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食・飲・読の日記

日々の食べたり読んだりを綴ります♪

スナックちどり@よしもとばなな

2016-04-20 16:57:21 | 本(や)
  スナックちどり@よしもとばなな 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
40歳を目前に離婚した「私」と、身寄りをすべてなくしたばかりの、いとこのちどり。イギリス西端の田舎町を女二人で旅するうち、魔法にかけられたような時間が訪れるー。




自ら望んで離婚して、それでもいろいろな思いが交錯し淋しさをかかえる「さっちゃん」、育ててくれた祖父母を亡くし淋しさをかかえる「ちどり」。2人がイギリスの端っこの薄い気配の海に飲みこまれそうな町に旅します。さっちゃんはちどりを尊敬していて、ちどりはさっちゃんをとても優しいと思っていて。お互いを好きな2人がそれぞれの心の内をぽつぽつと話す。その何気ない会話に、何度鼻の奥がツーンとしちゃったことか。相手の本当の淋しさは理解できなくても、淋しいことを知っていてその淋しさに誠実に向き合いながら、2人がほんのちょっと先のことを話して約束して、未来を感じる。淋しさでいっぱいだった旅だったけど、その旅の終りには、ほんのり未来にも心にも光が灯り、温かい気持ちになりました。

糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ@吉永南央

2015-07-21 17:51:25 | 本(や)
  糸切り 紅雲町珈琲屋こよみ@吉永南央 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
紅雲町にある五軒だけの小さな商店街「ヤナギ・ショッピング・ストリート」。雨の日に、そこで落ちていた手紙を拾おうとしたお草は、黒い外車にひかれそうになり、電器店の店先にあるレアなマスコット人形「ドリーム坊や」を壊してしまう。小蔵屋の従業員・久実は、電器店がその修理代金をお草に請求したことに憤慨するのだが…。シリーズ第四弾。




もうシリーズ第四弾でした。
お草(そう)さんは、小蔵屋という珈琲豆と食器を売る雑貨屋を営んでいるひとり身のおばあちゃん。お草さんは人間観察力が鋭く、ちょこっとちょこっとの日常の出来事を組み合わせて、謎を解きほぐしていきます。問題を無理やり解決しようとするのではなく、物事を見極め熟考し、しかるべき時に行動したり、それが周りの人たちとの関係を深いものにしています。今回の作品では、ネットで攻撃されたり、お草さん自身が利用されたり、現代の負の部分が出てきますが、それさえも、受け入れたり見ないふりをしたり、お草さんなりのアプローチが新鮮です。お草さんと一緒に働いている久実ちゃんは体育会系でお草さんのことをとても大切に思っている気持ちのいい子。配達をしている寺田さんも愛のあるすてきな人。そんな人たちに囲まれているお草さんはちょっぴりうらやましいです。少しずつ少しずつばらばらに起きていることがお草さんの推理で輪になって、最後は「へー」というところに落ち着きました。なんだか温かい人間関係が描かれていて、読み終えてホッと心が安らぎました。
そして収録されている5話の題名が和食器にちなんだものになっています。(これまでの作品ではどうだったかな?) その説明もあって、和食器の見どころ、おもしろさも感じらる1冊でした。

ミドリのミ@吉川トリコ

2015-03-31 17:25:01 | 本(や)
  ミドリのミ@吉川トリコ 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
重田ミドリ、小学3年生。住み慣れた街を離れて父・広の新しい恋人ー平野源三ーの家に転がりこんだ。そんな事実を受け入れられないミドリの母・貴美子。だから離婚話もなかなか進まない。でも進まない理由はそれだけではなくー。よのなかにあふれる“ふつう”からほんの少し外れたところにいるミドリたち。口に出してしまったら、何かが変わってしまう、何かが壊れてしまう、そんなおそれを抱きながら生きる彼らに訪れた、幸せの結末とは。




