Manaboo 電子政府・電子申請コラム 

電子政府コンサルタントの牟田学が、電子政府・電子申請、その他もろもろ、気まぐれにコメントしてます。

つぶやき電子政府情報(2013年2月24日):電子政府に必要な専門家とは

2013年02月24日 | 電子政府

前回のつぶやき電子政府情報では、今の日本にマイ・ポータルは無理としましたが、今後マイ・ポータルのような国民全般を対象としたエンドユーザー向けのオンラインサービスを検討する場合に、どのようなアプローチが有効であるかを考えてみたいと思います。結論から言えば(10年以上言い続けてきたことですが)、

1. アイデア・企画の段階から、民間でオンラインサービスを成功させた人材を登用する
2. 国民にとっても行政にとっても負担の少ない規模、レベルから始める
3. 無謬性を否定して、失敗の可能性を前提としたトライ・アンド・エラー方式で改善していく


他の行政分野と同様に、電子政府の分野は人材の流動性が低く、健全な競争原理が働いているとは言いがたい面があります。どんなに失敗して税金の無駄遣いになっても、失敗と認めなかったり、誰も責任を取らなかったりで、企業も市場から撤退させられることはありません。私自身も含めて、電子政府の専門家や有識者、ITベンダー等だけでは、特にエンドユーザー向けのオンラインサービスで成功できる可能性は無いと考えた方が良いでしょう。電子政府や行政について詳しくなるほどに、失ってしまうものも想像以上に大きいからです。


マイ・ポータルに税金を投入するのであれば、100点満点の必要はありませんが、30-40点ではNGです。「電子政府の専門家」で企画・検討されたマイ・ポータルは、どうがんばっても30-40点にしかなり得ません。これを70点ぐらいにするためには、アイデア・企画の段階から「電子政府以外の専門家」の参加が必須となります。


上記のようなアプローチを実現するためにも、人事や予算について省庁横断的に決定権を行使できる政府CIOが必要です。政府CIO補佐官についても、一定の枠で政府CIOが直接ヘッドハンティングできる仕組みが無いと厳しいでしょう。残念ながら、今の霞ヶ関制度の中で、決定権を持った政府CIOが制度的に保障され機能することは難しく、それゆえに、日本で本当に機能する電子政府の誕生は別の機会を待たなければならないでしょう。

 


ICT成長戦略会議(第1回会合)配付資料
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_seicho/02tsushin01_03000142.html
開催要綱や委員からの提出資料など。メンバーには、電子政府分野に詳しい方のお名前も。総務省だけでも、ICT関連会議が乱立して大変なことになってます。早稲田大学の小尾先生は、地球課題解決型シルバーICT戦略の重要性を指摘。


平成25年度 情報通信技術の研究開発に係る提案の公募
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000047.html
ネットワーク仮想化技術の研究開発に約35億円など。 「ロバストなビッグデータ利活用」とか、ますますカタカナ用語が増えますね。府省共通研究開発管理システム(e-Rad)を用いての電子申請は、いまでも利用者の評判は良くないのかな。
関連>>府省共通研究開発管理システム(e-Rad)ポータルサイト
http://dl.e-rad.go.jp/sorry/index.html

インターネットを使った選挙運動等に関する協議会(第4回)
http://www.jimin.jp/activity/news/120069.html
与党案では、政党・候補者以外の第三者の電子メールを使った選挙運動について、解禁を見送り今後の検討課題に。選挙期間中のネット有料広告については、政党及び確認団体のみに認めて、候補者による有料広告は禁止すると。

予算執行調査資料 総括調査票
http://www.mof.go.jp/budget/topics/budget_execution_audit/fy2012/sy2502/2502b.html
独立行政法人におけるIP電話の導入状況、独立行政法人におけるホームページのデータ掲載・更新作業に係る経費など。IP電話、クラウドサービス、コンテンツ管理システム等の導入を推奨しています。

ネット弁慶が街中に現れた理由
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20130221/244049/?P=1
労働人口の減少等により停滞していく日本では、今後ますますレイシズム(人種差別、民族差別)が顕在化していくことでしょう。日本が成熟国へと移行していくためには、政府やマスコミも、「臭いものにフタ」や「先送り」ではなく、問題に真正面から取組む必要がありますね。

