Manaboo 電子政府・電子申請コラム 

電子政府コンサルタントの牟田学が、電子政府・電子申請、その他もろもろ、気まぐれにコメントしてます。

つぶやき電子政府情報(2013年2月16日):今の日本にマイ・ポータルは無理、身の丈に合った電子政府を

2013年02月16日 | 電子政府

日経BPから「日本は韓国のIT化に追いつけるか」という記事が前編と後編で出ています。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130207/454982/?mle
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130207/454983/?k2

「韓国と比べて、日本の電子政府は遅れている。」

何度、こうした記事を見たことでしょうか。先進国における電子政府(IT活用の公共サービス)の優良事例は数多く出ており、以前と比べると、具体的なサービスイメージは格段に描きやすくなっています。しかし、残念ながら、今の日本政府では韓国のようなサービスは実現できません。無理に実現しようとしても、表面的に真似たサービスを10-100倍のコストで作ることになるでしょう。これは構造的な問題なので、一朝一夕には変わりません。
 
例えば、政府が検討するマイナンバー制度ではマイ・ポータルの構築を予定しています。マイ・ポータルとは、国民一人ひとりが自分の「番号(マイナンバー)」に関する個人情報やその取扱いについてインターネット上で確認できる個人用ホームページのことで、個人情報の確認や電子申請など4つの機能を設ける予定です。
 
作者自身は、衆議院の解散とマイナンバー法案の廃案に思うことで述べたように、マイ・ポータルは不要と考えています。これは、将来に渡ってずっと不要ということではなく、日本はまだマイポータルを実現する段階にまで進んでおらず、マイナンバー制度の導入と同時期にマイポータルを構築するのは止めた方が良いということです。

官民共通の認証基盤やルールが整備され、少なくとも行政機関間のオンラインによる情報共有・交換・連携が一定の割合で行われるようになり、ある程度の制度・業務改革が実施されて業務効率化の具体的な効果を上げてからでないと、マイポータルの構築は今後の電子政府にとって障害になるでしょう。

一時期の単なる無駄な投資に終われば良いのですが、マイナンバーが普及して活用されるかどうか、情報提供ネットワークが機能して利用されるかどうか分からない段階で、マイポータルが構築されてしまうと、「どうやって利用者を増やすか」「どうやって民間と連携するか」といったことに労力を取られてしまい、これまでの住基カードや電子申請と同じ道をたどることになるでしょう。これは、マイポータルの機能をAPI公開したから解決できる問題でもありません。「API公開したけど民間が使ってくれない、どうしたら利用が増えるか」と言った問題が増えるだけです。
関連>>復旧・復興支援制度データベースから考える、電子政府APIの提供と活用マイ・ポータル等における民間連携・民間活用の実現に向けた方針(案)(PDF)

韓国や北欧等で、マイポータル、簡易な電子申告(記入済み申告等)、引越しワンストップなどが実現できているのは、時間をかけて情報共有・交換・連携や本人意思確認等の仕組みを作り、実際にそうした仕組みが利用・普及した実績があり、さらには制度・業務の改革が実施されるといった「本当に必要な基礎」を固めているからです。日本で、基礎が固まる前からマイポータルを作ってしまったら、少なくとも5年ぐらいは電子政府の進展が遅れることになるでしょう。

日本は、国連の電子政府ランキングで17-18位と低迷する中で、韓国は2回連続の1位を獲得しています。デンマークは4位です。これだけ見ても、韓国や北欧を安易・拙速に真似することが、いかに無謀なことであるかわかります。マイ・ポータルは、今の日本の身の丈に合っていない高度なサービスであり、まだ手を出すべきではありません。

本質的なことを言えば、行政改革や構造改革が軌道に乗るまでは、新たなITインフラを作ることは避けるべきです。もともと政府のIT予算の4割弱ぐらい(年間運用コスト:約3,900億円)は既存システムの維持費として使われています(政府情報システムの現状PDF)。現行体制を前提とした新たなITインフラは、行政改革や構造改革の障害となり、将来の戦略的なIT投資を妨げることになるでしょう。



