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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(54)

2005年02月11日 | 関係節
関係代名詞です。EG24、EG26の続きです。前置詞と関係代名詞の組み合わせについてです。以下、見ましょう。

(1)John talked to a person. (ジョンはある人物に話しかけた。)

(1)の文の成り立ちは、「主語 (John)+自動詞 (talked)+前置詞 (to)+目的語 (a person)」ですね。この文をベースにして、関係節をつくりたいと思います。関係代名詞による関係節をつくる際の必須条件、「空家の条件」は、もう大丈夫でしょうか。

(2) a. a person [ who John talked to _ ]. (〇)
   b. a person [ who John talked _ ]. (×)
   
(3) a. [ ジョンが _ に話しかけた ] 人物 (×)
   b. [ ジョンが _ 話しかけた ] 人物 (〇)

(2a)では、‘to ~’「~ に」の後には、ポッカリと穴が空いていますね。これは、(1)の目的語である、‘a person’が、関係代名詞‘who’に変化して、カギカッコ内の先頭、つまり、関係節の先頭に移動することでつくられた空家ですね。これで、関係節が完成して、カギカッコの外にある、もう1つの‘a person’にかかることができるわけです。しかし、一方で、うっかり、前置詞‘to ~’を消してしまった(2b)は、アウトになっています。

そこで、(2a-b)の英語に対応している、日本語の関係節(3a-b)は、どうかというと、前置詞‘to ~’に、直接対応している表現、「~ に」の有無に関しては、全く逆の文法性を示しています。カギカッコ (関係節) 内に、「~ に」が残っている、(3a)はアウトですが、カギカッコ (関係節) 内に、「~ に」が残っていない、(3b)はOKです。

もちろん、日本語を母語としている人たちからすれば、(3a)がアウトであることは、ゴチャゴチャと考えるまでもなく、当たり前にわかることなんですが、(2a-b)と(3a-b)のような、英語と日本語の比較、という観点からは、なかなか、興味深い一般化につながる観察となります。

(4)英語の前置詞(to、at、of、etc.)は、例え、単独であっても残存することが
   可能である。

(5)日本語の助詞(に、で、の、etc.)は、常に直前(左側)に名詞(類)をともなう
   義務があり、それを無視して、単独で用いると、例外なく、アウトになる。

というわけで、日本語話者にとって、(2b)のような間違いが、よく見られるのは、(4)と(5)が対照的であることからすれば、当然のことと言えます。(5)に基づいた文法を、生まれつき習得している話者からすれば、新たに、(4)に基づいた文法をマスターするのは、容易なことではない、と言えるでしょう。

他に、(4)の特性が、顕著に表れている英語の例としては、受身文や、疑問詞を使った疑問文、それと、‘easy’など特定の述語がともなう不定詞の構文、といったものがあります。 (‘easy’構文は、EG23、受身文は、EG35、疑問詞の移動は、EG47、参照。)

(6) a. John talked to Mary. (ジョンはメアリーに話しかけた。)
   b. Mary was talked to _ (by John). ((ジョンに)メアリーは話しかけられた。)

(7) a. Lucy is looking for something. (ルーシーは何か探してるね。)
   b. What is Lucy looking for _ ? (ルーシーは何を探してるんだろね。)

(8) a. It is easy (for us) to talk about cars. (クルマの話題なんて(オレらにゃ)簡単よ。)
   b. Cars are easy (for us) to talk about _ . (訳同上)

ところで、‘who’には、‘whom’という、目的格のカタチが存在します。この‘whom’は、それほど頻繁に、目にすることはなく、どちらかと言えば、話しコトバ向けの表現ではありません。しかし、文法のルール上、どうしても、この‘whom’を使わなければならないときがあります。それは、「前置詞の直後にある目的語となる場合」で、例えば、‘to whom’、‘with whom’、‘by whom’、等のときです。

そこで、(2a)の関係節を用いた表現では、前置詞が、カギカッコの末尾に位置していますが、(2a)の、もう1つのオプションとして、‘to whom’を用いた関係節もOKです。

(9)a person [ to whom John talked _ ]. (訳同(3b))