選挙区ごとの「ローカルマニフェスト」を
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130214/243770/?P=1
「勘ピュータ」の政治活動から、集めたデータや情報を活用し、政治家が持つ勘をより鋭く活かしていく「ID政治」へと。日本における政治マーケティングは、まだ始まったばかりですね。

カギ握るビッグデータ――「生活の質」高めるサービスに生かせ
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130218/266299/?bpnet
スマートシティ・サービスに必要とされる視点、住民目線、オープン、イノベーティブ(革新的)は電子政府でも重要ですね。さらに、住民を主体とした公共機関や産学とのコラボレーション、サービスによるイノベーション、規制への挑戦といった要素も共通します。

第27回医療情報ネットワーク基盤検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002voqv.html
処方箋の電子化についての議論が再開。 電子処方箋の実現について(案)、電子処方箋システムの概観、処方箋の電子化によるメリットなど。報告書案からわかるのは、あまりにもハードルが高すぎて処方箋の電子化は進まない(進ませる気がない)ということかな。
関連>>処方箋の電子化に向けて(平成24年4月)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000029o0e.html

第4回社会保障制度改革国民会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai4/gijisidai.html
経済関連団体(日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所、日本労働組合総連合会)へのヒアリング・意見交換。各団体提出の資料以外に、社会保障制度改革推進法関係資料、最近政府が行った各種意識調査結果からの抜粋など。医療介護については、自己負担を増やす方向へ進みそう。

日本企業のIT支出予測:2013年
http://www.gartner.co.jp/b3i/analyst/130214/index.html
ビジネス強化のための新規投資が増えたとしても、運用コストを下げる方向での圧力が強いため、予算額全体は大きく増えないと。政府のIT投資と重なる部分も多く、サーバ仮想化、事業継続計画・管理/災害復旧対策、SaaS導入などは国や地方でも進みそうです。他方、モバイル環境の整備は遅れそうな予感。

The business of Open Data, where's the benefit?
http://ja.scribd.com/doc/124951288/The-business-of-Open-Data-where-s-the-benefit
オープンデータのビジネスモデルを概説。ITバブルの時と同じく、まずは仲介ビジネスが安定した収益を確保するのかな。

電気通信サービスの加入契約数等の状況(平成24年12月末)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000181.html
加入電話及びISDNの加入契約数の合計は3,353.3万加入で、前年同期と比較して8.9%減と引き続き減少傾向。IP電話の利用数は3,050.9万件で、前年同期と比較して9.9%増と引き続き増加傾向。第3.9世代携帯電話の加入契約数は1362.8万加入で、携帯電話の加入契約数(1億3,836.3万)に占める割合の10.2%と。

ICT分野におけるイノベーション創出に向けた仕組みに関する提案募集
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin03_02000046.html
重点的に研究開発に取り組むべき分野、研究開発成果をイノベーションにつなげる手法、その成果が実用化され広く社会で使われることを念頭に置いたパイロットプロジェクト等の提案を募集。

オープンデータ社会(15)オープンデータによる市場創出のためのプレイヤー相関
http://blogs.itmedia.co.jp/business20/2013/02/post-fa32.html
オープンデータのエコシステムを形成するためのプレイヤー(事業者)について、わかりやすく整理しています。現在は、ステップ2のData Community、ステップ3のService Prioviderの段階と。しばらくはバブル的な動きが続きそうです。

食品に関するリスクコミュニケーション
~牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しに関する説明会~
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/iken/130122-1.html
過剰反応が多かった時期もありましたが、ようやく収束に向いつつあります。リスクコミュニケーションの重要性は、今後ますます高まることでしょう。

財務省:情報システム調達計画書の公表
http://www.mof.go.jp/procurement/system/index.htm
法人企業統計調査等ネットワークシステムは、オープンデータやAPI公開とも関係が深いです。その他には、財政融資資金電算機処理システム、外債取引等管理システム、予算編成支援システム、官庁会計システムなど。政府の基礎となる官庁会計システムの仕組みは重要ですね。

