EG03の続きです。品詞の中でも、名詞についてです。以下、見ましょう。
(1)I read a book. (私は、本を読む。 (本は1冊))
(2)I read books. (私は、本を読む。 (本は2冊以上))
日本語で名詞と呼べるものは、英語でも、大方、名詞です。しかし、日本語との違いで、ちょっと厄介なのは、逐一、モノであるかないかを気にしながら、(1)の‘a book’「1冊の本」、一方、(2)の‘books’「2冊以上の本」のように、「単数・複数」を考えて、表現しなければならないことです。
(3)I have information. (〇) (私は、情報をもっています。)
(4)I have an information. (×) (訳同上)
しかし、(3)のような場合、‘information’「情報」は、モノではありませんから、(4)のように、‘an information’とやってしまうと、アウトになってしまいます。でも、考えようによっては、「情報」だって、1つ、2つと数えることはあります。つまり、モノではない、という理由で、数えることはない、と断定するのは、間違っていることになります。
(5)I have a piece of information. (私は、情報を1つ、もっています。)
(6)I have two pieces of information. (私は、情報を2つ、もっています。)
だから、(5)や(6)のようにして、‘a piece of ~’「~ 1つ」や、‘two pieces of ~’「~ 2つ」という表現の力を借りて、個数を表してやることになっています。つまり、‘piece’「片、個」を使って、‘a piece’ (単数) または、‘pieces’ (複数) というような、「単数・複数」の概念を、別の単語に任せてシフトしてやる、という発想です。英語は、こういった発想で、名詞の「単数・複数」を表すことを、よくやるコトバです。
(7)a glass of water (コップ1杯の水)
(8)two glasses of water (コップ2杯の水)
(7)では、‘a glass of ~’「コップ1杯の ~」、一方、 (8)では、‘two glasses of ~’「コップ2杯の ~」、というように、「コップ」を単位として、‘a glass’ (単数)や、‘glasses’ (複数)で、「水」を表現しています。しかし、水は、「カタチをもったモノ」ではないにしても、一応、目には見えるし、手で触ったりすることはできるので、完全にモノではない、とは言い切れず、「カタチをもたないモノ」、ぐらいには考えられます。
(9) a piece of chalk (1本のチョーク)
(10)two pieces of chalk (2本のチョーク)
今度は、「チョーク」ですが、チョークも、また、‘a piece of ~’「~ 1つ」や、‘two pieces of ~’「~ 2つ」という表現の力を借りて、本数を表してやることになっています。そこで、何でチョークが?と思われるかもしれませんが、チョークの場合、チョークの素材である粉が、ギュッと固まって、1本のカタチになっている、という発想があるため、イメージとしては、「チョークの素材が加工されたモノ」、と見なしているわけです。
(11) a pen (1本のペン)
(12) two pens (2本のペン)
じゃ、(11)や(12)がOKになる、「ペン」の場合はどうなんだ、ということになりますが、ペンの場合、それ用のパーツを組み立てて、初めて、「ペン」というモノになる、という見方をしますから、逆に、ペンが分解されれば、個々のパーツそれ自体は、ペンではない、ということになり、最終的に完成したものが、ペンという、「カタチをもったモノ」、と見なされます。
(13)a lemon (レモン1個)
(14)tea with lemon (レモンが入った紅茶)
(15)a slice of lemon (レモン一切れ)
(13)の場合、普通に、レモン1個の発想ですが、一方、(14)の場合、レモンが丸々1個入った紅茶、という意味ではなく、レモンの果汁なり、ほぐした実という、「レモン素材」が入っているという発想になります。(15)も、レモンがスライス切りされた時点で、「レモン素材」という方向に、見方が変わっています。
つまり、‘lemon’「レモン」の場合、固体としてのカタチが基準なのか、それとも、素材としての側面が基準なのか、ハッキリしていません。このように、ただ単に、イメージに帰着させて、名詞の「数える・数えない」を決めている側面があるので、理由付けとしては、何となく、それらしく説明することはできますが、結局は、結果論でしかない場合もあります。
今回のポイントは、名詞の数え方にまつわる、日本語と英語の発想のギャップです。日本語と違って、英語には、名詞の「単数・複数」という概念が、常に付きまとうため、その影響の1つとして、今度は、じゃ、数えられる名詞と数えられない名詞の境界線は、一体、どこに求めるのか、という問題が発生してしまいます。
ある程度、ハッキリと、モノだと言えるような場合は、それほど、認識にズレもなく、対応は可能ですが、たまに意表を突くようなものもありますし、カタチの変化にともなって、認識の仕方が、ガラっと変わってしまうケースもあります。
これは、モノである・モノでない、とか、目で見える・見えない、とかいった単純な発想では処理できない問題で、個々の単語から連想されやすい、「イメージでとらえる」、という、より抽象的な、異質の概念がはたらいているからです。このため、ある程度は慣れが必要であり、日本語の感覚からは、如何ともしがたいものがあります。
とりあえず、後付け的な説明は、いくらでも可能ですが、説明されても、ハア、そうですか、としか言えない側面があるのも事実ですので、まずは、こういった事実を受け入れるだけの度量があるかないかが、キモとなります。
■注 :名詞の分類の仕方としては、「美」、「理由」、「情報」、などといった、目では見えなない、「概念」、を表す名詞を、「抽象名詞」、と呼びます。一方、固体として表すことが不可能な、「水」、「ワイン」、「ガス」などや、一方、固体ではあっても、常に、一定の形状で認識されない、「肉」、「土」、「雪」などを、「物質名詞」、と呼びます。しかし、こういった分類が、「可算・不可算」の、絶対的な基準、というわけではありません。
●関連: EG03
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(1)I read a book. (私は、本を読む。 (本は1冊))
(2)I read books. (私は、本を読む。 (本は2冊以上))