(9)を(2a)と比較してみて、気が付くのは、(2a)では、カギカッコ(関係節)内の末尾に位置していた‘to ~’が、(9)では、カギカッコ内の先頭に位置している、ということです。そのかわりに、‘who’が‘whom’に変わっています。これは、前置詞‘to ~’が、カギカッコの先頭に移動してきたことによって、結果的に、‘to ~’が、‘who’の直前に位置する、つまり、‘who’が前置詞の直後にある目的語になったためです。文法のルール上、前置詞‘to ~’が、直後に‘who’を目的語として取り、‘to who’になることは、不可能ですから、仕方なく、‘to whom’になったというわけです。

(9)のような表現は、比較的フォーマルな感じのする表現ですが、だからと言って、会話英語で使われることはない、ということはありません。コトバ使いの丁寧な話者になるほど、よく、(9)のような表現を使う傾向がありますので、こちら側でも、積極的に使うことをお薦めします。なかなか品の良い、好印象を与える表現なので、お得感が強いです。

ただ、初心者の方が、(9)のような表現を使うのは、ちょっと、難しいかも知れませんね。と言うのも、ただでさえ、(2b)のような、間違いをやってしまう傾向がありますし、それがクリアできたとしても、普通は、‘talk to ~’「~ に話しかける」のような表現は、最初のうちは、どうしても、セット表現として、そのまま覚えている傾向があります。

そこにきて、やっと覚えたセット表現なのに、今度は、‘talk’と‘to ~’を切り離して、それぞれを、関係節の右端と左端に引き離して、遠距離に置くようなカタチになりますからね。これは、かなりシンドイかも知れません。

ここは、ひとつ練習になりますが、しかし、こういった練習は、他の文法的な側面を考慮しても、使いこなす上で、良い影響を与えるので、表現力の向上に一役かいます。決して、損にならないことは、保証できます。

(10)John talked <frankly> to Mary. (ジョンは<率直に>メアリーに話しかけた。)

(11)To nobody did John talk. (ジョンは決して誰にも話しかけなかった。)

(12)John talked、shouted、and whisperd to Mary. 
   (ジョンはメアリーに、(普通に) 話しかけることもあったし、
   怒鳴ることもあったし、また、小声で話しかけることもあった。)

(10)~(12)の例は、全て、‘talk to ~’「~ に話しかける」において、‘talk’と‘to ~’が切り離された文です。(10)では、副詞<frankly>の割り込み、(11)では、否定語‘nobody’を含む、‘to nobody’の前倒し(倒置)、(12)では、‘talked’「話した」、‘shouted’「怒鳴った」、‘whisperd’「ささやいた」の全てに、本来、それぞれ付くはずの、‘to Mary’が、一括されて文の末尾に置かれています。

ここまで見てきて、英語の前置詞は、前のものにくっついてみたり、後のものにくっついてみたりと、とても浮遊感のある表現であることがわかったと思いますが、何としてでも、早いうちに、このパターンに慣れましょう。いくつか例をあげます。

(13)a. the chair [ which Tom is sitting on _ ] ([ トムが _ 座っている ] イス)
   b. the chair [ on which Tom is sitting _ ] (訳同上)

(14)a. the park [ which John walked to _ ] ([ ジョンが _ 歩いていった ] 公園)
   b. the park [ to which John walked _ ] (訳同上)

(15)a. the errand boy [ who we cannot do without _ ]
    ([ _ なしでは済ませられない ] パシリ君)
   b. the errand boy [ without whom we cannot do _ ] (訳同上)

ここで、ちょっと発展的なことですが、こういったパターンの関係節には、ちょっとした落とし穴的なルールがあるのを、覚えておいてください。例えば、関係代名詞が‘that’である場合です。

(16)a. the chair [ that Tom is sitting on _ ] (〇) ([ トムが _ 座っている ] イス)
   b. the chair [ on that Tom is sitting _ ] (×) (訳同上)

