Manaboo 電子政府・電子申請コラム 

電子政府コンサルタントの牟田学が、電子政府・電子申請、その他もろもろ、気まぐれにコメントしてます。

自治体Webサイトはなぜ使いにくいのか? 電子政府にも利用者視点の標準化を

2009年12月10日 | 書籍
自治体Webサイトはなぜ使いにくいのか?―“ユニバーサルメニュー”による電子自治体・電子政府の新しい情報発信
安井 秀行
時事通信出版局

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NPO団体「アスコエ - 私の声で明日を変える」代表の安井氏による本書は、「情報コンテンツの標準化」という試みである「ユニバーサル・メニュー」を提案しています。

標準化と言うと、業務やデータといった行政の視点によるものが多いのですが、住民や利用者の視点から標準化を進めることは、電子政府だけでなく行政改革全般において有効です。例えば、「窓口」や「サービス」の標準化など。。

利用者視点の標準化を進めることで、それを支える内部の事務処理等も標準化せざるを得なくなるので、結果として業務全体の標準化が進むというものです。

利用者視点の標準化は、最低限のサービス基準として機能します。

楽天などのオンラインショッピングモールでは、こうした利用者視点の標準化が進んでいることがわかります。

各ショップの見栄えは多少異なっても、掲載されている情報や購入・決済機能などが標準化されているので、利用者は迷うことなく同じように買い物を楽しむことができるのです。

「標準化」と言うと、「サービスの画一化」「杓子定規な対応」「融通が利かない」といったイメージがあるかもしれません。そんな時は、その標準化が提供者側の視点なのか利用者の視点なのかを考えてみると良いでしょう。

まずは利用者視点の「標準化」があり、その上で、権限委譲を行い、地域や部局の実情に合った対応や工夫=「利用者にとって最良の提案や選択」ができるようにしておけば良いのですね。


利用者視点の標準化では、もう一つ良い効果があります。

それは、「利用者の反応(喜びや感謝)を実感しやすい」という点です。

業務やデータの標準化は、面倒な割には、利便性や効果を実感しにくいところが難点です。

これに対して、利用者視点の標準化は、利用数の増加や利用者からの感謝といったわかりやすい反応が得られます。利用者からの反応は、担当者を勇気付け、予算確保の根拠となり、上司や議会を動かす力にもなります。


業務の標準化という迷路にはまってしまったと感じたら、一度立ち止まって、利用者視点の標準化を考えて見ましょう


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