表紙や背表紙、中にもかわいいイラスト! これに惹かれました。
ミドリ、父の宏、宏の恋人である源三の家に遊びに来ていた花世、ミドリの母の貴美子、ミドリ、源三が1話ずつ気持ちをつづっています。ミドリ、これはね、もう自分の子供のころを思い出しちゃいました。大人を観察する目だとか、学校での人間関係とか、あぁそんな時もあったなぁと共感できます。ミドリと宏と源三のやりとりはほんわか楽しい気分になります。同性愛とか貴美子にとっての離婚とか世の中の普通から遠ざかっている彼らは普通がいいんだという意識にとらわれてしまって(一番顕著なのは貴美子)、普通であることに幸せを見出そうとする。それは私も同じ。だけど普通だけがいいわけじゃない、いろんな幸せの形があるんじゃないかと考えさせられます。それぞれが自分の弱さに立ち向かおうとする姿に魅力を感じます。ただし宏だけはイラッとさせられました‥ ラストははっきりはしていないけど、ミドリと宏と源三の3人が一緒に暮らすことになるとすると、小学生のミドリはつらい学校生活になるんじゃないかなと思いました。

あかね空@山本一力

2015-03-17 18:15:03 | 本(や)
  あかね空@山本一力 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
希望を胸に身一つで上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉を支えるおふみ。やがて夫婦となった二人は、京と江戸との味覚の違いに悩みながらもやっと表通りに店を構える。彼らを引き継いだ三人の子らの有為転変を、親子二代にわたって描いた第126回直木賞受賞の傑作人情時代小説。




テンポよく話が展開し、読みやすい物語でした。京からやってきた豆腐職人の永吉がおふみと結婚し、長男栄太郎が生まれるまでは、あぁ店を大きくしていく話しだなと思って読んでいたのだけれど、栄太郎がけがをし、弟悟郎、妹おきみが生まれるたびに家族にひずみが生じてくるのが何ともやるせないです。とくにおふみの変わりようがすごい。永吉をいちずに思い、ちゃきちゃきと愛らしかったのに、子供を産んだ後は栄太郎ばかりを依怙贔屓し、ほかの二人には目もくれず、何かあるとわぁわぁと大声でわめく。それでも商売をちゃんとやっていたのすごいけど。永吉、おふみ、栄太郎、悟郎、おきみは気持ちがすれ違って、身内の争いを展開していたんだけど、最後は家族のきずなの強さを見せつけられました。これは江戸の物語というよりも、時代は関係ない家族の物語だと思います。それにしても相州屋のご夫婦、嘉次郎、政五郎、傳蔵といった永吉家族の周りにいる人たちがすてきでした。

本屋さんのダイアナ

2014-11-06 09:06:41 | 本(や)
  本屋さんのダイアナ@柚木麻子 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
私の呪いを解けるのは、私だけ。「大穴」という名前、金色に染められたパサパサの髪、行方知れずの父親。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と同級生の彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人は、一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”にー。少女から大人への輝ける瞬間。強さと切なさを紡ぐ長編小説。




「大穴」と書いて「ダイアナ」←物語の最初でグッと引きつけられました。境遇も見た目も正反対の女の子2人が親友となり、キラキラした小学生時代を過ごし、2人は仲たがいし、そして成長していく物語。女の子ならではの感情が思い出され、キューンとなります。2人ともとても魅力的な女の子。お互いが自分の持ってないものを持っている相手に憧れる、すっごくよくわかります。憧れと嫉妬がないまぜになった感情、すっごくわかります。ダイアナは派手な見た目とは違い、小学3年生にして大人びた感性をもっていてびっくり! 読書感想文を書くことに対して「大好きな本を自分の言葉で汚してしまったような後悔がつきまとう」なんてどんな小学三年生! 彩子はいつも周りから憧れのまなざしを浴びる優等生。女のいやらしい部分とかも垣間見えます。紆余曲折あり、大人になった2人が出会うのが衝撃的なシチュエーション。これからの2人、どんな時間を過ごすのかワクワクして読み終わりました。ダイアナと彩子の周りにいる人たちで私が好きなのはこの3人。
ダイアナのお母さんティアラ、見た目は派手なキャバ嬢でも芯が通った強い女の人。とても魅力的でファンになりました。
彩子のお母さん、シックで上品で、いつも子供のことを思う、すてきなお母さんでした。
ダイアナと彩子の同級生の武田くん、正義感が強く、人との垣根を作らない、ヤンキー風だけど優しい男子、初恋が実りますように。