(16a-b)は、(13a-b)の‘which’を、ただ‘that’に置き換えただけなんですが、(16b)がアウトになっています。これは、「前置詞+関係代名詞」の語順になるパターンに限り、‘that’は使えない、というルールがあるためです。もちろん、これは、「前置詞+関係代名詞」の語順になる場合に限られるので、そうではない、(16a)はOKになります。

今回のポイントは、前置詞の浮遊グセです。この浮遊グセは、日本語話者にとっては、とてもやっかいであることが、(4)と(5)の対照的な一般化から明らかになりました。しかし、英語の様々な例を見る限り、英文法の中核的要因と見なさざるを得ないため、別に、マスターできなくとも、さして問題にはならない、などとは、とても申せません。

特に、前置詞と関係代名詞の関係は、ちょっとした、バリエーションがあるために、少しやっかいではありますが、残念ながら、実用英語においては、出くわす可能性が、とても高い部類の表現になりますので、避けては通れない項目ということになります。しかし、支払う代償に、必ずや見合うだけの価値ある、「必須の技」であることも事実ですので、是非練習して下さい。

●関連: EG23EG24EG26EG35EG47

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英語学習法(53)

2005年02月08日 | 関係節
関係代名詞です。EG24、EG26の続きです。以下、見ましょう。

(1)Jack bought something. (ジャックは、あるものを買った。)
(2)something [ which Jack bought _ ] ([ ジャックが _ 買った ] もの)

(1)の文では、‘buy’「~ を買う」の過去形、‘bought’「~ を買った」は他動詞で、目的語‘something’を取っています。次に、(2)では、関係代名詞‘which’によって導かれた、カギカッコの関係節が、‘something’にかかっています。‘bought’「~ を買った」は他動詞で、本来なら、目的語を必要としますが、(2)の場合、‘something’にかかるための条件として、目的語の位置が、「空家」の状態になっていなければならないので、見た目、‘bought’は、目的語を取っているようには見えません。

ここで、(2)とは関係なく、‘something’それ自体は、「何か」と訳されることもありますし、「もの」と訳されることもありますが、‘something’という単語のポイントは、「特定されたものを指さない」、ということです。特定されていない、ということは、言い換えれば、「不定である」、ということです。ですので、以下のような表現は不可能です。

(3)this something (×) (このもの)、that something (×) (あのもの)、
   the something (×) (そのもの)

ですので、(2)の場合、要は、‘something’が、「不定」であるような解釈になっていれば、何でもよく、(2)の‘something’を、「商品」とか、「品」に訳しても、とりあえず、「不定」になりますから、OKです。「その品」、「この品」、「あの品」などと、特定されていませんからね。 (「特定・不定」の概念に関しては、EG31参照)

ところで、(2)のような表現は、たいていの場合、‘something’固有の不定性が、強く出すぎるためか、隠しごとでもあるのか、と勘ぐられてしまうことがあります。そこで、(2)には、特に、そういうことにしたい、という意図でもない限りは、別の表現を用いる傾向があります。それが、以下の表現です。

(4)what Jack bought (訳同(2))

(4)は、(2)と、ほぼ同じ意味を表すことができます。(4)の‘what’は、このとき、「何 ~ ?」の意味をもった、疑問詞ではなく、実は、関係代名詞の変種であり、文法的なポイントは、(2)の、‘something’と‘which’が、合体して、‘what’になった、つまり、「‘something’+‘which’ → ‘what’」、とでも、理解しておけば、OKです。

(5) a. something [ which Jack likes _ ] ([ ジャックが _ 好きな ] もの)
   b. what Jack likes _ (訳同上)

(6) a. something [ which Mary hates _ ] ([ メアリーが _ 嫌いな ] もの)
   b. what Mary hates _  (訳同上)

(7) a. something [ which I want to say _ ] ([ 私が _ 言いたい ] こと)
   b. what I want to say _ (訳同上)

(8) a. something [ which I am talking about _ ] ([ オレが _ 言っている ] こと)
   b. what I am talking about _ (訳同上)

(9) a. something [ which I think [ Jack likes _ ] ]
    ([ 私が [ ジャックが _ 好きだと] 思っている ] こと)
   b. what I think [ Jack likes _ ] (訳同上)

