橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

朝日新聞「腰痛2800万人…8割原因不明、心の悲鳴かも」…いや単に運動不足でしょ

2013-03-24 07:56:58 | ツイッターつぶやき

その日のニュースでちょっと気になったことは、ツイッターでつぶやくのが普通になって、140字以内でなんでも言おうとするくせがついていたけれど、今一度ブログを見直して、覚え書き的に使ってみようと思う。

で、朝一番の「腰痛2800万人」。朝日新聞デジタルの見出しで見かけた。

厚生労働研究班が全国8カ所で12000人に調査したところ、40~60代の約4割りが腰痛で悩んでいるらしい。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄などの病気による腰痛もあるが、8割りが原因不明。ストレスが原因となることも多いという。腰痛に関する国内外の論文200を検証したところによれば、うつ状態や仕事上の不満、人間関係に悩みがあると、腰痛になったり、治りにくくなったりするといい、慢性腰痛では抗不安薬、抗うつ薬も有効な治療薬に挙げられている。

腰痛に抗うつ剤…。

一見もっともらしいが、最近なんでも心の問題にされてしまう感じは否めない。ストレスという言葉が原因不明という言葉の代わりに使われている。「原因不明」の原因を現代社会の生きにくさに求めるのもいいけれど、多分、本当にストレスで腰痛になっているひとは2800万人のほんの一部だろう。

多くの腰痛の原因は単なる「運動不足」に違いない。身もふたもないけど多分そうだ。

身体を動かさないことによる、筋肉と関節の硬化、劣化。

現に記事もこう書いている。

「一方で、安静は必ずしもよくないそうだ。日常生活を続けるほうが、痛みが軽くなり、仕事を休む期間が短くなるという。マッサージや腰の牽引の効果ははっきりした根拠がなかった。」

私も腰痛がある。自分の実感として分かるが、ずっと座り仕事で腹筋も背筋もふくらはぎの筋肉も衰えている。それによって身体を支えられなくなり、次第に姿勢は悪くなり(私の場合昔から悪いけど)腰に負担がかかる。若い時はまだ耐えられていても、40代を過ぎて、長年の負荷に腰が耐えられなくなってとうとう痛みが出始めたというだけの話ではないか。

今一度言うが、ほとんどは単なる運動不足だ。みんな原因を複雑に考えすぎのような気がする。

多くの人は現代の便利な社会に慣れ切って、いかに今の時代、人間が自分の身体を甘やかしているかを忘れている。洗濯は洗濯機、食器洗いは食洗機、そうじはルンバ、買い物は通販と宅配、図書館や本屋に行かないで、調べ物はすべてネット、歩かないで車、自転車を運動だと思っている人もいるが、あれは運動ではないとつくづく感じる。長距離はいざしらず、近所の買い物に自転車で行くのは、歩くのが時間がかかって、重い荷物を運ぶのが面倒だからだ。たまに歩いて買い物に行くと、汗ばむのがわかる。

もちろん、腰痛の人の中には身体を使い過ぎの人もいるだろうし、精神的ストレスの人もいると思う。2800万人、人口の5分の1の人が感じている腰痛の原因に「現代社会のストレス」をあてはめたくなる気持ちも分かる。これだけ多くの人が患うのには、誰しもが当てはまりそうな時代的な問題が必要だ。そういうとき「ストレス」は便利な言葉として、必ずと言っていいほど選択される。私たちの頭の中には、もはや原因不明のもの=ストレスという刷り込みがある。

しかし、そんな思い込みの為に、様々な場面でとても簡単なことを見落としていないだろうか。

現代社会の便利さを運動不足につなげるのはあまりにも分かりやす過ぎて、腰痛の原因の分析結果として書くには馬鹿っぽいと思うからなのか、この記事では「運動不足」という点には触れていない。そんな当然の大前提は省略していいと考えたのかもしれない。

しかし、現代社会において最も大きな問題があるとしたら、世の中があまりに便利になりすぎて、人間の身体の機能が劣化してきているということだろう。人間は怠けようと思えばいくらでも怠けるし、そうすれば身体機能もどんどん劣っていく。忍者のようなことができないのも当然である。

「現代社会のストレス」は、モノがあふれすぎて、便利になりすぎた現代社会の結果である。言ってみれば、「腰痛」も「ストレス」も現代社会の生んだ子供だ。だから、腰痛を治す為に抗うつ剤なんか飲むよりも、便利すぎない、ちゃんと身体を動かす生活に戻すほうが先なんだろうと思う。

何もかもがお膳立てされた便利すぎる世の中は、人のやる気さえも奪っていると思うから。