Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

生物電磁気学と行動科学② ~精神科疾患と地磁気~

2007-08-13 01:48:33 | 統合医学(補完・代替医学)
実は地球科学と精神科医療とは全く無関係ではないらしい。11年に一度程の周期で太陽は「ACTIVE SUN」というフェーズに突入する。この時、太陽活動は急激に変化し、太陽表面に黒点が多数出現する。そしてこの「ACTIVE SUN」の時期には、精神科医療施設への入院患者数が統計的に有意に激増すると言うのである。これはモスクワの科学アカデミー出身の世界的地震学者から直接聞いた話である。

太陽の活動変化に伴い、宇宙線放出等種々の電磁気学的変化があるようなのだが、これにより直接的・間接的に人間の精神に異変が起きるらしい。社会学・統計学的には満月の日には犯罪や交通事故が増えると言うが、この現象に酷似している。私が精神病院を建設するとしたら、この外部からの電磁気学的障害から患者を保護する、一種のシールドルームのような建物を作っておくと思う。(尤も「電波系」のアヤシイ人たちは、それでも主訴を述べ続けるであろうが。)

資料を手元に、少し紹介致しましょう。[引用始め] p96~ 中枢および末梢神経系への地磁気の効果として地磁気活動度と精神病や神経反応との関係が調べられている。精神病の臨床例から、太陽活動や地磁気擾乱はヒトの精神活動の乱れをおこすことが知られており、精神分裂病(原文ママ)の患者数は約10年の周期的変化を示し、これは太陽活動や地磁気擾乱の周期性と一致している。また、てんかんの臨床例からは、地磁気活動度の高い年(例えば1960~61年)にはてんかんの患者の数は増大するが、発作の日はうつ状態の日の二倍程度である。これにたいして活動度の低い年(例えば1964~65)には患者数は減少するが、発作の日はうつ状態の日の11倍にも達する。つまり相対的には、発作(てんかん)は地磁気の静かな年におこりやすく、うつ状態は地磁気の乱れた年におこりやすい。[引用終り]
【引用文献:生物は磁気を感じるか ~磁気生物学への招待~ 前田 坦著 講談社ブルーバックス】

てんかん発作が地磁気の静かな時に起き易いとすると、地磁気の場は脳全体の神経活動を覆うような形で抑制をかけているのであろうか?fMRIなど強力な磁場をかけられたてんかん患者と、コントロール群との間で発作の頻度・程度に統計的有意差が見られるのであろうか?

逆にあまりこの「抑制場」が強すぎるとdepressionになってしまうのであろうか?もしきれいなデータが示せれば、これは医学生物学的に非常に面白い。fMRIなどで強力な磁場を頻繁にかけられた患者に質問紙表を使ってうつ傾向を調べてもよいのかも知れない。または精神科臨床の中で「うつ」を示しやすい患者に対して年間のfMRIなど強力な磁場の放射の回数を聞き出すとか。

地磁気と筋電図・筋リラクゼーションとの関係は以前依頼されて調査研究して論文として発表したが、精神作用や行動科学となるとこれは気をつけてかからねばなるまい。悪用されると恐ろしい結果を生み出しかねないからである。

(今回も熊木徹夫先生の閉鎖されたMLの一つに既出した原稿を編集して再度ここに再現しました。)

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