(5a-b)~(9a-b)のペアは、全て、‘something which’が、‘what’に置き換わっています。意味も、ほぼ同じ意味を表しています。このように、常に、「‘something’+‘which’ → ‘what’」の置き換えが可能である、と理解しておいて構わないでしょう。

しかし、使用頻度という観点からは、(5a-b)~(9a-b)の、どのペアの場合においても、‘something which’を用いた(a)よりも、‘what’を用いた(b)の方が、圧倒的によく使われます。この関係代名詞の変種である‘what’は、以上のように、関係節の単純化に一役かっているわけです。しかし、この関係代名詞‘what’は、その単純化が原因で、日本語話者に取って、解釈が難解であるようなケースも存在します。

(10)I am not what I was _ . (今のオレは、昔のオレじゃない。)

(10)は、「主語 (I)+‘be’動詞 (am)+否定語 (not)+補語 (what I was)」の文ですが、‘what I was’の部分が、なぜ、「昔のオレ」という訳になるのかが、わからない人が多いんですね。これは、まず、日本語の呪縛から、開放されることが肝要で、ちょっと、ある程度のステップを踏んでからの方が、わかりやすいと思います。

(11)What I think _ is not what I thought _ . 
   ((今)ワシが思っていることは、(昔)ワシが思っていたこととは違うんじゃ。)

(12)What she wants _ is not what she wanted _ .
   ((今)彼女が欲しがっているものは、(昔)彼女が欲しがっていたものとは違う。)

(13)What he does _ is not what he did _ .
   ((今)彼がやってることは、(昔)彼がやってたこととは違うのよ。)

(11)~(12)で共通していることは、どれも、前半の現在形(‘think’、‘wants’、‘does’)と、後半の過去形(‘thought’、‘wanted’、‘did’)の対比によって、「今 (=現在)」と、「昔 (=過去)」の対比がなされている、ということです。つまり、英語では、(11)~(12)のように、動詞の時制そのものによって、「今」と「昔」が直接表現されて、それが日本語の表現として、補足的に、「今」、「昔」を補っても不自然ではない訳になる、と考えてもよいでしょう。そこで、以下の場合はどうでしょうか。

(14)What I am _ is not what I was _ . 
(15)a. (今)オレが、であるものは、(昔)オレが、だったものとは違う。 (×)
   b. 現在のオレは過去のオレとは違う。 (〇)

(14)でも、もちろん、前半の、‘be’動詞の現在形‘am’と、後半の、‘be’動詞の過去形‘was’の対比によって、「今 (=現在)」と、「昔 (=過去)」の対比がなされています。しかし、これを、(11)~(12)のような、一般動詞の訳例のように、ストレートに日本語訳に組み込むのは、もう日本語の限界で、無理があります。

(14)を、無理やり、(15a)のような訳にしても、日本語としては成立していません。これは、もともと、‘be’動詞の機能が、日本語の、「~ だ、~ である」に、単純に直接対応していないことに原因があって、それがわかっていないと、どうしても、すんなり、(15b)のような訳にならないんですね。

ポイントは、(11)~(13)に見られるような、現在と過去の時制の対比が、うまく訳に反映されているような感じになっていればよいわけです。(14)は、‘what I am’と、‘what I was’が、①・単に時制の比較によるものである、ということと、②・‘be’動詞は、多くの場合、時制のみを表現して、他に実質的な意味内容をもたない、という、①と②の考慮があれば、あとは、自由に、①をうまく具現化した訳にしてやればよい、という結論になります。

‘be’動詞は、大方のケースでは、②のように、「実質的な意味内容をもたない」、いわば、‘A is B’(A=B)というような、前半と後半を連結するという、文法における、「機能」上の役割しかもっていない動詞なので、あとは、①を全面的に、「意味として表現」した訳を与えることで、適切な日本語にしてやればよい、ということです。例外はありますが、‘be’動詞の本来の用途は、以下のように定義しても構いません。