23区、住民サービス値上げ 「団塊」高齢化で財政悪化
目黒・世田谷は保育料で平均9%
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51860250Y3A210C1L83000/
今後は、様々な自治体で同じようなことが起きるでしょう。サービスやハコモノの廃止もあり得ます。

家族の法制に関する世論調査
http://www8.cao.go.jp/survey/h24/h24-kazoku/index.html
全国20歳以上の日本国籍を有する者を対象に、調査員による個別面接聴取を実施(有効回収数3,041人)。質問項目は、家族の役割、女性の婚姻適齢、選択的夫婦別氏制度、裁判上の離婚、嫡出でない子など。「女性も男性と同様,満18歳にならなければ婚姻をすることができないものとした方がよい」と考える人が多いようなので、いっそのこと18歳成年で選挙権付与としても良いのでは。

Good basic data for everyone
http://uk.fm.dk/publications/2012/good-basic-data-for-everyone
デンマークの財務省から。デンマークでは、公共機関が保有する個人、企業、不動産、住所などに関する基本データを、公共部門だけでなく民間においても組織横断的に共有・再利用していくと。活用分野も様々で、医療、教育、福祉などを含みます。住基ネットの4
情報で大騒ぎになる日本とは大違いです。基本的なデータの活用は、技術革新、成長、雇用創出のための必要不可欠と理解しているのでしょう。
関連>>eGOVERNMENT strategy 2011-2015 The digital path to future welfare
http://www.digst.dk/Servicemenu/English/Policy-and-Strategy/eGOV-strategy
デジタルが原則(デフォルト)、デジタル福祉サービス、関連データの再利用を促進する公共部門のコラボレーションなど

パーソナルデータの利用・流通に関する研究会(第2回)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/parsonaldata/02ryutsu02_03000101.html
プライバシー・個人情報保護の現状と課題(新保構成員)、プライバシー保護等に関する諸外国の最新情報と課題(石井筑波大学准教授)、ビッグデータ時代のパーソナルデータ(ライフログ)の利用・流通に関するビジネスについて(安岡構成員)など。

オープンデータ社会(14)パブリックデータとは?
http://blogs.itmedia.co.jp/business20/2013/02/post-9f02.html
「パブリックデータ」をオープンデータ、公共クローズドデータ、公共ソーシャルデータ、公共ビッグデータの4つに分類。データが既にキャッシュを生み出しているもの(例:登記データ等)、キャッシュを生み出していないものといった分類も有効ですね。

命が失われるまで「放置」でいいのか?
『朽ちるインフラ』の著者、根本祐二・東洋大学教授に聞く
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130215/243797/?P=1
9割の自治体は、会計のデータはあっても、道路の修繕に何億円使ったという金額しかわからない。市町村が管理するインフラは、道路が9割、トンネルが5割、上下水道は9割、でも市町村は詳細なデータを全くといっていいほど持っていないと。自治体にとっては耳が痛い話だけど、先送りは許されないですね。

総務省ICTまちづくり推進事業採択事業 三鷹市コミュニティ創生プロジェクト
http://www.mitaka.ne.jp/ict-town/project/sport.html
国が実施を予定している「社会保障・税番号制度」を念頭に、国民に共通する番号を附番し、各個人の情報をこの「共通ID」で連携することにより、住民の情報を確実かつ迅速に活用できるような利用例を提示。「災害時要援護者支援事業」において、対象者台帳をシステム化する際に「共通ID」をデータ連携の番号とするもの。

応急手当を学ぶ「スマートフォン用アプリ」と「eラーニング用ホームページ」を公開
http://www.city.sendai.jp/kaiken/130212e-learning2.html
仙台市から。応急手当について気軽に学べて、緊急時にも使えるスマートフォン用アプリケーションと、救命講習の事前学習や復習用として使えるホームページを公開。iPhone版をダウンロードして使ってみましたが、非常に良くできていて大変便利です。「緊急時にも使える」のが良いですね。

