Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

ソマリア海賊対策は環境省主導で?

2009-04-16 05:04:41 | 地球社会:国際政治経済金融
ソマリアの海賊問題の陰に欧州のソマリアにおける廃棄物不法投棄問題が横たわっている事が明らかになった。本邦は異例の海上警備行動を防衛相が発令し、護衛艦を現地派遣しているが、これは恐らく対処療法となるだろう。

海賊問題の裏には貧困と失業等の諸問題があると言われていた。内戦によって無政府状態、秩序は回復しない上では産業もインフラ基盤も何もない。恐らく日本をはじめとする世界の一般的な見解としては内戦によって陸地を追われた人々が海賊になるのであり、内戦への介入は避けたい・・・こう言ったところではないだろうか。

ところが実際にはヨーロッパやアジアの企業等により20年間も廃棄物が投棄され続けてきたと言うのである。日本もかつて公害に悩まされた。環境庁が設立され、工業廃水の処理技術が進展し、公害病の認定があり、社会保障があり現在に至る。環境化学や環境工学のノウハウは既に蓄積されている。

現地住民が公害と闘うために武器を取り海岸線を、彼らの主張通り沿岸警備隊として巡回しているのであれば、これは無理やり海上自衛隊の護衛艦を派遣している場合ではない。無論相手側からの攻撃等があれば海上保安庁巡視船なり海上自衛隊護衛艦なりによる実力行使は国際法上当たり前の事であるが、それと同時にやる事が沢山あるのではないか。

環境保全技術では世界一を誇る我ら日本の環境省の出番であろう。そして環境工学に長けた民間の専門家やNPOの知識や技術を何とか現地に移植出来ないであろうか。中には放射性廃棄物も含まれていると言う。こんな状態を現地の海事機関が黙認していると言うのであるからやるせない。

現実的には環境省の技術系職員や民間の環境工学専門家の派遣は無理であろう。こうなれば、俄仕込みでも良いから派遣された海上自衛隊護衛艦の乗組員か海上保安庁海上保安官の方々に環境監視活動のトレーニングを積んで頂いて、周辺海域における環境アセスメントを行って頂くか、海自ヘリに高性能カメラを搭載して現地映像を逐次防衛省と内閣情報センター経由で環境省に届くようにして画像解析等を経た後に、国際会議において日本が堂々と廃棄物不法投棄に関連する国家や企業を糾弾する等の具体的行動が取れるのではないか、と考えた。

自然と人間に一体感を感じながら生活を営んできたのが本邦である。地球環境問題を声高に叫ぶのであれば、本問題こそが環境問題であろう。誰が音頭を取っているのか分からないような「地球温暖化」等と言わずに、人命と同様に本当の意味で地球も守れる日本であって欲しい。

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