(16)‘be’動詞は、実質的な意味内容をもたない、文法上の機能優先型の動詞である。
   ただし、「時制」という点では、意味内容をもつ。

というわけで、(10)にもどって、‘I am ~’「オレは ~」の部分は、そのままにして、「オレは昔のオレじゃない。」という日本語でもいいですし、結局、(14)とそんなに変わりはない、と思えば、「今のオレは、昔のオレじゃない。」、という日本語でもよいわけです。こういったことに対する理解は、ちょっと複雑な表現に出くわしても、ためらうことなく、対処ができるようになる点で、非常にお得感が強いですね。

(17)What he is _ is not what I believed [ he was _ ].
   (今の彼は、私が信じていた彼とは違うのよ ~。)

今回のポイントは、関係代名詞の変種‘what’の使い方と、日本語話者にとって、よく問題となる、‘what A is’や、‘what A was’と日本語の関係です。特に、‘what A is’「今のA」や、‘what A was’「昔のB」の対応訳を丸暗記するのは、その場しのぎの感が強く、(17)のような例に出くわすと、その関連性が、全くわからなくなってしまう上に、(16)の理解の上に立った、表現のバラエティという、コミュニケーションにおいて、重要な観点からも、動きが取れなくなってしまう点で、結局、損をしていることになり、長期的には、あまりお薦めはできません。

こういった、主軸となる概念を基本に据えて、自由な表現力を付けていくという発想が、英語習得における、真の最短距離です。

■注: 定義(16)の例外となる、‘be’動詞は、‘God is.’「神は存在する。」や、‘Ultraman really is.’「ウルトラマンは本当にいるんだ。」、というような、‘A is.’「Aは存在する」、の構文に使われる、‘be’動詞です。これは、‘A’について、「存在の可否」そのものが問題となるようなケースに限られるため、‘be’動詞が、一般動詞‘exist’「~ は存在する」と同じ意味をもっている点で、後半の連結要素が必須とはなりませんし、‘be’動詞に、ストレスを置くようなイントネーションになる点も異なっています。

● 関連: EG24EG26EG31

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英語学習法(26)

2004年12月11日 | 関係節
EG24の続きです。関係代名詞です。以下、見ましょう。

(1)bread [ John ate _ ]. ([ ジョンが _ 食べた ] パン)
(2)bread [ which John ate _ ]. (訳同上) 

(1)では、関係代名詞がないんですけど、(2)のように、関係代名詞‘which’を、カギカッコの先頭に置いてやると、関係代名詞を使った関係節ができ上がります。この点のみ、(1)と(2)は、異なるということなんですが、別に、お互い、意味は変わりません。

ですので、(1)も(2)同じで、関係代名詞の有無は好きに選べばよいだけなのです。日本語には、関係代名詞に相当するものがありませんから、英語と日本語を、うまく対応させようとすると、(1)のように、関係代名詞はない方がよいので、この場合、結局、英語と日本語の違いは、語順の他は、関係代名詞があるかないか、ですね。

そこで、(1)と(2)では、カギカッコ内で、目的語の位置が空家になっていますが、今度は、主語の位置が空家になる例を見てみましょう。

(3)the boy [ who bought bread ]  (〇) ([ パンを買った ] 少年)
(4)the boy [ bought bread ]  (×) (訳同上)

(3)は、カギカッコの関係節が、‘the boy’にかかる表現として、OKですが、一方、(4)は、カギカッコの関係節が、‘the boy’にかかる表現としては、アウトになります。 (ただし、‘the boy’を主語にして、‘bought bread’を述語にする、というようにして、「少年は、パンを買った」、の意味にするならば、OKになります。) 

この主語に相当する関係代名詞の‘who’は、(1)のように、目的語が空家になっている関係節の場合とは違って、省略することができませんので、注意が必要です。ところで、(3)からでは、主語が空家になっているかどうかが、ちょっとわかリにくいので、そこのところを、もう少し詳しく見ましょう。

(5)Susan thinks [ the boy bought bread ]. (〇) 
  (スーザンは [ 少年はパンを買ったと ] 思っている。)

(6)the boy [ who Susan thinks [ _ bought bread ] ] (〇)
  ([スーザンが [ _ パンを買ったと ] 思っている ] 少年)

