英語道(トラスト英語学院のブログ)

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不甲斐ない自分とサヨナラした日

2021年02月21日 | 閑話
「今までの自分とサヨナラしたい」と思ったことはありますか?

変わりたいと思ってはいても、実際に自分を変えるのは相当難しく、それまでの不甲斐ない自分・情けない自分とサヨナラするには、相当ショックな出来事や覚悟がないと出来ないものです。今日は、私が、それまでの自分とサヨナラできた出来事をお話ししたいと思います。

高校3年生の時、早稲田を目指して受験勉強をしていました。社会の選択科目は、「政治・経済」。苦手だった世界史から高3の夏休み明けに切り替えたのですが、その面白さにのめりこみ、9月の模試では偏差値が60を超え、その後は長野県でトップの成績をとったこともありました。

この結果に私は天狗になってしまい、足元を固める勉強、つまり基礎事項の徹底暗記を怠るようになりました。換言すれば、“背伸びをした勉強”をするようになったのです。「早稲田=難問」という等式が頭から離れず、基礎を無視して、やたらと難しい問題集に手を出し、勉強をした気分になっていたのです。

「政治・経済」の表面的な知識は培われつつあったので、問題集や過去問を解いていても「参考書の○○ページの左上部に書いてあるな」ということは分かるのです。しかし、そこで徹底暗記をせず理解するだけで満足していた自分。その代償はあまりにも高くつきました。

忘れもしない1990年2月21日。第一志望の早稲田大学政治経済学部の入試当日。どんな難問がでるかワクワクしながら「政治・経済」の問題を解き始めると・・・。すべて、見たことがある、基本的な問題だったのです。

・中小企業基本法による中小企業の定義は?
・景気循環の3つの周期は?
・個人の貯蓄手段は?

などなど・・・。

しかし、心の中では「しまった~!」と叫んでいました。どの問題も、参考書のどこに書いてあるか分かるのです。しかし徹底暗記が出来ていなかったため、確実に解答できない。全く分からない問題なら諦めがつくのに・・・。

人生でこんなにも悔しく、やり場のない怒りを感じたのは初めてでした。勉強をなめていた自分、辛く基本を固める勉強、つまり“徹底暗記”を怠っていた自分。

受験後、宿泊していたビジネスホテルの自室に帰ってきた私は、不甲斐ない自分に対する怒りを抑えきれず、「畜生、ふざけんな!俺は何をやってんだ!」と怒声をあげながら、「政治・経済」の問題用紙を、床に破り捨てたのです。

あの時破った問題用紙は、不甲斐ない自分だった証拠として、今でも大切にとってあります。
試験の出来なさに、「不合格」という現実を受け入れなければならなかったその夜。半ばやけっぱちになり、宿泊していたビジネスホテルの近くのゲームセンターで無為に時間を過ごし、夜9時くらいにそのゲーセンを出たときに無意識のうちに東京の空を見上げていました。

2月にしては暖かく、雨になりそうな、湿った重い空気が私を取り囲みました。「合格を確信し、充実感と共にこの空を見上げている人もいるんだろうな」と妙に感傷的になっていた自分に、「よう、兄ちゃん。何か空に見えるのかい?」と、ホームレスに話しかけられたことも、鮮明に覚えています。

自分がいかに不甲斐なく中途半端な人間かを思い知らされ、そして、生まれて初めて「自分で人生を変えよう」と心に誓った夜。不甲斐ない自分にサヨナラできたのが、この日でした。


当然の受験結果ですが、早稲田のみならず、明治・学習院・中央と受験したすべての大学を落ち、浪人する羽目になりました。

それ以来、私の勉強に対する姿勢は変わりました。「この世に応用問題や難問などは存在しない。応用力とは基本を徹底的に追求できる力だ」と・・・。

暗記が曖昧な箇所は、“早稲田激出!”などとタイトルをつけて紙に書き出して壁に貼り、常に目にするようにしました。それでも覚えられないところは、書きなぐりました。

そのような勉強を続けた結果、「政治・経済」はいつの間にか偏差値が80を超え、全国模試で1位をとり、表彰されるまでになりました。


あの挫折があったから自分を変えることができ、現在の自分があります。挫折とは、その時は辛いものでしかないかも知れませんが、時が経てば人生の転換点にもなる。私は、あの日から目標設定だけでなく、準備の大切さを意識するようになり、目標達成のために何をどこまでするかを見定め、日々の継続という“準備”を心がけるようになりました。そして、やると決めたことを日々継続すれば目標が達成され、なりたい自分になれることを実証してきました。

大学受験には受験生それぞれにドラマがあります。だから、大学受験生諸君、今生きているこの瞬間に感じている思いをしっかりと心に刻み、残りの時間を走り切ってほしいと思います。大学受験は、なりたい自分になるためのスタート地点に立てる準備なのです。


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