不定詞も主語をもつことができます。学校では習わないようなことも含めて、「英語脳」的には重要なことがありますので、取り上げてみたいと思います。以下、見ましょう。
(1)Tom solved this problem. (トムがこの問題を解いたんだ。)
(1)は、‘Tom’が主語で、以下の‘solved this problem’が述語になりますね。では、(1)と関連させて、次に、‘to’不定詞を使った表現を見てみましょう。
(2)It is impossible to solve this problem. (この問題を解くのは、不可能だね。)
(3)It is impossible for Tom to solve this problem. (トムがこの問題を解くのは、不可能だよ。)
(2)のように、‘to’不定詞の‘to solve ~’は、特に、主語に当たるものをもってはいませんが、必要に応じて主語を付けることができます。それが(3)です。カタチは、「‘for’~‘to’不定詞」にしてしまえばOKで、‘for Tom’が、‘to solve this problem’に対する主語の役割を果たすということですね。
注意点としては、‘for Tom’を日本語に訳す際は、「トムが」の他に、「トムにとって」というものもありますが、不都合がなければ、どちらでもOKです。ただし、以下のような文には、注意が必要です。
(4)It is unpleasant for Ally for Billy to date Georgia.
(5) a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)
b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)
(4)では、‘for ~’が2つ現れていますが、このように、「for A for B to不定詞」のカタチになった場合は、(5a)のように、必ず、「A にとって B が・・・するのは」、というように解釈しますので、(5b)のように、「B にとって A が・・・するのは」、という解釈は絶対にダメです。そして、以下のような文も要注意です。
(6)There are many flies in the kitchen.
(台所にハエがいっぱいいるな。)
(7)It is unpleasant for there to be many flies in the kitchen.
(台所にハエがいっぱいいるなんて不愉快だな。)
(6)のような、‘there is/are ~’の文を、(7)のように、「‘for’~‘to’不定詞」の構文に組み込むこともできます。このときの‘for there’は、もはや、日本語に訳しようがありませんので、ただ単に、カタチの上で必要だから主語として組み込まれたのだ、と理解しておけばよいわけです。
(8)For Ally it is unpleasant for Billy to date Georgia.
(9)a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)
b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)
ここで、(4)の文を少しだけいじって、(8)のようにしてみましょう。(8)では、「for A for B to不定詞」の、‘for A’に当たる‘for Ally’が、文の先頭に位置しています。しかし、(4)の意味を取るときと同じで、解釈は全く変わりませんね。では、(10)はどうでしょうか。
(10)For Billy it is unpleasant for Ally to date Georgia.
(11)a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)
b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)
(10)では、(4)の「for A for B to不定詞」の‘for B’に当たる、‘for Billy’が文の先頭に位置しています。しかし、何と、今度は解釈が変わってしまいました。(11a)がアウトで、一方、(11b)がOKになってしまいました。つまり、アリーとジョージアの同性愛という、ちょっとアブノーマルな解釈じゃなきゃダメなんです。ここから、「for ~ to不定詞」の構文には、文法上の重要なルールがあることがわかります。
(12)「‘for’~‘to’不定詞」の構文からは、「~ にとって」の意味に
解釈できる‘for ~’だけが、切り離し可能である。
では、(12)が本当に成り立つかどうか、他の文でも検証してみましょう。(3)で、‘for Tom’の日本語訳は、「トムが」でも、「トムにとって」でもよい、と言いました。そこで、(3)を、以下のように変化させてみます。
(13)For Tom it is impossible to solve this problem. (〇)
(トムにとって、この問題を解くのは不可能だよ。)
(13)では、(3)をいじって、‘for Tom’を文の先頭に移動させましたが、これはOKです。この場合は、「トムが」と、「トムにとって」の、2つの解釈のうち、「トムにとって」の解釈の方を優先させればよいだけですね。では、(7)を、以下のように変化させた場合は、どうでしょうか。
(14)For there it is unpleasant to be many flies in the kitchen. (×)
(台所にハエがいっぱいいるなんて不愉快だな。)
やっぱりダメです。‘for there’に 対して、「~ にとって」の解釈は、そもそも無理ですからね。「‘there’にとって」なんて、意味不明で、全くわかりません。というわけで、(12)は、文法のルールとして、しっかり成立するようです。
今回のポイントは、‘to’不定詞にも、明示的に主語を表現してやることができる、ということでしたが、‘for ~’という、ちょっと、紛らわしいカタチを取っているので、解釈に注意が必要な場合がある、ということです。
しかも、‘for ~’は、通常、代名詞が現れる際に、ハッキリとわかるように、‘for him’や、‘for her’といった、いわゆる、「目的格」のカタチで現れるので、初心者のヒトにとっては、‘to’不定詞の「主語」になる、と言われても、ピンとこないことがあると思います。
しかし、今回のように、‘for ~’が2つ並んで同時に出現するケースは、まさに、それら2つの‘for ~’が、似て非なるモノであることからくるものであることが、今回、明らかになったと思います。ですので、どちらのタイプの‘for ~’であるかは、文の意味をしっかり理解した上で、ということになります。
実は、他にも、‘for ~’ではないカタチを取るものもありますが、それに関しては、またの機会にでも。
■注 :今回、(6)、(7)、(14)に、用いられている、‘there’、については、「そこに」、という日本語訳を、当てはめることはできない、ということに関しては、EG74を、参照して下さい。
●関連: EG74
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(1)Tom solved this problem. (トムがこの問題を解いたんだ。)
(1)は、‘Tom’が主語で、以下の‘solved this problem’が述語になりますね。では、(1)と関連させて、次に、‘to’不定詞を使った表現を見てみましょう。
(2)It is impossible to solve this problem. (この問題を解くのは、不可能だね。)
(3)It is impossible for Tom to solve this problem. (トムがこの問題を解くのは、不可能だよ。)
(2)のように、‘to’不定詞の‘to solve ~’は、特に、主語に当たるものをもってはいませんが、必要に応じて主語を付けることができます。それが(3)です。カタチは、「‘for’~‘to’不定詞」にしてしまえばOKで、‘for Tom’が、‘to solve this problem’に対する主語の役割を果たすということですね。
注意点としては、‘for Tom’を日本語に訳す際は、「トムが」の他に、「トムにとって」というものもありますが、不都合がなければ、どちらでもOKです。ただし、以下のような文には、注意が必要です。
(4)It is unpleasant for Ally for Billy to date Georgia.
