ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

屍人荘の殺人

2020年01月16日 | 本を読んだで
 今村昌弘             東京創元社

 小生、ミステリーはあまり読まない。だから密室ネタがどうのこうのという資格はないが、だれも入れないだれも出れない部屋で殺人事件。犯人はどうやって現場に入ったのか/出たのか、その謎で興味を呼ぶ、と、いうことぐらいは知っている。山の中の屋敷に何人かが閉じ込められている。この中に必ず被害者と犯人がいる。で、どうやってその「密室」を設定するかだ。外は暴風雨が吹き荒れている。また地震で陸の孤島になっている。などなど。この作品の場合、それがゾンビだ。
 神紅大学のミステリー愛好会の明智と葉村は「探偵少女」剣崎の誘いで映画研究会の合宿に参加する。場所は山中のペンション紫湛荘。近くで大規模なロックフェスティバルが開かれている。そのロックフェスティバルの参加者がゾンビ化。紫湛荘は多数のゾンビに取り囲まれる。そして最初の犠牲者が。遺体にはどうも何かに噛まれたような傷跡が。ゾンビが噛んだのか人間が噛んだのか?
 ここで出てくるゾンビはあくまで「環境」としてのゾンビであって、ホラー的な役割はない。最後の謎解きは本格的なモノだろう。被害者、犯人、探偵のキャラも立っていたし、けっこうなミステリーであった。

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