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今週号のニューズウィークの特集は「貧富の差の拡大」。香港のある強盗事件から物語が始まる。年老いた男が手に小さいナイフを持ってコンビニを襲う。警察が来るとすぐに男は武器を捨て逮捕される。
囚われれば、屋根と暖かい食事にありつける。男は安堵の表情を浮かべた。
場面転換、こちらは経済発展に沸く中国。数年以内に、贅沢品の消費量は世界一になると予想されている。長者たちは、高級なスーツに身を包み煌びやかな光の中でパーティを楽しむ。その明かりが届かない路上では、地方から職を求めてやってきた人々が奴隷のように土管を転がし街を整備する。
場面はさらに暗い路上に移る。死体のような男が寝そべっている。眼窩は深く落ち込み、長い毛で覆われた胸にはあばら骨の1本1本が暗い影を作っている。
これは日本だ。敗戦で日本は日本を失った。核家族化という名の下で老人は家を追われた。バブル崩壊で終身雇用の道は閉ざされた。富の2極化が進んだ。富むものはその富を元手にさらに富む。貧しいものは睡眠と肉体を切り売りする。
日本が、国内の貧富の差をすこしでも小さくするにはどうすればいいのか?
アメリカや中国といった大国から無理な要求があったとしても、国民の利益や意見に反するものであれば、勇気を持って断る。働いた人から預かったお金は、働いた人のために使う。それがスジというものだ。