オープンデータ社会(11)経済産業省などの取り組み(DATA METI構想など)
http://blogs.itmedia.co.jp/business20/2013/02/data-meti-1acb.html
経済産業省では、教科書どおりと言っても良いぐらい、愚直にオープンデータを進めていますね。

「役所の顔」28歳職員が過労自殺、住基ネット移行で負担集中 宮崎県新富町
http://www.mynewsjapan.com/reports/1770
こうした悲劇を繰り返さないためにも、各自治体がシステムを保有して維持管理する方法を改めて欲しいです。

フューチャースクール推進研究会(第6回)
http://www.soumu.go.jp/menu_sosiki/kenkyu/02ryutsu05_03000059.html
小学校の児童用コンピュータ等の必要機能に関する調査の結果、ガイドライン2013(素案)の概要などを公開。どうにも違和感があるのは、どうしてなんだろう。

第183回国会(常会)提出(予定)法律案等(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kanbo02_02000012.html
地方公共団体情報システム機構法案(仮称)は、3月上旬の提出を予定。地方公共団体が共同して住民基本台帳法等の規定による事務を処理するため、地方公共団体情報システム機構(仮称)を設置し、その組織、業務の範囲等を定めると。電波法の一部を改正する法律案もあります。

ICT超高齢社会構想会議ワーキンググループ(第2回)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_cho-koureika/02ryutsu02_03000096.html
病院や民間企業による取組み事例等を紹介。医療データの先進活用は一律に進めないで、積極的に活用し効果を上げているところに様々な優遇措置を与えるなど、医師や患者へのインセンティブを強化するのが良いかな。

ICT街づくり推進会議(第1回会合)配付資料
http://www.soumu.go.jp/menu_sosiki/kenkyu/02tsushin01_03000141.html
ICT街づくり推進会議 検討部会(第1回会合)配付資料
http://www.soumu.go.jp/menu_sosiki/kenkyu/02tsushin01_03000140.html
要援護者支援事業を支える共通ID、マイナンバー制度導入を想定した児童手当の申請の際の添付書類の省略などの提案もあります。防災・減災等に資するICTサービス事例集は、オープンデータで提供して欲しい内容。それにしても、駆け込みの今年度補正予算の増額で、大変なことになってます。

室蘭市/公衆無線LANサービスについて
http://www.city.muroran.lg.jp/main/org2260/freespot.html
iPhoneのテザリングサービスがあるけど、私の地元でも実現して欲しいサービスです。良く利用する市民館や図書館で公衆無線LANが使えると、特に嬉しい。

オンライン利用を停止する手続について(PDF)
http://shinsei.e-gov.go.jp/mhlw/stop_shinsei_list_20130213.pdf
e-Gov電子申請システムで、平成25年2月22日付けで停止される手続の一覧。631手続の停止理由は全て「申請等がないため」と。

私には何の権限もない
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130201/453701/?ST=govtech
「私は政府CIOになったが、法律上は何の権限もない。これまで仕事をしていて、特に省庁間の連携がスムーズに行かないことがある」と。政府CIOの権限を規定する法案の中身で、政府の本気度がわかることでしょう。
関連>>「政府CIO補佐官が国を変える力になってほしい」採用担当者が説明
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130208/455281/?ST=govtech
府省専属では横の連携が不十分だったと。

ネット選挙解禁の各党協議が始まる
http://www.jimin.jp/activity/news/119992.html
選挙制度調査会・インターネットを使った選挙運動に関するプロジェクトチームの合同会議が開催され、自民党と公明党で取りまとめた与党案が了承されたと。ネット選挙解禁に過度な期待は禁物ですが、インターネットが普通に使われるようになることは良いことです。

優秀な若者が“島根の孤島”に集まっている理由
http://matome.naver.jp/odai/2136014013370222501?&page=1
自然豊かな地方には、たくさんの優良コンテンツがあるわけで、日本全国にお宝が眠っているはず。お宝発掘ゲームの仕組みを作って、ゲーミフィケーション先進国になるのも夢ではありませんね。

