子どもたちに「未来の学力」を福田 誠治東海教育研究所このアイテムの詳細を見る |
北欧諸国の教育事情については、本ブログでも取り上げてきましたが、本書ではフィンランド教育を知ることで、「これからの日本にとって必要な教育とは何なのか」を考えています。
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フィランドと言えば、PISA(OECD 生徒の学習到達度調査)で上位となったことが有名です。文部科学省からも結果が公表されています。
PISAの結果については、私も誤解しているところが多かったのですが、本書を初めとした北欧諸国の教育制度を知る中で、世界全体の大きな変化と流れを理解できるようになりました。
つまり、変化のスピードが加速するグローバル社会・多様性社会・高度情報通信社会において、必要とされる教育や知識や能力が変化してきたということです。
企業の経済活動や行政の官僚制度においても、「どうも、今までのやり方が通じなくなってきたようだ」という認識が一般化しつつあります。
その事実に気づいた時に、企業や政府は「これからは、こういう人材が必要である」「こういう能力が必要である」といったことを考えるようになりました。
人口が少なく天然資源も乏しいフィンランドのような小国だからこそ、30年もかけて教育への投資を行い続け、PISAでの優秀な成績や国際競争力の向上をもたらしたというわけです。
これに対して日本は、肝心の「どんな人材を育てるか」といったビジョンに欠けたまま、「ゆとり教育」の見直しなどとノンキなことを言っています。。。
ちなみに、フィンランド教育の特徴は次の通りです。
・「小さい政府」で既得権益や癒着構造と決別
・教育分野の規制緩和と権限委譲が行われた
・子供によって興味や学習スピードは異なることを認識
・競争が無いので「落ちこぼれ」もいない
・「何を学んだか」よりも「これから何ができるか」を重視
・のんびりペースで良いから、自分の頭で考え、心で感、他者を信じる
・地域や学校に合わせて教師が独自にカリキュラムを組める
・教師の育成は5年間の修士課程
・教師になってからも専門家とて勉強を続ける
・研修は仕事の一部
・教師が授業に専念できるよう雑務から解放
・テストは重視せず、生徒自身が自分を評価する
・家庭、性、経済状態、母語に関係なく教育機会が平等(無償)
・すべての教育段階で協同し仲間意識や助け合いを育てる
・「教える」のではなく「自ら学ぶという行為」に委ねる
うーん、電子政府の人材育成でも参考になることが多いなあ
電子政府においても、まずは「理想とする電子政府の形」を描き、それを実現するためにどのような人材が必要かを考えたいものです