goo blog サービス終了のお知らせ 

英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(118)

2006年07月29日 | 強調構文
EG117の続きです。強調構文です。以下、見ましょう。

(1)Mary saw John in the park. (メアリーはジョンに公園で会った。)
(2)It is John that Mary saw _ in the park. (メアリーが公園で会ったのは、ジョンだ。)

強調構文のカタチの上での特徴は、(1)のような文があると、その中の一部の要素 (ここでは、‘John’) が、(2)のように、‘it is’と‘that’の間に挟まれることで、残った要素は、全て、‘that’の後に後続させるということでした。ですので、必然的に、‘that’に後続する要素は、‘it is’と‘that’の間に挟まれているものが欠けていることになります。

一方、強調構文の意味的な特徴は、‘it is’と‘that’の間に挟まれたものに、焦点を当てる、つまり、際立ちを与えるということなので、例えば、(1)のような文では、どこに重要な情報があるのかが、特にわかりませんが、(2)を見れば、一発で、‘John’が重要なのだなとわかる仕組みになっているわけです。

(3)It is in the park that Mary saw John _ . (メアリーがジョンに会ったのは、公園だ。)

(3)では、(1)の‘in the park’を‘it is’と‘that’の間に挟んでいますので、やはり、‘that’に後続する文は、(1)の中から、‘in the park’が欠けたものになっています。こうして見ると、焦点が当てられるべき要素を、‘it is’と‘that’の間に挟むだけで済むわけですから、何でもこのやり方で通してしまえばOKだろう、と考えてしまいます。

(4)It is see that Mary did _ John in the park. (×)
  (メアリーが公園でジョンにしたことは、会うということだ。)

しかし、何と、(4)のように、動詞に焦点を当てるような強調構文は、一般的に容認されない傾向にあります。さらに、単体の動詞だけではなく、動詞句になった場合も、やはり、容認度がかなり落ちます。 ((4)での助動詞‘did’の出現に関しては、EG20、参照。)

(5)It is see John that Mary did _ in the park. (×)
  (メアリーが公園でしたことは、ジョンに会うということだ。)

(6)It is see John in the park that Mary did _ . (×)
  (メアリーがしたことは、ジョンに公園で会うということだ。)

(5)では、‘see John’「ジョンと会う」という小さな動詞句が焦点であり、一方、(6)では、‘see John in the park’「ジョンと公園で会う」という大きな動詞句が焦点ですが、やはり、両方とも容認度が悪く、ほぼアウトであると言ってよいでしょう。 (動詞句の成り立ちに関しては、EG20、参照。)

つまり、動詞を中心とした表現である限り、いかなる要素であっても、強調構文を使って焦点を当てるというようなことは、ほぼ困難であると知っておく必要があります。このように、強調構文は、何にでも焦点を当てられるというような万能型の構文というわけではありません。

(7)It is John in the park that Mary saw _ . (×) 
  (メアリーが誰にどこで会ったのかというと、ジョンに公園で、ということだ。)

では、動詞を含まない、(7)のような‘John in the park’「ジョンに公園で」のみに焦点を当てた強調構文はどうかというと、これもアウトです。この場合は、少し考え方を変えて、「句」という単位が重要であると考えられます。つまり、「目的語‘John’+前置詞句‘in the park’」というつながりは、句ではない、ということに原因があると考えられます。

(8)John hit the robber with a stick. 
(9) a. ジョンは、その強盗を棒で殴打した。 (〇)
   b. ジョンは、棒をもったその強盗を殴打した。 (〇)

(8)は、その解釈があいまいであり、一般的に、2通りの解釈が可能です。まず、(9a)の解釈ですが、‘with a stick’を、「棒で」と解釈して、‘hit the robber’「強盗を殴打した」にかかるような解釈にした場合があります。そして、一方、(9b)のように、‘with a stick’を、「棒をもった」と解釈して、‘the robber’「その強盗」にかかるような解釈にした場合もあります。

(10)It is the robber with a stick that John hit _ .
(11)a. ジョンが殴打したのは、その強盗を棒で、だ。 (×)
   b. ジョンが殴打したのは、棒をもったその強盗だ。 (〇)

そこで、(9)の‘the robber’と‘with a stick’を、強調構文の中で、共に焦点が当たる位置にもっていくと、その解釈が1つに決まってしまい、(11a)はアウトで、一方、(11b)のみがOKとなります。解釈(11a)は、解釈(9a)に対応していますが、一方、解釈(11b)は、解釈(9b)に対応しています。

もちろん、(9a)の解釈では、‘the robber’と‘with a stick’がつながって1つの句になっていませんが、一方、(9b)の解釈ならば、‘the robber with a stick’「棒をもったその強盗」は、1つのまとまりをもった名詞句という単位になりますので、そういったことが、(10)の解釈を(11b)に決定している要因と考えられます。