第1回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002v67k.html
最高裁判決を踏まえて、従来の規制に代わる一般用医薬品のインターネット販売等についての新たなルール等を検討。
これまでの経緯、一般用医薬品の郵便等販売に関する調査研究、医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会報告書、参照条文、最高裁判決全文など

IPA「災害に対応する IT システム検討プロジェクトチーム」の活動結果について報告
~東日本大震災による情報処理の現場の状況と復旧対応について~
https://www.ipa.go.jp/about/press/20130128_2.html
災害に関わるIPA全体の調査結果と災害発生直後に多数構築された支援のためのウェブサイトの状況を報告書として公開。個別のウェブサイト担当者へのインタビュー記録も収録し、オープンデータの必要性なども言及しています。
関連>>「被災者・復興支援サイトの過半が震災後1週間以内に開設」、調査報告書をIPAが公開
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130201/453762/?ST=govtech

2012年の不正アクセス届出から読み解く、ウェブ改ざん被害の事例、傾向と対策
https://www.ipa.go.jp/about/technicalwatch/20130213.html
脆弱性を悪用されることが多い(ウェブ改ざん届出全体の約32%)、被害内容として、表示内容の書き換え(同・約32%)のみならず、ウェブサイト閲覧者がウイルス配布サイトに転送される被害(同・約42%)も多い、自社運用(同・約29%)よりもホスティングサービス利用者(同・約45%)の方が多いなど。

Android用公式アプリ/時事通信社『政界データブック』
http://www.jiji.com/jc/v?p=app-android-seikai
衆参議員の全ての議員の顔写真と略歴が掲載。選挙による変更がれば速やかに更新すると。インターネット選挙運動解禁を見越したアプリと思いますが、もし解禁が実現すれば、政治広告費の市場規模が大きく拡大する可能性が出てきます。特にインターネット広告業界は嬉しいでしょうね。

富士通が950億円の最終赤字へ転落、国内外で5000人削減へ
http://www.nikkeibp.co.jp/article/news/20130208/339651/?ml&rt=nocnt
緩衝材の役割を果たしていた非正規雇用者による調整では対応できなくなったということでしょう。労働市場改革を怠ってきたツケが回ってきたと。本格的なリストラはこれからで、正規雇用の公務員も例外ではありません。
関連>>手足を切るような”大リストラ”が始まる
http://toyokeizai.net/articles/-/12745
労働市場の硬直性を正し、社会人を再教育して競争力をつけよ
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130212/339941/?ml&rt=nocnt
日本では解雇するのもされるのも、何だか悪いことみたいでマイナスのイメージが強いですが、北欧などを見てもわかるように、企業や個人がレベルアップする機会になるよう制度設計・改革すれば良いと思います。

富士通が在宅医療支援のクラウド開始
国の医療費抑制策が新たなIT市場を創出
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130204/453904/
医療クラウドが活況を呈するためには、医療費抑制策だけじゃなくて、混合診療などの規制緩和政策が必須と思いますが、日本医師会の反対もあって難しいのでしょうね。
関連>>混合診療ってなに?:日本医師会はこう考えています
http://www.med.or.jp/nichikara/kongouqa/appeal.html

登記情報提供サービスの運用拡大について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00144.html
平成25年3月から、登記情報提供サービスの運用拡大として、毎月1回、土曜日の午前8時30分から午後5時まで登記情報提供サービスを利用することができるようになりますと。これ、実在する事務所でのサービスではなく、オンラインサービスの話です。電子政府だけで、「○○な話」の2時間特番が作れそう。。上記は「うそーんの話」かな。