(5) a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)
b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)
(4)では、‘for ~’が2つ現れていますが、このように、「for A for B to不定詞」のカタチになった場合は、(5a)のように、必ず、「A にとって B が・・・するのは」、というように解釈しますので、(5b)のように、「B にとって A が・・・するのは」、という解釈は絶対にダメです。そして、以下のような文も要注意です。
(6)There are many flies in the kitchen.
(台所にハエがいっぱいいるな。)
(7)It is unpleasant for there to be many flies in the kitchen.
(台所にハエがいっぱいいるなんて不愉快だな。)
(6)のような、‘there is/are ~’の文を、(7)のように、「‘for’~‘to’不定詞」の構文に組み込むこともできます。このときの‘for there’は、もはや、日本語に訳しようがありませんので、ただ単に、カタチの上で必要だから主語として組み込まれたのだ、と理解しておけばよいわけです。
(8)For Ally it is unpleasant for Billy to date Georgia.
(9)a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)
b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)
ここで、(4)の文を少しだけいじって、(8)のようにしてみましょう。(8)では、「for A for B to不定詞」の、‘for A’に当たる‘for Ally’が、文の先頭に位置しています。しかし、(4)の意味を取るときと同じで、解釈は全く変わりませんね。では、(10)はどうでしょうか。
(10)For Billy it is unpleasant for Ally to date Georgia.
(11)a. アリーにとって、ビリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (×)
b. ビリーにとって、アリーがジョージアとデートするのは不愉快だ。 (〇)
(10)では、(4)の「for A for B to不定詞」の‘for B’に当たる、‘for Billy’が文の先頭に位置しています。しかし、何と、今度は解釈が変わってしまいました。(11a)がアウトで、一方、(11b)がOKになってしまいました。つまり、アリーとジョージアの同性愛という、ちょっとアブノーマルな解釈じゃなきゃダメなんです。ここから、「for ~ to不定詞」の構文には、文法上の重要なルールがあることがわかります。
(12)「‘for’~‘to’不定詞」の構文からは、「~ にとって」の意味に
解釈できる‘for ~’だけが、切り離し可能である。
では、(12)が本当に成り立つかどうか、他の文でも検証してみましょう。(3)で、‘for Tom’の日本語訳は、「トムが」でも、「トムにとって」でもよい、と言いました。そこで、(3)を、以下のように変化させてみます。
(13)For Tom it is impossible to solve this problem. (〇)
(トムにとって、この問題を解くのは不可能だよ。)
(13)では、(3)をいじって、‘for Tom’を文の先頭に移動させましたが、これはOKです。この場合は、「トムが」と、「トムにとって」の、2つの解釈のうち、「トムにとって」の解釈の方を優先させればよいだけですね。では、(7)を、以下のように変化させた場合は、どうでしょうか。
(14)For there it is unpleasant to be many flies in the kitchen. (×)
(台所にハエがいっぱいいるなんて不愉快だな。)
やっぱりダメです。‘for there’に 対して、「~ にとって」の解釈は、そもそも無理ですからね。「‘there’にとって」なんて、意味不明で、全くわかりません。というわけで、(12)は、文法のルールとして、しっかり成立するようです。
今回のポイントは、‘to’不定詞にも、明示的に主語を表現してやることができる、ということでしたが、‘for ~’という、ちょっと、紛らわしいカタチを取っているので、解釈に注意が必要な場合がある、ということです。
しかも、‘for ~’は、通常、代名詞が現れる際に、ハッキリとわかるように、‘for him’や、‘for her’といった、いわゆる、「目的格」のカタチで現れるので、初心者のヒトにとっては、‘to’不定詞の「主語」になる、と言われても、ピンとこないことがあると思います。
しかし、今回のように、‘for ~’が2つ並んで同時に出現するケースは、まさに、それら2つの‘for ~’が、似て非なるモノであることからくるものであることが、今回、明らかになったと思います。ですので、どちらのタイプの‘for ~’であるかは、文の意味をしっかり理解した上で、ということになります。
実は、他にも、‘for ~’ではないカタチを取るものもありますが、それに関しては、またの機会にでも。
■注 :今回、(6)、(7)、(14)に、用いられている、‘there’、については、「そこに」、という日本語訳を、当てはめることはできない、ということに関しては、EG74を、参照して下さい。
●関連: EG74
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