日本語で名詞と呼べるものは、英語でも、大方、名詞です。しかし、日本語との違いで、ちょっと厄介なのは、逐一、モノであるかないかを気にしながら、(1)の‘a book’「1冊の本」、一方、(2)の‘books’「2冊以上の本」のように、「単数・複数」を考えて、表現しなければならないことです。
(3)I have information. (〇) (私は、情報をもっています。)
(4)I have an information. (×) (訳同上)
しかし、(3)のような場合、‘information’「情報」は、モノではありませんから、(4)のように、‘an information’とやってしまうと、アウトになってしまいます。でも、考えようによっては、「情報」だって、1つ、2つと数えることはあります。つまり、モノではない、という理由で、数えることはない、と断定するのは、間違っていることになります。
(5)I have a piece of information. (私は、情報を1つ、もっています。)
(6)I have two pieces of information. (私は、情報を2つ、もっています。)
だから、(5)や(6)のようにして、‘a piece of ~’「~ 1つ」や、‘two pieces of ~’「~ 2つ」という表現の力を借りて、個数を表してやることになっています。つまり、‘piece’「片、個」を使って、‘a piece’ (単数) または、‘pieces’ (複数) というような、「単数・複数」の概念を、別の単語に任せてシフトしてやる、という発想です。英語は、こういった発想で、名詞の「単数・複数」を表すことを、よくやるコトバです。
(7)a glass of water (コップ1杯の水)
(8)two glasses of water (コップ2杯の水)
(7)では、‘a glass of ~’「コップ1杯の ~」、一方、 (8)では、‘two glasses of ~’「コップ2杯の ~」、というように、「コップ」を単位として、‘a glass’ (単数)や、‘glasses’ (複数)で、「水」を表現しています。しかし、水は、「カタチをもったモノ」ではないにしても、一応、目には見えるし、手で触ったりすることはできるので、完全にモノではない、とは言い切れず、「カタチをもたないモノ」、ぐらいには考えられます。
(9) a piece of chalk (1本のチョーク)
(10)two pieces of chalk (2本のチョーク)
今度は、「チョーク」ですが、チョークも、また、‘a piece of ~’「~ 1つ」や、‘two pieces of ~’「~ 2つ」という表現の力を借りて、本数を表してやることになっています。そこで、何でチョークが?と思われるかもしれませんが、チョークの場合、チョークの素材である粉が、ギュッと固まって、1本のカタチになっている、という発想があるため、イメージとしては、「チョークの素材が加工されたモノ」、と見なしているわけです。
(11) a pen (1本のペン)
(12) two pens (2本のペン)
じゃ、(11)や(12)がOKになる、「ペン」の場合はどうなんだ、ということになりますが、ペンの場合、それ用のパーツを組み立てて、初めて、「ペン」というモノになる、という見方をしますから、逆に、ペンが分解されれば、個々のパーツそれ自体は、ペンではない、ということになり、最終的に完成したものが、ペンという、「カタチをもったモノ」、と見なされます。
(13)a lemon (レモン1個)
(14)tea with lemon (レモンが入った紅茶)
(15)a slice of lemon (レモン一切れ)
(13)の場合、普通に、レモン1個の発想ですが、一方、(14)の場合、レモンが丸々1個入った紅茶、という意味ではなく、レモンの果汁なり、ほぐした実という、「レモン素材」が入っているという発想になります。(15)も、レモンがスライス切りされた時点で、「レモン素材」という方向に、見方が変わっています。
つまり、‘lemon’「レモン」の場合、固体としてのカタチが基準なのか、それとも、素材としての側面が基準なのか、ハッキリしていません。このように、ただ単に、イメージに帰着させて、名詞の「数える・数えない」を決めている側面があるので、理由付けとしては、何となく、それらしく説明することはできますが、結局は、結果論でしかない場合もあります。
今回のポイントは、名詞の数え方にまつわる、日本語と英語の発想のギャップです。日本語と違って、英語には、名詞の「単数・複数」という概念が、常に付きまとうため、その影響の1つとして、今度は、じゃ、数えられる名詞と数えられない名詞の境界線は、一体、どこに求めるのか、という問題が発生してしまいます。
ある程度、ハッキリと、モノだと言えるような場合は、それほど、認識にズレもなく、対応は可能ですが、たまに意表を突くようなものもありますし、カタチの変化にともなって、認識の仕方が、ガラっと変わってしまうケースもあります。
これは、モノである・モノでない、とか、目で見える・見えない、とかいった単純な発想では処理できない問題で、個々の単語から連想されやすい、「イメージでとらえる」、という、より抽象的な、異質の概念がはたらいているからです。このため、ある程度は慣れが必要であり、日本語の感覚からは、如何ともしがたいものがあります。
とりあえず、後付け的な説明は、いくらでも可能ですが、説明されても、ハア、そうですか、としか言えない側面があるのも事実ですので、まずは、こういった事実を受け入れるだけの度量があるかないかが、キモとなります。
■注 :名詞の分類の仕方としては、「美」、「理由」、「情報」、などといった、目では見えなない、「概念」、を表す名詞を、「抽象名詞」、と呼びます。一方、固体として表すことが不可能な、「水」、「ワイン」、「ガス」などや、一方、固体ではあっても、常に、一定の形状で認識されない、「肉」、「土」、「雪」などを、「物質名詞」、と呼びます。しかし、こういった分類が、「可算・不可算」の、絶対的な基準、というわけではありません。
●関連: EG03
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「日本人の英語」という本で
納得いかない点を調るうちにたどりつき、
チョークとペンの解説ですっきりしました。
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一応、また再開する予定ではあります。
既存の記事でもお役に立てれば幸いです。