(5)は、内側のカギカッコ、‘the boy bought bread’「少年はパンを買った」、の部分が、主語‘the boy’をもっています。そこで、(5)をもとにして、関係節(6)をつくります。 すると、(5)のカギカッコ、‘the boy bought bread’は、主語‘the boy’を失い、(6)では、‘bought bread’のみになります。

そのかわりに、‘Susan’の前、つまり、関係節 (外側のカギカッコ) の先頭に、‘who’が現れます。この(6)の例では、(5)との対比から、「空家の条件」にしたがうことで、‘the boy bought bread’から、主語‘the boy’が消えているのが、ハッキリとわかりますね。そこで、外側のカギカッコ、‘who Susan thinks bought bread’は関係節となっているわけですから、‘the boy’にかかる資格を得ることができるのです。

この、(5)から(6)がつくられるプロセスを、別の言い方で説明するならば、(5)の‘the boy’は、‘who’に置きかえられて、(6)にあるように、外側のカギカッコまで、「移動」した、と考えることができます。これは、疑問文の‘who’「誰」が、文の先頭に移動するケースと似ていますね。

(7)John loves Susan. (ジョンは、スーザンが好きだ。)
(8)Who did John love _? (ジョンは、誰が好きなのさ?)

(7)から(8)の疑問文をつくるには、‘Susan’「スーザン」が、‘who’「誰」に置きかえられて、文の先頭に移動しています。あと、補足になりますが、関係代名詞‘who’は、ヒトに対して用いる専用表現ですので、その他に関しては、‘which’や、‘that’を用いる、というような決まりごとがあります。

(9)A dog is always barking. (ある犬がいつも吠えている。)
(10)a dog [ which is always barking ] ([ いつも吠えている ] 犬)

(9)をベースにして、(10)のような関係節をつくります。そこでは、カギカッコ内の、主語に当たる表現‘a dog’「犬」が、関係代名詞‘who’ではなく、‘which’に置きかわって、関係節の先頭に位置しています。もちろん、犬は、ヒトではないからですね。ところで、(10)でも、やはり、カギカッコの関係節内の主語位置に、空家があるかどうか、確認しづらいですね。

(11) I think [ a dog is always barking ] ]. 
  ([ ボクは [ ある犬がいつも吠えている ] と思っている)

(12)a dog [ which I think [ _ is always barking ] ] 
  ([ ボクが [ _ いつも吠えている ] と思っている ] 犬)

(11)をベースにして、(12)をつくってみます。(11)のカギカッコ内での主語‘a dog’が、(10)の内側のカギカッコ内では、消えているのが、ハッキリわかりますね。かわりに、外側のカギカッコの先頭、つまり、関係節の先頭に‘which’が現れています。

これは、先に説明した、(5)から(6)をつくるような、‘who’を使った関係節と、つくり方は同じですね。ただ、犬は、ヒトじゃないから、‘which’を使っている、という点が異なるだけです。最後になりますが、‘a dog’「犬」が、目的語になる場合でも、その関係は変わりません。

(13)Lucy loves a dog. (ルーシーはある犬を愛している。)
(14)a dog [ which Lucy loves _ ] ([ ルーシーが _ 愛している ] 犬)

今度は、(13)をベースにして、(14)をつくります。そこでは、やはり、‘a dog’「犬」に対応して、‘which’が使われています。そして、「空家の条件」も、しっかり守られています。ここで、(2)にもどって考えると、そこでも、‘which’が使われていますが、やはり、‘bread’「パン」が、ヒトではない表現だからですね。

以上が、関係節の大ざっぱな仕組みです。今回のポイントは、関係節内に、「空家」が必ず見つかるので、それが主語に相当するのか、目的語に相当するのかを見分けて、省略の可否を確かめればよい、ということですね。これがわかるようになれば、関係節の7割くらいは、征服したも同然です。しかも、実用性が非常に大きいので、是非ともマスターして下さい。

●関連: EG24

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英語学習法(24)

