平成22年8月20日付け厚生労働省年金局事業管理課からの発表「110歳以上の年金受給者の緊急安否確認結果」は次の通りです。
1 確認対象となる受給者数
59人(うち47人は老齢福祉年金の受給者)
2 安否確認結果
※それぞれ住所地の市区町村に健在であるかどうかを確認したところ
○健在であることを確認 53人
○亡くなっていることを確認 5人
(いずれも平成22年7月以降の死亡)
○所在不明 1人
※上記のうち、健在である方1人、及び所在不明の方1人については、
市区町村において安否確認ができなかったため、年金事務所の職員が
直接確認したもの。
というわけで、報告内容を信頼する限りでは「110歳以上の年金受給者で、本人が死亡した後も家族等が不正に年金を受給していた」というケースは、ほとんど無いようですね。
なお、行方不明高齢者への年金支給の対応は
・生存の事実等を確認(確認できなかった場を含む)した上で
・支給の一時差し止め、支給停止
・受給権の失権処理、死亡後に支給された年金の返納請求
などの措置が取られます。
関連>>高齢者に係る年金個人情報についての関係地方自治体からの照会に対する日本年金機構の対応について|市町村が把握している行方不明高齢者への対応に関する通知について|第2回「高齢者所在不明・孤立化防止対策チーム」の開催について
障害年金と異なり、老齢年金の場合は生存確認が簡素化されているため、家族等から死亡届が出されない限り、死亡後も年金が支給され続けることは十分にあり得ます。
また、「住民票や戸籍に記載されている内容」は公的な記録ではあるものの、本人や関係者からの自己申告=届出に基づくものであるため、記載内容が事実と異なる場合もあります。
ところが、行政の事務は、基本的には住民票や戸籍の記載内容が事実であることを前提にして処理されます。
また、今回のように、職員等が生存確認に行っても、「そこにいる老人が果たして受給権者本人なのか」は、DNA鑑定でもしなければわかりません。
実際には、家族らしき人たちが「ほら、うちのおじいちゃんは、まだまだ元気ですよ」と言えば、その言葉を信用するしかないでしょう。
このように、生存確認や実在確認というのは、けっこう難しいことなのですね。
しかし、年金の支給に限れば、ある程度の対策は可能です。
例えば、支給年齢に達した人は、役所や医療機関等の窓口で身分証明書等の提示と共に生体認証(指紋、虹彩、手のひら静脈など)を登録して、「受給者ICカード」をもらいます。
年金受給者が生体認証による本人確認とセットで「受給者ICカード」を利用すると、自動的に市町村や年金事務所へ本人生存情報が送られるようにします。
「受給者ICカード」を「健康保険証」「介護保険証」と一体化しておけば、医療や介護サービスを受けるたびに、本人の生存が確認できます。
「家族等が本人に成りすまして、生存を装う」ことも難しくなります。
もちろん、コストもかかりますので、それに見合った効果(金銭的なものだけではありません)が無いと意味がありません。
時おり、今回の高齢者所在不明問題を解決するために「国民IDの導入」が有効であるような主張を見かけますが、国民IDと本問題はあまり関係がありません。
国民IDは行政等の内部の事務処理に有効なものであり、本人の生存を確認できるものではないからです。
これは、納税者番号があっても、零細事業者や零細農家等の現金取引を税務当局が把握するのが難しいのと同じことです。
事実確認については、番号制度の他に、別途適切な仕組みや仕掛けが必要になるのですね。
1 確認対象となる受給者数
59人(うち47人は老齢福祉年金の受給者)
2 安否確認結果
※それぞれ住所地の市区町村に健在であるかどうかを確認したところ
○健在であることを確認 53人
○亡くなっていることを確認 5人
(いずれも平成22年7月以降の死亡)
○所在不明 1人
※上記のうち、健在である方1人、及び所在不明の方1人については、
市区町村において安否確認ができなかったため、年金事務所の職員が
直接確認したもの。
というわけで、報告内容を信頼する限りでは「110歳以上の年金受給者で、本人が死亡した後も家族等が不正に年金を受給していた」というケースは、ほとんど無いようですね。
なお、行方不明高齢者への年金支給の対応は
・生存の事実等を確認(確認できなかった場を含む)した上で
・支給の一時差し止め、支給停止
・受給権の失権処理、死亡後に支給された年金の返納請求
などの措置が取られます。
関連>>高齢者に係る年金個人情報についての関係地方自治体からの照会に対する日本年金機構の対応について|市町村が把握している行方不明高齢者への対応に関する通知について|第2回「高齢者所在不明・孤立化防止対策チーム」の開催について
障害年金と異なり、老齢年金の場合は生存確認が簡素化されているため、家族等から死亡届が出されない限り、死亡後も年金が支給され続けることは十分にあり得ます。
また、「住民票や戸籍に記載されている内容」は公的な記録ではあるものの、本人や関係者からの自己申告=届出に基づくものであるため、記載内容が事実と異なる場合もあります。
ところが、行政の事務は、基本的には住民票や戸籍の記載内容が事実であることを前提にして処理されます。
また、今回のように、職員等が生存確認に行っても、「そこにいる老人が果たして受給権者本人なのか」は、DNA鑑定でもしなければわかりません。
実際には、家族らしき人たちが「ほら、うちのおじいちゃんは、まだまだ元気ですよ」と言えば、その言葉を信用するしかないでしょう。
このように、生存確認や実在確認というのは、けっこう難しいことなのですね。
しかし、年金の支給に限れば、ある程度の対策は可能です。
例えば、支給年齢に達した人は、役所や医療機関等の窓口で身分証明書等の提示と共に生体認証(指紋、虹彩、手のひら静脈など)を登録して、「受給者ICカード」をもらいます。
年金受給者が生体認証による本人確認とセットで「受給者ICカード」を利用すると、自動的に市町村や年金事務所へ本人生存情報が送られるようにします。
「受給者ICカード」を「健康保険証」「介護保険証」と一体化しておけば、医療や介護サービスを受けるたびに、本人の生存が確認できます。
「家族等が本人に成りすまして、生存を装う」ことも難しくなります。
もちろん、コストもかかりますので、それに見合った効果(金銭的なものだけではありません)が無いと意味がありません。
時おり、今回の高齢者所在不明問題を解決するために「国民IDの導入」が有効であるような主張を見かけますが、国民IDと本問題はあまり関係がありません。
国民IDは行政等の内部の事務処理に有効なものであり、本人の生存を確認できるものではないからです。
これは、納税者番号があっても、零細事業者や零細農家等の現金取引を税務当局が把握するのが難しいのと同じことです。
事実確認については、番号制度の他に、別途適切な仕組みや仕掛けが必要になるのですね。