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食・飲・読の日記

日々の食べたり読んだりを綴ります♪

途方もなく霧は流れる@唯川恵

2014-08-12 16:33:21 | 本(や)
  途方もなく霧は流れる@唯川恵 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
女は素知らぬ振りをして、いつも抜かりなくすべてを整えているー。仕事を辞め、失意のうちに東京を引き払って田舎で暮らすことに決めた岳夫。ボロ家に手を入れ、一人静かな暮らしを始めた彼の前に現れた一匹の犬と女たち。思いがけなく展開する人生に立ち向かう、大人のための物語。




すらすらと読みやすい小説でした。50歳目前の主人公の岳夫はリストラされ、かつて自分の父親が作ったボロ屋のある軽井沢に引っ越します。そこでリストラされた事実や、今ひとりきりでいる事実を受け止めていくのです。岳夫は男が稼いで女はそれに従えばいいという、典型的な仕事人間、昔タイプの人です。思い起こされるのは、私の場合、父です。岳夫は浮気もして恋人もいて、軽井沢に引っ越してももてているので、そこは全然違いますが‥。そういう意味で、より読みやすかったような気がします。
ホームセンターの店員・恵理の若さあふれる行動や言動に元気をもらい、その母親・ゆり子とも関わり合い、愛犬ロクと出会い無償の愛を教えられ、岳夫は人生で様々な選択をしながら、凝り固まった考えが解けていくように、今の自分を受け入れられるようになっていきます。失踪した父親がどう暮らして、それが今の岳夫にどう関わっているのかというあたりは、かなりドラマティックでした。軽井沢の自然や、人の優しさ、愛犬ロクとの別れを通して、私自身、穏やかな気持ちになりました。

食堂つばめ@矢崎在美

2014-02-24 18:01:06 | 本(や)
  食堂つばめ@矢崎在美 

あらすじ(文庫本背表紙より)
生命の源は、おいしい食事とまっすぐな食欲!「食堂つばめ」が紡ぎ出す料理は一体どんな味!!謎の女性ノエに導かれ、あるはずのない食堂車で、とびきり美味しい玉子サンドを食べるという奇妙な臨死体験をした柳井秀晴。」自らの食い意地のおかげで命拾いした彼だったが、またあの玉子サンドを食べたい一心で、生と死の境目にある「街」に迷い込む。そして、料理上手だがどこかいわくありげなノエに食堂を開くことを提案して――。大人気「ぶたぶた」シリーズの著者が贈る、書き下ろし新シリーズ第一弾!




読みだして、どの世界にいるのかわからずふわふわした気持ちになりました。主人公の秀晴の素直さ・人の好さ・旺盛な食欲に惹かれて、すらすらと読み切りました。常識ではありえない世界のお話ですが、書かれている風景や食べ物が身近にある想像しうるものなので、すんなり物語に入り込めました。出てくるのはいい人ばかりで、心が落ち着きます。食堂つばめというだけあって、おいしそうな食べ物の描写も物語に引き込まれる要因となっているかも!? 玉子サンドもカツ丼もジンジャーエールも鶏の唐揚げもからみ餅も何もかも食べたくなりました。この点は秀晴と一緒です。物語の最後に、いろいろなつながりが判明します。ふーん、そうだったのかと、ほんわかした優しい気分になる物語でした

あまからカルテット@柚木麻子

2013-11-09 15:27:02 | 本(や)
  あまからカルテット@柚木麻子 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
「終点のあの子」作者の誰もが待ち焦がれた新作は、仲良し四人組の探偵小説。ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子。恋愛の荒波も、仕事の浮き沈みも、四人の絆で乗り越えてみせる。




スラスラ読めて、さわやかな読後感で、私は好きな本でした  仲良し4人はそれぞれタイプの違う女子。それぞれが友達を大好きで尊敬してて、でも友達を羨んだりイラッとしてしまったり。女同士、そういう感情わかる~って思うところがたくさんありました。それぞれが関わる悩みや問題に食べ物が絡んで、他の3人が一生懸命にそれを解決していくおもしろい探偵ものでした。最後の1編では、みんなにトラブルが発生して、ひとりひとりでそれを解決して、個々が精神的に強くなって、それでも友達同士の絆はますます強くなっていく素敵なストーリーでした

たぶらかし@安田依央

2013-06-02 12:00:00 | 本(や)
  たぶらかし@安田依央 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
39歳のマキは、市井の人々の中で、誰かの「代役」を演ずる役者。ワケあり葬儀での死体役、多忙なセレブ社長の子息の母親役、夫の親戚との付き合いを厭う新妻役など、役柄は多岐にわたる。依頼人たちの身勝手さに苛立ちながらも、プロとして淡々と仕事をこなす日々。ある日、ニセの依頼をしてきた謎の男・モンゾウに、無理やり弟子入りされて…。第23回小説すばる新人賞受賞作。




おもしろかったです。マキのような役者も、様々な依頼人たちも、実際に存在する感じがしました。
それぞれの依頼人について、「それはないよ~」とか「大丈夫?」とかいちいち気になりました。
マキはどうするの?どうしたいの?と思いながら読み進め、最後は人間愛にたどりついたのかぁと感じました。