2004年12月11日 | 関係節
関係代名詞を扱います。以下、見ましょう。

(1)太郎がパンを食べた。
(2)[ 太郎が食べた ] パン

(1)と(2)は、何か関係がありそうです。(2)は「太郎が食べた」、の部分が「パン」にかかっています。この「太郎が食べた」は、該当する、「パン」に対しての付加情報です。だから、パンはパンでも、花子の食べたパンではない、太郎という人物が食べたパンなのだ、という情報付きの「パン」という事です。

こうすることで、世の中にたくさんあるパンの中から、どういったパンなのか、範囲をグッと狭め、限定することができるようになります。ところで、(1)では、「パンを」が、目的語になっています。しかし、(2)は、(3)から分かるように、カギカッコ内を(1)と比較すると、目的語がありません。

(3)[ 太郎が _ 食べた ] パン

(3)は、カギカッコ内に「空家」があります。つまり、目的語の位置にポッカリ穴が空いている、ということです。この空家ができるかわりに、カギカッコの表現は、その外にある、もう1つの「パン」にかかることができるのです。「かかる」、というのは、意味上の限定を加える、という意味です。この、「空家をつくる」、ということが、文法上の交換条件となって、限定能力を与えられるというわけです。英語も語順に注意しておけば、大体は同じ内容です。

(4)Taro ate bread. (太郎がパンを食べた。)
(5)bread [ Taro ate ]. ([ 太郎が食べた ] パン)

(5)から分かるのは、英語と日本語は、限定する側のものと、その限定を受ける側のもので、語順が左右逆です。つまり、カギカッコ内の表現である、[ Taro ate ]-[ 太郎が食べた ] と、‘bread’-「パン」が、左右逆語順だということです。それと、(3)で確認したような、「空家の条件」も英語には同様に存在します。(6)を見ましょう。

(6)bread [ Taro ate _ ]. ([ 太郎が _ 食べた ] パン)

ここで、‘ate’「食べた」 (‘eat’の過去形) は、他動詞 (目的語を取る動詞) の扱いを受けているので、本来は目的語を必要としますが、「空家の条件」によって、一見、自動詞 (目的語を取らない動詞) であるかのように見えています。でも、全く正しい英語です。これは、別に、‘ate’「食べた」が、他動詞から自動詞に変わってしまったというわけではありません。他の例で、それを確認しましょう。

(7)a. Taro talked about bread. (〇) (太郎がパンを話題にした。)
   b. Taro talked bread. (×) (訳同上)

(7a)は、「自動詞 (talked)+前置詞 (about)」を使った文です。自動詞は、前置詞の助けがあれば、目的語を取ることができるようになります。しかし、逆を言えば、前置詞の助けがなければ、目的語を取れないということです。‘talk about ~’「~ について話をする、~ を話題にする」という表現は、これ全体で、一種の他動詞としての扱いを受けることができます。自動詞‘talk’「話す」のみを用いた、(7b)が、アウトであることからも、それがわかると思います。では、これらの表現を使った関係節をつくってみます。

(8)a. bread [ Taro talked about _ ]. (〇) ([ 太郎が _ 話題にした ] パン)
   b. bread [ Taro talked _ ]. (×) (訳同上)

(8a)はOKですが、(8b)はアウトになってしまいました。(8a)において、注目すべきは、本来ならば、目的語が必要とされる、前置詞‘about ~’が、その直後に目的語を取っていないのに、OKであるということです。つまり、これは、本来、目的語を取るべきものが、目的語を取らない、ということが、この表現の特徴である、と言えそうです。

これは、逆に、(8b)のような、目的語が要らない、自動詞‘talk’「話す」のみを用いた表現がアウトであることからも支持されると思います。ここから、さらに、(5)の‘ate’「~ を食べた」も、やはり、他動詞としての性質を、(6)のように、そのまま保っている( 目的語が空家状態になっている) ことがわかります。

今回のポイントは、日本語と英語の関係節には、語順的に、左右対称ではあるものの、かなりの共通点がある、ということです。問題は、肝心の、‘who’とか‘which’とかの「関係代名詞」が、今回出てこなかったことですが、それは、またの機会に、ということで。(EG26に続く。)

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