ここで、(7)に戻って考えてみると、やはり、(7)がアウトになるのは、(10)に対して、(11a)の解釈がない理由と同様であり、‘John’と‘in the park’が1つのつながりをもった句であるとは考えられないからだと判断できます。 (‘John’は固有名詞であり、最初から唯一的に指す人物が決定されているため、限定表現を受けつけず、名詞句になることは困難です。)

ここまで見て、強調構文のある特徴が明らかになりましたが、それは、焦点になれる要素は、文法的なカタチの上での制約として、「句」という1つにまとまった単位であることが条件である、ということです。ただし、(4)~(6)から明らかなように、動詞句 (動詞のみの場合も含む) はその対象とはされません。

「句」というカタチの上での文法上の単位は、同時に、1つの意味的なまとまりをも示すものなので、結局のところ、強調構文においては、その焦点となる表現が、1つの意味的なまとまりを成していることが重要だということになります。

(12)John was happy <because there were many girlfriends>.
  (カノジョがたくさんいたので、ジョンは幸せだった。)

(13)It is <because there were many girlfriends> that John was happy _ .
  (ジョンが幸せなのは、カノジョがたくさんいたからだ。)

(12)をもとにして、(13)の‘because ~’のように、「節」も強調構文の焦点になることができます。節も、句と同じく、カタチの上では、文法上の1つ単位であり、かつ、意味的なまとまりを成しているので、1つの焦点と見なせるからです。ですので、最終的には、「句」と「節」が強調構文の焦点の位置に来れるということですね。

今回のポイントは、強調構文における「句」や「節」といった文法上の単位の重要性です。焦点という概念は、他のものを差し置いて、あるものに際立ちを与えることにその意義があるわけですから、焦点が複数あると、その際立ちがボヤけてしまいますので、焦点は1つであることが望ましいということです。

「焦点」とは意味的な概念ですが、今度はそれを強調構文という文法上のカタチの中に収めなければならないわけで、そこから、当然のこと、カタチの上での区切りが必要になってきます。その区切りの単位として重要なのが、「句」や「節」という単位になるわけです。

英語では、「移動」や「消去」の単位も、大半が「句」や「節」といった単位に依存していますから、こういったカタチの上での単位を知っておくことは、結構重要であることがわかると思います。強調構文は、今回のカタチの上での制限が、最も基本となることですが、その他にも、様々な制約を受けています。また別の機会です。

●関連: EG20EG117

       みんなの英会話奮闘記★      ★英語・人気blogランキング

英語学習法(117)

2006年07月28日 | 強調構文
今回、強調構文とよばれるものを扱います。以下、見ましょう。

(1)John broke the window yesterday. (ジョンはその窓を昨日壊した。)

(1)を、見ただけでは、その中のどんな要素に焦点が当たっているのかは、わかりません。普通、文のどこかにストレスを置いて発音すれば、そのストレスが置かれた要素は、焦点になっていると言えます。ですので、例えば、(1)の‘John’にストレスを置いて発音すれば、‘John’に焦点が当たっているのがわかります。

(2)Who broke the window yesterday ? (誰が昨日その窓を壊したの?)

そこで、(2)のような質問があると、窓を壊した人物が誰かが問題となっており、その窓を壊した人物には焦点が当たっていると言えますから、(2)のような質問に対して、(1)で答えるときは、必然的に‘John’にはストレスが置かれた発音になります。

(3)It is John that broke the window yesterday. (その窓を昨日壊したのはジョンだ。)

そこで、(3)が、強調構文と呼ばれる構文です。強調構文は、‘it is ~ that ・・・’のカタチが特徴です。この構文のポイントは、‘it is’と‘that’の間に強調されるもの、つまり、焦点が当たるものを挟み込むことで、ストレスなどの音声にたよることなく、文を見ただけで何に焦点が当たっているのかが判断できるというものです。

ただし、発音される際は、やはり、‘it is’と‘that’の間に挟まれたものに、ストレスが置かれるように発音されるのが通常ですから、音声上の効果とカタチの上での効果は重複しています。ですので、この構文のありがたみは、どちらかと言えば、文で読む際 (音声がともなわないような伝達のやり方) に、感じられると言った方が適切でしょう。

(3)を見て、すぐにわかるのは、(1)の主語‘John’が、‘that’によって隔てられているだけであり、‘that’の後には、(1)の述語である‘broke the window yesterday’がそのまま続いているということです。このように、強調構文では、ある文の強調したい要素を、‘it is’と‘that’の間に挟みこんで、あとは、残った要素をそのまま‘that’の後に続けるだけですので、使い方はとても簡単です。

(4)It is the window that John broke _ yesterday. (ジョンが昨日壊したのは、その窓だ。)
(5)It was yesterday that John broke the window _ . (ジョンがその窓を壊したのは、昨日だ。)