「重要インフラにおける情報セキュリティ確保に係る『安全基準等』策定にあたっての指針(第3版)対策編」(改定案)に関する意見の募集
http://www.nisc.go.jp/active/infra/shishin13.html
内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)から。「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第2次行動計画」の改定や社会的条件の変化等を踏まえての見直し。

韓国におけるデジタルアーカイブの動向
http://e-public.nttdata.co.jp/topics_detail2/contents_type=7&id=834
図書館や博物館などの書籍や文化・学術といった情報だけでなく、行政機関における記録物も含まれる点が特徴と。関連システムとして、知識情報ポータル、電子記録管理システムなど。民間需要が高い知識情報を活用するよう標準化された25種類の共通APIを開発する予定と。

Joinup Semantic Assets
Share and reuse semantic interoperability assets
http://joinup.ec.europa.eu/catalogue/all
EUが立ち上げた政府の情報システムを開発するために使用されている仕様書を検索して再利用できるオンラインサービス。EU加盟国における相互運用性を向上させ、公共部門のIT開発コストを下げることが期待されています。例として、「出生証明書のドキュメントのスキーマ」など。日本にも、政府調達事例データベースがありますが、その3手ぐらい先を行く取り組みですね。
関連>>政府調達事例データベース
cyoutatujirei.e-gov.go.jp/

The new version of NemLog-in is now online
http://www.epractice.eu/en/news/5413848
デンマークで官民共通の認証基盤として利用されている「NemLog-in(NemID)」が、2013年1月6日から新しいバージョンを公開したと。人口600万人に満たない国で2012年の利用が3100万件という実績は、かなりのものですね。
関連>>NemID
https://www.nemid.nu/
NemIDは、インターネット上で利用できるセキュアなログイン手段で、ユーザーID、パスワード、キーカード(乱数が書かれた紙)で構成されています。

Portal launched to provide information on Rome’s services
http://www.epractice.eu/en/news/5413955
公共サービス情報ポータルには、市内170の場所にある700公衆Wi-Fiアクセスポイントを介して、スマートフォン、タブレットやノートパソコンからアクセス可能と。専用アプリも提供してます。イタリアのローマぐらい世界的な観光地だと、IT投資の見返りも大きいでしょうね。
関連>>Digit Roma
http://www.digitroma.it/

第2回規制改革会議
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee/130215/agenda.html
健康・医療、エネルギー・環境、雇用、創業・産業の新陳代謝等の4分野から、これまでに提起されている課題の代表例を提示。レセプト等医療データの利活用促進、処方箋の電子化、電子カルテシステムの普及促進、労使双方が納得する解雇規制の在り方、ビッグデータビジネスの普及(個人情報の利用制限の見直し)、クラウド上での私的利用目的を逸脱しない著作物の複製・利用の容認などがあります。

医薬品の対面販売は本当に安全か、買って分かった情報提供の疑問
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130213/243677/?P=1&rt=nocnt
オンラインサービスでは、実際に使ってみることが重要ですが、対面販売との対比でより違いが鮮明になります。一般医薬品のインターネット販売規制については、10年後ぐらいに笑い話になっていると良いのですが。。

政府CIOを招き自治体でのオープンデータなどを議論
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20130214/456243/?mle
川島氏の「公開前提のデータをコストをかけずにそのまま出すこと」には強く同意します。オープンデータが本当の意味で市民権を得るためには、行政職員が日常の業務を遂行する中でデータ公開・更新等を行えることが必要です。

ネット選挙解禁へ向け各党の論点整理が始まる
http://www.jimin.jp/activity/news/120006.html
民主党とみんなの党は、より広範囲な解禁を目指しているようですね。第三者を含めてすべての者にメールによる選挙運動を解禁すること。電子メールの送付先は、電子メールアドレスを通知した者とし、事前に選挙運動用電子メールの送信に同意する必要はないこと。ネットの有料広告は、政党だけでなく、候補者にも解禁することなど。

オープンデータ情報ポータル
http://opendata.nikkei.co.jp/
オープンデータ、データジャーナリズムに関する情報と実験のサイトとして開設。メディアとして先行投資する価値はありますね。
 


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