江戸には二つの“仙台堀”が在ることを御存知でしょうか?
一つは深川の仙台堀川のことです。仙台堀川は、竪川、小名木川と同様に人工的に開削された川で、位置的には清澄庭園の南側を東西に流れています。名前は、かつて北岸に仙台藩の蔵屋敷が在ったことに由来します。
もう一つの仙台堀は、JR御茶ノ水駅周辺の神田川のことです。神田川は江戸城の外堀の役割と江戸市中の洪水防止を目的に、こちらも人工的に造られた川ですが、現在の飯田橋駅付近から秋葉原付近までの工事を仙台藩主・伊達政宗が行ったことから仙台堀と呼ばれるようになりました。
鬼平犯科帳(池波正太郎著、文藝春秋)第一巻に収録の「啞の十蔵」に登場する仙台堀は前者の深川の仙台掘のことです。そして、「浅草・御厩河岸」に“本郷・組屋敷がならぶ道をぬって一気に仙台堀に出る。(中略)御茶ノ水から江戸川に逃げようというのだ。”との描写で登場する仙台掘は後者のJR御茶ノ水駅周辺を流れる神田川のことです。ちなみに、ここに登場する江戸川は、東京都と千葉県の県境を流れる江戸川のことでは無く、神田川の中流域を指しています。つまりは仙台掘も江戸川もどちらも現在の神田川のことです。同じ本に二つの異なる仙台堀が登場するのはとても興味深いですね。
深川の仙台掘が登場するその他の作品
- 池波正太郎著「待ち伏せ」「冬木立」(剣客商売(九)に収録、新潮社)
- 藤沢周平著「冬の日」(花のあとに収録、文藝春秋)
御茶ノ水の仙台堀が登場するその他の作品
- 池波正太郎著「一本眉」(鬼平犯科帳(十三)に収録、文藝春秋)
深川の仙台掘に架かる海辺橋 東京都江東区清澄3-3-32付近
東京メトロ半蔵門線・都営大江戸線 清澄白河駅から約500m 徒歩約7分
御茶ノ水の仙台掘(神田川)に架かる聖橋 東京都千代田区神田駿河台2-6-4付近
JR・東京メトロ丸の内線 御茶ノ水駅からすぐ
東京メトロ千代田線 新御茶ノ水B2出口からすぐ
深川の仙台堀
御茶ノ水の仙台堀
当ブログ「江戸観光案内」を御覧頂きありがとうございます。
小さなことでも、当ブログから何か話題を提供出来れば大変嬉しく思いますので、金時さんのブログにリンクして下さい。
金時さんのブログも拝見させて頂きましたが、楽しいブログですね。
今後も「江戸観光案内」を宜しくお願い致します。(霊雲寺(2013/1/12)へもコメントを頂いておりましたので、同様にお返事させて頂きました。)
仙台掘を検索して、こちらに来ました。
仙台に何年か住んだことがあり、仙台掘が伊達藩の施工と知り、
それからは御茶ノ水に行くと写真を撮ってブログに掲載していました。
由来について、ぜひこの記事をリンクさせてください。