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食・飲・読の日記

日々の食べたり読んだりを綴ります♪

トムは真夜中の庭で@アン・フィリパ・ピアス

2018-12-27 16:25:57 | 本(は)
  トムは真夜中の庭で@アン・フィリパ・ピアス 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
トムは、真夜中に古時計が13も時を打つのを聞き、ふしぎな少女と友だちになります。歴史と幻想の傑作ファンタジー。




真夜中の13時はありえないし、人が時空を超えることも現実にはないけれど、なぜか違和感を感じずに物語にすんなり入っていくことができます。美しい自然、ふるびた家、格式のある家、少年らしい少年、ちょっと風変わりな少女の描写がリアルに感じられるからかな。時空を超えること以外は物語は突拍子もない出来事などはなく、タッタッタッタッとリズムよく進んでいきます。最後はこうくるかな? なんて漠然と思っていた通りになるんだけど、本物の友情に触れることができ、じんわりしんみり心地よい気分になりました。

アノニム@原田マハ

2018-10-22 15:14:55 | 本(は)
  アノニム@原田マハ 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
ジャクソン・ポロック幻の傑作「ナンバー・ゼロ」のオークション開催が迫る香港。建築家である真矢美里は七人の仲間とともにオークション会場へ潜入していた。一方、アーティストを夢見る高校生・張英才に“アノニム”と名乗る謎の窃盗団からメッセージが届く。「本物のポロック、見てみたくないか?」という言葉に誘われ、英才はある取引に応じるが…!?ポロックと英才、ふたつの才能の出会いが“世界を変える”一枚の絵を生み出した。痛快華麗なアート・エンタテインメント開幕!!




かっこよすぎる8人の仲間たち、アノニム。彼らは美術品を救うために窃盗を働きます。今回の現場はオークション会場。ジャクソン・ポロックって実在なの? と自分の無知をネット検索で解消しつつ、オークションの裏側、現場のリアルを感じてとても興奮しました。香港の学生運動が絡み、さらにリアルさを増していたように思います。オークション後、絵は偽物とすり替えられますが、一晩で素人が傑作をコピーできるわけ? とか、誰もすり替えに気づかないの? とかちょっと疑問に思いつつ、ジャクソン・ポロックを知ってからの張英才の変化、そして最後のスピーチのすばらしさにはゾクゾクしました。最後は納得の一行でした。
余談ですが、香港が舞台だったので名前の読み方に戸惑ったり(張英才はチョンインチョイ)、最初のうちはアノニムのメンバーの名前と通称が誰がどれだかいちいち確認しなきゃだったり、自分の頭の悪さにうんざりしたのでした‥ とほほ‥‥ 巻頭にアノニムのメンバー紹介があったのは助かりました!

メリーランド 南部芸能事務所Season2@畑野智美

2018-02-19 15:14:57 | 本(は)
  メリーランド 南部芸能事務所Season2@畑野智美 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
たまたま見た「南部芸能事務所」のお笑いライブに魅了され、事務所の研修生になった新城。コンビを組んだ溝口との厳しい稽古を経て初舞台に立ち、社長からギャラとして「千円」を渡されるが…。弱小お笑いプロダクションを巡る面白き人々の人間模様を、誰にも書けない筆致で描く連作短編集、第2弾!




シリーズ第1弾 南部芸能事務所の読書感想文はこちら
今回も1話ずつ語る人が変わっていて、芸人を目指す新城からはじまり、相方の溝口で終わります。その間に大学生の女の子、先輩芸人、先輩芸人のバイト先の若い上司、ライバルになるであろう芸人など色々な人が主役になりますが、それぞれの立場で悩んだり悔んだりもやもやしたり。あっ、新城はあっけらかんとしているけれど。そういう心のくすぶりが前向きになる、そんなキラキラしたところに惹かれて、こちらもワクワクしてきます。前向きの度合いは人それぞれ、明らかに目標を見つける人もいれば、とりあえず進もうという人も、どの人もみんなキラキラし出して、それが魅力なんだわと思っていたら、ひとつのお話だけそううまいことはいかず、そうか、何もかもうまくいくわけもないってところをチクッと思い知らされました。が、前に突き進んでいくキラキラした感じ、好きだわ~!

愛の領分@藤田宜永

2018-01-22 15:24:37 | 本(は)
  愛の領分@藤田宜永 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
仕立屋の淳蔵は、かつての親友高瀬に招かれ、追われるように去った信州の故郷を35年ぶりに訪れる。高瀬の妻の美保子は昔、淳蔵が恋焦がれた相手だが、年月が彼女を変貌させていた。佳世と出会った淳蔵は年齢差を超えて惹かれるが、過去の事実が二人の恋情をより秘密めいたものにしていくのだった。直木賞受賞作。




主人公の恋愛が、現在と過去の男と女、男と男、女と女、いろんな人間模様を浮かび上がらせる、恋愛小説。恋愛小説!? 恋愛だけではなく、人間が生きる、生きていくということを描いているようでした。主人公は男性にもかかわらず主人公の疑問や感情が私の疑問や感情になり、不思議な感覚でした。情景を表す日本語が色を鮮やかにしたり香りが匂い立つようで美しかったです。感情を表す言葉も細やかだったり大胆だったりしてメリハリがあり、私もその波に乗って、気分が華やいだり暗くなったり恨めしくなったりさみしくなったり切なくなったり艶を感じたり。こういう小説は今まであまり読んだことがなかったかもしれません。最後は白黒はっきりして終わるわけではないけど、これまた生きる、生きていくってことなのかなと思いました。

横浜大戦争@蜂須賀敬明

2017-10-27 17:58:22 | 本(は)
  横浜大戦争@蜂須賀敬明 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
ランドマークタワーの六十八階で、横浜の大神が「横浜大戦争」の幕開けを宣言。大洋ホエールズのユニフォームを着ている保土ケ谷の神を主人公に、戸塚・泉・栄の三姉妹、それぞれ身勝手な鶴見や金沢や港南、港北・緑・青葉・都筑の擬似家族、横浜中心部を司る中・西の姉弟などが、横浜の“中心”を決めるべく、くんずほぐれつの戦いを繰りひろげる。舞台は旧ドリームランド、山下埠頭、こどもの国などに展開し、驚くべき結末が待っている…。前代未聞にして空前絶後のエンタテイメント長編。




横浜18区にはそれぞれ土地神がいて、どの区が横浜の1番かを争う物語です。それぞれの区の土地神は作者の持っている区のイメージのなんだろうけど、私がなじみのある中、西、南、鶴見、港北はイメージ通り。私が住んでいる青葉は??? よく知らない区だと、そういう感じなのかと特に疑問は持ちませんでしたが。区制をもとに兄弟や姉妹や家族の形を取っているのはさすがだなと思いました。知っている場所もたくさん出てきて楽しめるし、テンポ良い展開で、ワクワクしながら読みました。巻末に土地神のイラストと特徴などが描かれているので、よりイメージしやすかったです。神といっても人間と同様に完璧なわけではなく、お互いの長所も短所も知り、関わり合いながらながら生きていく、人間臭い神様たちが個性的でおもしろかったです!