてもよいわけですね。

(3)Tom remembered his mother <when he saw Mary>. (訳同(1))

今度は、英語(3)ですが、日本語(1)に対応しています。(1)の「メアリー」は、「~ を見た」の目的語になっていますね。ですので、(3)でも、‘Mary’が、‘saw’の目的語です。< >の表現は、例の、「副詞一族」の一味で、副詞節になっています。では、以上を踏まえて、日本語(2)に対応する英語をつくってみたいと思います。 (副詞節に関しては、EG44、参照。)

(4)Who did Tom remember his mother <when he saw _ >? (×) (訳同(2))

ん?どうやら、(4)はアウトになる、ということらしく、ちょっと意外な感じはあるんですが、英語には、「文を組み込む側」と、「文に組み込まれる側」という、違いはあるものの、意味に応じて、確かに、この二者、いずれかの文の先頭に疑問詞が移動する、というルールがありました。 (EG47、参照。)

まず、(2)の意味から考えると、それに対する答え方は、「はい」や、「いいえ」で答えるようなものではありません。「メアリーだよ」、というような、疑問詞に対して、直接答えるような感じの疑問文です。

ですので、(4)で、疑問詞‘who’が、文の最も先頭、つまり、‘Tom remembered ~’の先頭まで移動していても、「疑問詞に対して、直接答えることを要求するような疑問文の場合は、疑問詞が最も先頭に移動する (位置する)」、というルールに違反していることにはならないはずです。 (EG47の(13)、参照。)

では、(4)がアウトなのは、何が原因なんだ、ということになるわけですが、実は、英語には、疑問詞の移動とは、全く関係のないところで、(4)をアウトにしてしまうような、全く別個に独立したルールがあります。

(5)副詞節の内部からは、いかなる要素も、その外に移動してはならない。

と、まあ、こんな感じのルールが英語にはあるらしいんですね。つまり、疑問詞の移動そのものが、どうとかではない、ということです。(4)では、‘who’が、副詞節である、< >内から、その外に飛び出して、文の先頭に移動しています。つまり、(4)は、ルール(5)に、もろに違反しているので、アウトになってしまった、ということですね。

実は、このルールは、学校の英文法では、教わることがないものですので、普通に英語を学習している人が知らないのは当然なんです。では、ルール(5)が本当かどうか、他の例で検証してみましょう。

(6)Tom dated Cathy <before he dated Mary>.
   (<トムはメアリーとデートする前に>キャシーとデートした。)
  
(7)Tom dated Cathy <after he dated Mary>.
   (<トムはメアリーとデートした後>キャシーとデートした。)

(6)は、<before ~>「~ する前に」の副詞節をもつ文です。一方、(7)は、<after ~>「~ した後で」の副詞節をもつ文です。(6)と(7)の副詞節である、< >の内部から、‘Mary’を疑問詞‘who’に変えて、その外に移動させてみます。

(8)Who did Tom date Cathy <before he dated _ > ? (×)
   (<トムは誰とデートする前に>キャシーとデートしたんだろうか。)
  
(9)Who did Tom date Cathy <after he dated _ > ? (×)
   (<トムは誰とデートした後>キャシーとデートしたんだろうか。)

やはり、ルール(5)の予測する通り、(8)も(9)もアウトになってしまいました。やはり、ルール(5)は、英文法のルールとして、成立するみたいですね。

特に、日本語の感覚で考えていると、(2)のような日本語や、(8)や(9)の日本語訳のような文は、日常的に自然に発話しているんで、こういった日本語を、学校の英文法で習った範囲内で英語にすると、どうしても、(4)、(8)、(9)といった英語をやってしまうと思います。

今回のポイントは、英語には、語句の移動を妨げるような「障壁」、とでもいうべきエリアが存在することです。こういった、移動に対する障害要因は、実は、英語には数多く存在していて、ルール(5)のような規則は、ほんの一例にすぎません。

日本語の場合だと、文の中の特定の要素を移動する、というのは、比較的、オプションとしてのものが多いので、移動させてはいけない、となれば、動かさずに、ジッとしていればよい、ということになるだけですが、英語の場合、疑問詞のように、動かすこと自体が、ルールとして定められていることがあるので、とにかく、移動させないと、何も始まらないことがあるんですね。

しかし、その一方で、ルール(5)のような、移動を妨げる、「障壁」となるエリアが存在するわけですから、英語は、相反する要素を兼ね備えた、実にヘソ曲がりな言語である、と言えます。こういった、英語のヘソ曲がり性は、実用的な英語を学ぶ上では、絶対に知っておく必要がありますので、「英語脳」的には、重要な概念と見なします。もちろん、今後も、英語に内在している、この「障壁」の概念を扱っていきますので、確実にものにしていきましょう。

● 関連: EG44EG47

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