(4)では、‘it is’と‘that’の間に‘the window’が挟まれて、焦点の当たる要素になっていますが、‘that’に後続しているのは、やはり、(1)の中から、‘the window’が欠けている文です。(5)では、‘it was’と‘that’の間に‘yesterday’が挟まれて、焦点の当たる要素になっていますが、この場合も、‘that’に後続しているのは、やはり、(1)の中から、‘yesterday’が欠けている文です。

ここで、思い出して欲しいのは、強調構文の使い方は、関係代名詞の場合と、かなり似ている点がある、ということです。それは、強調構文でも、関係代名詞の文でも、文の中に空所ができるということです。 (関係代名詞の基本については、EG24、EG26、参照。)

(6)This is the window [ that John broke _ yesterday ] .
  (これが、[ ジョンが昨日壊した ] 窓です。)
(7)This is the window [ which John broke _ yesterday ] . (訳同上)

(6)では‘that’、そして、(7)では‘which’というように、どちらも関係代名詞を用いて関係節をつくった文ですが、関係節がかかる名詞がモノである場合、関係代名詞は、‘that’でも‘which’でも、どちらでも構わないということになっています。関係代名詞は、一方、ヒトにかかる場合は、もちろん‘who’になりますね。

(8)It is John who _ broke the window yesterday. (訳同(3))
(9)It is the window which John broke _ yesterday. (訳同(4))

そこで、(8)や(9)のように、強調構文の‘that’が関係代名詞の‘who’や‘which’と入れかわることも可能です。ですので、関係代名詞による節と強調構文は、その中に空所ができるという点で共通点があり、また、‘that’、‘who’、‘which’という表現も共有し得るという類似性をもっています。

ただし、基本的に、関係節は、それがかかるものの存在を前提とした構文であるのに対し、一方、強調構文には、そのような前提はありません。(6)や(7)の関係節の場合、関係節 (カギカッコの部分) が‘window’にかかっています。しかし、(8)がOKであるのに対し、以下の文はアウトです。

(10)This is John [ who broke the window yesterday ] . (×) 
  (こちらが [ 昨日その窓を壊した ] ジョンです。)

(10)は、関係代名詞‘who’による関係節が‘John’にかかっていますが、そのようなやり方で、‘John’という表現が、何らかの意味的な限定をされるような表現の仕方は、英語の場合、不可能です。それは、‘John’という表現が純粋な固有名詞であり、すでに、唯一的なものとして特定されている人物を表現しているからです。 (EG72、参照。)

そこで、もし、(10)をOKにするためには、‘John’が唯一的ではないような解釈にする必要がありますが、それは、例えば、ジョンという名前の人物が2人存在していて、その2人のうちのどちらを指しているのかを述べるような場合になりますので、そのような状況が予め了解されていることが必要となります。

(11)This is the boy [ who broke the window yesterday ] . (〇) 
  (こちらが [ 昨日その窓を壊した ] 少年です。)

ですので、関係節がかかり得る表現は、通常、(11)の‘boy’「少年」のような、もともと唯一的ではないような表現になるのが普通です。ここで、(8)に戻って考えてみると、‘John’が限定されているわけではないことは、すぐにわかります。

つまり、「焦点」が当たるということは、「限定」や「特定」の概念とは異質な概念であり、同じ情報伝達の中での概念とはいっても、むしろ、焦点とは、他のものとの対比によって、あるものに「際立ち」を与えるといった概念です。これを、比喩的にわかりやすく言うと、光の明度の関係とも言えるもので、どれも均一的な明度で平坦に見える視界の中から、特別に何か重要と思われるものを拾い出して、それに光を当てて見やすくする、といった概念です。

今回のポイントは、強調構文の基本的な特性です。強調構文は、通常、ストレスという発音上の方法によってコントロールするはずの「焦点」(=「際立ち」) という、情報伝達の1つとなる概念を、構文のカタチそのものによって表現するという、極めて特殊な表現方法です。

今回は入門編ということで、基本的なことばかりを見ましたが、案外、学校などで習うような内容としては、精々、今回見たようなことで終わってしまっているような印象がありますので、もう少し掘り下げて、実用上の問題点などを明らかにして見たいと思います。また次回です。

■注 :(11)をOKにするためのもう1つの方法としては、‘John’の直後にポーズを置いて、それから、‘who’以下を発音するような場合があります。しかし、このやり方で発音した場合、意味が変わってしまい、「こちらがジョンですが、彼は昨日その窓を壊してしまったのです。」、というような意味になります。このようにすると、‘John’を限定しているのではなく、ジョンに対する後付けの追加説明をしているような文になります。

●関連: EG24EG26EG72

       みんなの英会話奮闘記★      ★英語・人気blogランキング