大蛇と湯ノ又の淵 「南紀土俗資料」
2025.3
龍神村上湯ノ又(和歌山県田辺市)にも、上記とほぼ同様の伝説がある。
上 湯ノ又の中林某(なにがし)の娘と言うのが、折々親に隠れて外出した。それで其(なにがし)の母は怪んで、ある日、ひそかに娘の着物の裾へ、絲をつけて置いた。そしてその出た後をたどって追かけた所、前林某(なにがし)の家の前にある、底の知れぬほど深いと言う淵の辺(あたり)から糸は水中に入っていた。
これは大変と母は、狂気になって、「今一度、是非に娘の姿を見せて下さい。」と叫んだ。
すると、大蛇が娘をロに咥へて頭を出したが、すぐに淵の底へ隠れてしまった。
今では、この淵は砂に埋っている。
注:江戸時代の大蛇の図を見ると、その多くは竜の形をしています。蛇の絵のほうが、少数です。
ここにいう大蛇は、竜と思われます。竜神村なのだから。
以上、「南紀土俗資料」土俗編、神婚伝説 より
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