ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

百億の昼と千億の夜

2023年10月24日 | 本を読んだで

 光瀬龍                 早川書房

 日本SF初期の代表的名作のひとつ。よくいわれる光瀬龍の東洋的哲学趣味が満喫できる作品だ。とはいいつつも地球の誕生から稿を起こしたこの茫漠な作品はとどのつまりは56億7000万年未来にまでイメージが飛ぶ。だからこの作品の舞台は悠久の時間と空間ということになる。
 で、小説には舞台が必要であるが、登場人物も要る。この作品の登場人物は、主人公といってもいい阿修羅王。ギリシャの哲学者プラトン。古代インド釈迦国の王子シッタータ。ナザレのイエス。イスカリオテのユダ。梵天王、帝釈天、救世主弥勒、大天使ミカエル、転輪王、そして黒幕「シ」かようにオールスターで永遠の時空で繰り広げられるスペースオペラを楽しめばいい。