食・飲・読の日記

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草々不一@朝井まかて

2019-08-12 08:01:41 | 本(あ)
  草々不一@朝井まかて 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
「紛者」助太刀を頼まれた、牢人者の信次郎。頼まれたら断れないのが、武士だが。「青雲」立身する者と、できぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から三つの約束をさせられて。「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。「妻の一分」大石内蔵助の妻、りくにとっての忠臣蔵を、そばで見守った者がいた。「落猿」藩の外交官である江戸留守居役が、公儀との駆け引きの最中に。「春天」剣術指南所の娘と二刀流の修行人。剣で心を通わせた二人の行末は。「草々不一」漢字を読めない隠居侍が、亡き妻の手紙を読むため手習塾に通い始める。身分としきたりに縛られた、武家の暮らし。仇討ち、就活、婿入り、剣術、罪と罰…。切なくも可笑しい、人生の諸相を描く。デビュー10周年記念、練達の時代小説短編集。




江戸時代の武家、武士の生きざまはなんとも窮屈で大変に思えてしまう。そんな武士の人生いろいろが描かれていておもしろかったです。

一話ずつのちょこっと感想。
「紛物」武士であることそのものを捨てられない信次郎。捨てちゃえばいいのに、とずっと思いながら読んでいる私。きっと一緒に住んでいるふくもそう思ってたと思うな。でも捨てられず‥ 必ず帰るという信次郎の言葉が、現実になっているといいけど、どうかな? 難しいんじゃないかなぁ‥
「青雲」立身できるできないは運次第、そんな身もふたもない状況がコミカルに描かれているところがさすが、まかてさん。
「蓬莱」これ、とってもよかった! 夫にほれ込んだ妻の内助の功が、とってもよかった!!!
「一汁五菜」刀を持たず、敵を討つ。その覚悟と忍耐、頭脳明晰さに感心しました。
「妻の一分」誰が語っているのかと思えば‥‥‥驚きました。忠臣蔵をちゃんと知っていれば、もっと楽しめたかな。
「落猿」部下の嘘を見破った江戸留守居役、厳罰を下すのかと思いきや、部下にその処遇を選ばせる。結果は明らかに書いていないので想像するしかないけれど、江戸留守居役の肝の座り方はすばらしい。
「春天」さびしげな40才の芙希、彼女の20代の恋の行く末は、ほんわかにっこり。よかったね。
「草々不一」隠居侍の妻の夫への愛、尊敬が最後の最後にしみじみと伝わってきました。亡くなってなお、夫を想い、子供を想い、ふたりの仲がうまくいくように仕掛けを残していく、そんな賢さも合わせ持つ妻。私の心も満たされました。

私が好きなのは「蓬莱」「春天」「草々不一」、その次に「一汁五菜」でした。
コメント
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