明神橋下の河童 「南紀土俗資料」
2025.3
ある年の牛休み 六月初丑の日に寒川村(和歌山県日高郡日高川町寒川) 土居の明神橋下の青淵で、ある人が牛を洗っていると、突如、河童(があたろ)が現れて牛の尻を抜こうとその足をつかんだ。しかし、物に動じ易い牛の事であるので、驚きあわてて、一目散に川原へかけ上った。ところが、河童は、余りに固くつかんでいたと見えて、とうとう川原へ引ずりあげられた。
それを寄ってたかって生どりにした。河童を鎖で繁いで明神様の境内の草取りをさせた。
さて、その監視をしている人が、
何となく気持が悪い、どうせ河童の事であるから、いつ何時、自分の尻へ手を出さないとも限らない、と心配した。それで小石を拾って、自分の尻へ当てがって置いた。口の悪い河童は、いっの間にか、それを見つけて「且那のお尻は石尻ですね」と皮肉ったそうである。
それから、この河童には、「将来この里へ入り込まない。」との誓いを立てさせて、放してやった。
それで今では、
河童は寒川へ入らないのだと言う。
以上、「南紀土俗資料」土俗編、水界神話的伝説 よ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます