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雫石鉄也のブログ

定吉七番3 角のロワイヤル

2021年06月23日 | 本を読んだで

東郷隆       角川書店

 大好評(ワシ的に)ドタバタアクション第3弾。今回は浪速船場の丁稚に、冒険小説でおなじみのフランスの右過激派OASの老スナイパーがからむ。
 元OASのピエール中佐は、仇敵元フランス情報部のモンフェランの消息を知る。ヤツはフランスの兵器会社の社長におさまっていた。このたび商談のため極東は日本に行く。ヤツは必ず殺す。
 定吉七番の今回のミッションは、関西財界の重鎮で、芦屋は六麓荘に住まう豆屋善右衛門のせがれ善彦を関西に取れ戻すこと。善彦は仇敵NATTOの大幹部のイロで日仏混血の美女青山リカのとりこになっている。
 リカは女子高生からなる「リカちゃん軍団」のボスで一筋縄ではいかん女。リカとリカちゃん軍団は軽井沢にいる。モンフェランの商談の場所も軽井沢。それを追って軽井沢に向かうピエール中佐が、軽井沢近郊の峠に巣くう「ゾク」にからまれたときに、ゾク3匹を瞬殺して中佐を救ったのがリカ。中佐はリカに昔の「あの人」オリエの面影を見た。
 こうして定吉、リカ、ピエール中佐の3人が軽井沢に集まる。1980年代の軽井沢、あの「軽シン」こと「軽井沢シンドローム」の軽井沢である。リカの手下どもは女子高生軍団。1980年代の女子高生軍団といえば「おニャン子クラブ」なんてのがあったな。芦屋の六麓荘、軽井沢、と、日本の代表的お金持ちゾーンを舞台に、あの熱狂の1980年代がよみがえる。
「わてはタダの通りがかりの丁稚だす」
「あたしはタダの通りがかりのバニーガールよ」
 てなことをいいながら、定吉と女子高生どもは軽井沢を舞台にはでな銃撃戦をくりひろげる。