平成24年地方公務員給与実態調査結果の概要(平成24年4月1日現在)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei12_02000026.html
国家公務員との比較指数(全地方公共団体平均107.0)で特に高いのは、静岡県(111.7)、名古屋市(112.5)、君津市・芦屋市(113.7)など。平均給与月額だけでなく、平均年収も出すべきと毎回思うのですが、なかなか改善されません。政府の財政状況を考えると、民間給与に近づくことは避けられないでしょう。つまり、平均では年間200-300万円は下がる可能性(余地)があると。個人的には、過度な平等主義からの脱却がおすすめです。
関連>>平成23年分 民間給与実態統計調査
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2011.htm
民間の平均給与は409万円で、男性504万円、女性268万円。

あなたの年金記録に「もれ」や「誤り」はありませんか?
もう一度ご確認をお願いします
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201302/2.html
持ち主が確認できない年金記録は約2,200万件と。年金記録の確認、いつまでやるんだろう。どこかで区切りをつけた方が良いと思うのですが。。

携帯端末代を分割で支払っている場合の滞納にご注意ください
あなたの信用情報に傷がつくおそれがあります
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201301/3.html
政府広報から。スマートフォンの普及に伴い端末代の分割契約が増え、支払いの滞納も急増。分割払いを滞納すると、将来クレジットカードが作れない、ローンが組めないなどのおそれがあると。確かに分割払いの仕組みを理解していないと、思わぬ実害を受けますね。
関連>>改正割賦販売法
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201007/6.html

第56回 福利厚生費調査結果報告(2011年度)
http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/012.html
こうして見ると、(大)企業に勤務することで得られるものが給与以外にたくさんあることがわかります。日本の労働者は、まだまだ企業依存が大きい。
関連>>地方公共団体における福利厚生事業の状況概要
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei13_02000009.html

英国初の「スマート・シティ」誕生へ
http://wired.jp/2013/02/01/glasgow-smart-city/
助成金2,400万ポンド(約35億円)で始動するプロジェクトから得られたデータはすべて一般公開されることになっていると。とりあえずは、リアルタイムでの交通情報の提供、バスや電車の予想到着時刻を確認できるアプリ、道路の陥没を知らせるサービスなどの定番が検討されているようです。

HDMI端子に挿すだけで自宅のテレビを"スマート化”するAndroidスティック
http://news.mynavi.jp/news/2013/02/08/252/
ワイヤレスマウスが付属して9,980円。これならスマートテレビとか不要ですね。こうした機器が成熟してくると、テレビから電子政府サービスを利用する場面が想像しやすくなります。電子政府がスマホやタブレットのアプリ、あるいはHTML5に対応するということは、新しい利用スタイルを開拓するということなのかも。

杉山研究室:未来フォーラム2013「インターネット選挙運動」
2013年2月28日(木)午後8時開始 デジタルハリウッド東京本校(御茶ノ水)
https://www.facebook.com/events/578337628846863/
政治とメディアの視点から、インターネット選挙解禁後の政治情勢の展望について議論する参加無料イベント。安倍政権が「インターネット選挙運動」を制度的に保証する法改正を行えば、今年の参院選から「インターネット選挙運動」が動き出す可能性がありますね。申し込み方法はFacebookページから。

イマドキの働きかた(その1)
http://agora-web.jp/archives/1517905.html
日本では、ホワイトカラーの労働生産性向上が課題とされますので、新しい働き方の模索はどんどんやるべきでしょう。「非効率的な情報処理の改善」や「クラウド型の組織を作り」は、電子政府でも有効ですね。

Investing in the open data economy
http://oreil.ly/TTGZhW
オープンデータの現在の状態はウェブの黎明期に似ていると。英国では保健(処方)データの公開が始まり、民間等での活用が進んでいくと。オープンデータ活用のビジネスやサービスに挑戦する人が増えると、それらを支援するビジネスも増えるでしょう。英国は、オープンデータの基盤を整備することで、海外からの投資を呼び込みたい意向もあるかと。日本も参考にして欲しい。
関連>>NCGM バイオバンク | 独立行政法人 国立国際医療研究センター
http://www.ncgm-icc.jp/dtd/biobank/index.htm
アイスランドの「保健医療分野データベース法」及び「バイオバンク法」(PDF)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/218/021805.pdf


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