自治体の財務報告と行政評価宮本 幸平中央経済社このアイテムの詳細を見る |
日本でも、「行政評価」という言葉は多くの人に知られるようになったと思います。本書のデータは、2000年前後のものが多いので、最近の様子を見てみましょう。
グーグルで「行政評価」のキーワードで検索してみると、総務省行政評価局のページが一位表示されました。
年金記録問題、独立行政法人の天下りや随意契約などを見ても、行政評価局が適切に機能しているかは疑問がありますが、形としては整っていると言えるでしょう。
他方、自治体はどうなっているかと言えば、
三島市(静岡県)の行政評価が上位に表示されました。
静岡県は行政評価の先進地域として知られていますね。
三島市の行政評価は、評価表の内容がHTML形式で提供されているのが良いですね。自治体の行政評価と比べると、電子政府の評価がいかに未成熟なのかもわかりますね。
三島市の課題としては、外部評価や市民参加が無いことが挙げられるでしょう。評価結果については、探しやすいように工夫してありますが、その見せ方については改善の余地がありますね。
次に表示されたのが、愛媛県行政評価システム
こちらには、外部評価委員会があるようですが、やはり評価結果等の見せ方には課題が多いようです。これでは住民が見たいと思わないし、見てもよくわからないでしょう。
ちなみに、公的個人認証サービス運営事業費を見ると、平成21年度当初予算が30,508千円となっていました。国全体では、年間いくらになるのかしら
札幌市行政評価制度には、かなりの工夫が見られました。
全体を通じて強いメッセージ性が感じられ、市民に見てもらうことを意識した内容になっています。
外部評価だけでなく、市民評価(事業仕分け)や市民満足度調査を実施するなど、他の自治体とは異なる取組みが見られます。
「札幌市財政の現状と問題」といった参考資料も掲載することで、財源・財政とリンクさせていることも良いですね。
見せ方についても、表現をわかりやすくしたり、グラフや図表を用いたりするなど、市民目線の工夫があります。
検索の上位ではありませんでしたが、行政評価の先駆的存在である三重県(みえ政策評価システム)も見てみましょう。
こちらは、さすがに洗練されており、みえ政策評価システムの構成といった全体像はとてもわかりやすいですね。
評価結果についても、わかりやすく整理されており、自分にとって関心がある分野の事業がどうなっているのかが探しやすいと思います。
何より、PDFファイルを貼り付けることなく、HTML形式でサクサク閲覧できるのが良いですね。
日本の行政は、国も自治体もPDFが大好きのようで、「PDFファイルを貼り付けておけば、それが電子化・電子政府だと思っている」といった苦情や皮肉が良く聞かれるぐらいです。
ということで、「行政評価」については、自治体を中心としてある程度の歴史があり(=PDCAのサイクルを回してきた)、そろそろ次のステップへ行っても良いのかなと思います。
ここまで見てきて、「日本における行政評価導入の参考にもなった米国は、どうなっているのかな」と思ったので、優秀な電子自治体として表彰されたこともあるバージニア州のサイトを覗いてみました。
「行政評価のページを見つけられるかな」と不安でしたが、なんと迷うことなく2クリックでたどり着きました。
トップページにある「ガバメント」にカーソルを合わせると「オープンガバメント」とあったので、それをクリック。すると、「バージニア州の業績」というアイコンがあったので、これをクリック。
で、訪れた瞬間に、わかっちゃいました。
これは、日本の自治体と根本的にレベルが違うわと。
詳細に分析したわけではありませんが、情報量、わかりやすさ、透明性・公開性、市民参加、測定の精度など、あらゆる面で差があるなあという印象です。
例えば、教育に関するサマリーでは、右側に「ぱっと見てわかる指標」があったり、「高校の卒業」といった個別項目では他の自治体との比較グラフがあったりと、日本人である作者でもとてもわかりやすいのです。全体についても、スコアカードをチェックすれば、すぐにわかります。
もちろん、安易に「PDFファイルをベタベタ貼り付ける」といった不親切で愚かなことはしません。
その代わりに、「閲覧している内容をPDFファイルで保存する」ことができたり、画像イメージで表示させたり、グラフ類だけをまとめて表示させたりと、利用者向けのツールが充実しています。
ランキングのページでは、全米の州の中で、各項目におけるバージニア州のランキングがわかります。どの分野で優位で、どの分野が弱いのかがわかるのです。この他、バージニア州内における地域別・分野別のトレンドなどもわかります。各機関における業績評価も、大変に充実しています。
もちろん、バージニア州は優秀な方なので、もっとレベルの低い州は存在します。それでも、日本との差は大きいと言わざるを得ません。
電子政府における「ウェブの活用度」について、日本と電子政府先進国との差は、電子政府ランキング以上に開いていると言って良いでしょう。
まずは、日本が「電子政府二流国(三流国?)」であることを自覚することから始めましょう。
http://www.soumu.go.jp/menu_yosan/jigyou.html#h22
地方行政情報化推進に必要な経費(うち次世代公的個人認証サービス等研究・開発事業)
評価では、3分の1にするか半減の圧縮とありますね。
ともあれ、こうした公開が重要ですね。
情報ありがとうございます。
おっしゃるとおり、まずは情報公開から始まりますね。
電子政府の経費については、全体でいくらかかっているのかが見えませんので、米国のように「見える化」を進めて欲しいです。
電子申請の本当の経費
http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/f37da46d067e94e8baadb53d83df993f